アローン・イン・ザ・ダーク

INFOGRAMES AVG DOS/V、PC-98/3DO


ALONE IN THE DARK

☆1924年 ルイジアナにて

 芸術家であるジェレミー・ハートウッド氏がルイジアナにあるデルセトの屋敷にて自殺、その生涯を終えた。遺書はない。現地警察のドレイク警部は「何もかが明らかに示しているとおり、自殺だな。争った跡もないし、不自然な点もない」との声明を発表。しかしながら、誰もが同じように感じている。「あの屋敷には何か恐怖があった、しかしそれが何かは誰にもわからない」
 

−「ザ・ミステリー・エグザミナー特別号」1924年8月25号より

 私立探偵を営んでいるエドワード・カーンビィの元に一通の依頼状が来たのは、ジェレミー・ハートウッド氏の自殺が報道された数日後であった。その内容は次のような物だった。

 「デルセトの邸宅に行って、ジェレミー・ハートウッド氏の遺産である数々の貴重な品々、値打ち物を調査し、リストを作って欲しい。特に自殺現場である屋根裏にあるピアノは念入りに調査の事」

 カーンビィも、ジェレミー・ハートウッド氏の不審な自殺には興味を持っており、この依頼を受けてデルセトの邸宅に向かった。

 一方、自殺したジェレミー・ハートウッド氏の姪であるエミリー・ハートウッドは幼い頃をデルセトの屋敷で過ごしており、今でも得体の知れない恐怖を思い出す事が出来る。しかし、それ以上に屋根裏のピアノに隠された秘密に強い好奇心を持っており、邸宅に隠された秘密を探る為に単身デルセトの邸宅に向かう。

 そしてデルセトの邸宅に着いた彼らを待っていたのは、ただ一人の住人であったジェレミー・ハートウッド氏が自殺して以来、既に誰も住む者はないのに屋根裏部屋の中に明かりがともされている光景だった。

☆最初のフルポリゴンAVG

 今では当たり前のように使われているポリゴンですが、そのポリゴンで作られたゲームにも歴史的な物がいくつかあります。例えば、最初にフルポリゴンでレーシングゲームを作った「バーチャレーシング」、今では主流になったポリゴン対戦格闘ゲームの始祖「バーチャファイター」、3Dシューティングの名作「DOOM」、そして世界で一番最初にフルポリゴンで作られたAVGが「アローン・イン・ザ・ダーク」なのです。
 さらに、今では「バイオハザード」シリーズがPSで人気がありますが、パソコンでは「バイオハザード」に先駆けること約4年前に、すでにほぼ同じ操作系、スタイルを確立している作品であり、同時に「ポリゴン」の強さを見せてくれた作品でもあります。

 念のために断っておきますが、「バイオハザード」と「アローン・イン・ザ・ダーク」は(システムなどの)見た目が結構似ているとはいえ、完全に別々の方向性で作られた作品です。ついでに言えば「バイオハザード」シリーズはフルポリゴンではありません(あまり関係ないことですが)。

 それはさておき、「アローン・イン・ザ・ダーク」では全てがポリゴンで構成されているのですが、今でいう「テクチャーマッピング」などはあまり使われていないし、今見るとカクカクしています。しかしそれでも雰囲気はかなり出ていたんです。

☆始めは「ミステリーハウス」、後半はクトゥルー

 さて、「アローン・イン・ザ・ダーク」は始めに邸宅の中を調査して、うまく脱出しなければいけません。まず部屋を調べていると、不意に窓ガラスを破って犬のような化け物が部屋の中に入ってきます。そこで犬をなんとか倒すと、今度は床にある隠し扉からゾンビみたいな化け物が・・・
 といった具合で、基本はアイテムを探しながら時には化け物と戦ったり、部屋に隠された仕掛けを見破ったりと基本的には昔懐かしの「ミステリーハウス」のような「この先には何があるんだろう」というドキドキを味わえます。
 しかも、カメラワークがうまくて、例えばタンスの中を調査しているとゾンビらしき物がドアから少しずつ入り込んできます。しかし主人公は怪物に気付いていない・・・とホラー映画みたいな演出がなされています。他にも先に述べた「犬の乱入」とか、「ドキリ」とさせる演出がかなり多いです。

