DESIRE 〜背徳の螺旋〜

シーズウェア  AVG  PC−98/SS/Win95


DESIRE Corrupt spiral

☆DESIRE

 「EVE」「この世の果てで恋を唄う少女YU−NO」などを後年に発表することになる剣乃ゆきひろ氏の出世作。実は私は98版はマコト編しかやっていない(アル編のオープニングでハングするの(泣))のですが、SS版ではどうなるのか不安でした。
 ・・・結構「いい仕事」をしていますね。操作性は「EVESS版」で保証済みだし、アニメーションもうまく処理してます。ただ、母音システムとして「発声に対応させて口パクの形を変える」演出はあまり活かされていないかな?これはしょうがないけどね。

 あと、「DESIRE」に関するインタビューで、シーズウェア関係者や雑誌の紹介で「EVEの続編」とありますが、実際にはストーリー上での関係はまったくありませんので念のため。一応、PC−9801で出た「悦楽の学園」が「EVE」と間接的に関係があります(とはいっても結局ストーリー上では関係はない)。しかしシーズウェアの人まで勘違いしてどうする・・・(汗)

☆PC−9801版とSS版の違いについて

 PC−9801版では「アル編」「マコト編」の2つのシナリオを自由に選んで遊べるようになっています。そして両方のシナリオをクリアして初めて、最終シナリオに入れるという訳で、全体的には「1つの事件」を最初に2つの立場、つまり「外の人間」と「内部の人間」の立場から「デザイア」という舞台を交互に見て行き、そして生まれる疑問や謎を最終シナリオで解き明かすというシステムになっています。しかし、SS版では順番が決まっていており、「アル編」→「マコト編」から最終シナリオに行く事が決定されています。この辺りはおそらくシナリオ修正の都合だと思うのですが・・・。「EVE」はどちらからでも遊べたので一本道というのを感じにくいのに対し、こちらは「いかにも一本道」になってしまっています。
 ただ、「アル編」でデザイアにおいての事件、疑問、謎を見せておいて「マコト編」でその一部に対する解答(あるいは「解答らしき物」)を提出・・・という手法として考えるなら(ストーリー上の整合性から見ても)うまいやり方ではあります。
 この方法については賛否両論あるとは思うけど、実際のプレイに支障がある訳ではないので問題ではないはずです。

☆螺旋の果てにあるものは(前編)

 さて、プレイヤーは「アル編」で「デザイア」という地をめぐり、アルの立場で見て行く訳ですが、実際には「序章」という扱いにしては結構ボリュームのある話になっています。伏線の張り方も巧妙で、ENDを見る頃には「多くの疑問もあるけど、おもしろかった」と思う人の方が多いハズです。
 ただ・・・苦言も無い訳ではなく、アルの性格に一貫性が多々欠ける部分が見られるのはどーにかして欲しいですが(でも98版ではどうなのか知らないからなぁ)。ヒロインがどれにあたるかという点でも疑問はあります。シルビアとシェリルの存在はともかく、クリスとの関係が「マコト編」への伏線の為だけに存在するのがちょっと気になるし。ただ、この辺は元々98版の出た時期を考えるとしかたない部分かもしれません。実際、自分ならどうアレンジするか、と言われても思い付かないですし。
 でも「ストーリーを楽しむ」視点から言えば、この時点でつっこみを入れるのは早計とも思えますけど(苦笑)。序章だし、結構楽しめるのは確かですし。

☆螺旋の果てにあるものは(後編)

 「DESIRE」SS版の最大の関心である「マコト編」です(98版をプレイした人ならわかると思う、この意味は・・・)。予想通りマコト周辺