 また、海外のゲームらしく、うまい仕掛けが多くなっています。たとえば「ダンスルーム」。少し記憶が怪しいので間違いもあると思いますが、ご容赦願います。
 ここにはダンスの途中で固まっている幽霊が何人かいます。そして、彼らのそばにはアイテムが落ちているのですが、彼らに触ると、霧のような姿に変身して主人公に襲いかかってきます(しかも「どこまでも」追跡してくる!)。さて、どのようにして彼らをどかせて、アイテムを手に入れましょうか?
 ここでプレイヤーを置いて、レコードを使うと・・・
 しかし、動き出した彼らに触っても死んでしまう辺りが海外ゲームらしいです(苦笑)

 とまぁ、このように国産のゲームとはかなり違って、全然親切なゲームではありません。仕掛けの解き方を間違えたら大抵は容赦なく死ぬし、アクション部分もミスしたら容赦なく死ぬ事が多いし・・・しかし、それを補って余りある楽しさがありました。「やった、この仕掛けが解けたぞ!」ってね。この辺りが国民性の違いなんでしょうけど、昔の国産ゲーム(特にAVG)に共通する楽しみがあったのは確かですね。

 そして、邸宅の秘密を解いていくうちに、邸宅に隠された秘密の全貌が少しずつ明らかになってきます。実はこの邸宅の下には巨大な迷路があり、さらにその奥深くには・・・

☆ある意味幸福な海外ソフト

 この「アローン・イン・ザ・ダーク」は、ある意味幸福な海外ソフトだったとも言えます。
 昔(とはいっても数年前ですが)海外ソフトは評判が良くても、売れない事が多かったんです。その理由は「海外の謎がわかりにくい」(マザーグースを日本人で知っている人は少ないでしょ?)「難易度が高すぎる」などだったんですが、この「アローン・イン・ザ・ダーク」は海外ソフトの中でも比較的プレイしやすく、また難易度もそう高くはありませんでした(謎解きは理不尽ですが・・・(苦笑))。それがウケた為、続編も出るそばから翻訳されて日本語化されています。
 ただ、残念ながらゲームマシンでは3DOでしか出ていない(続編の2はSSとPSで出ている)のが惜しいですが・・・
 また、AVGが少なくなってきた頃にAVGの新しい形を見せてくれた事、「恐怖」などの表し方を新しいスタイルで表現した事・・・そういう意味でも、「アローン・イン・ザ・ダーク」は重要なタイトルだったと思います。

☆続編もおもしろいです

 「アローン・イン・ザ・ダーク2」
 今度はカーンビィだけが主人公です。誘拐された子供を救出する為にヘルズキッチンの屋敷に向かうのですが、その中にはブードゥの呪いをかける怪しい女主人と、数百年の時を経て甦った海賊たちが・・・
 「南海の海賊」とブードゥをミックスさせた舞台です。
 PC-98とDOS/Vの他に、SSとPS、3DOでも出ています。ただ個人的にはあまり好きじゃない。

 「アローン・イン・ザ・ダーク3」
 またカーンビィとエミリーを待ち受ける新しい災難(苦笑)
 今度は荒野のゴーストタウンが舞台。だからまるで西部劇みたいな内容です。
 ネイティブ・アメリカンとの関わり、精霊信仰なども出てきます。持ってるけど未プレイ(難しいんだもん・・・)。
 PC-98、DOS/Vの他にMac版もあります。Windows版はあったようななかったような(どっちにせよ今では入手は困難ですが)。

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 しかし何回も何十回も同じ所で死んで、屈辱的なゲームオーバー画面を見るんだよなぁ、シリーズ通して(苦笑)
 1は「生け贄」にされるし、2なんか「崖からポイ」だし(さすが海賊)。
 攻略本がないとまず解けないんだけどね(まぁ海外ソフトだし)。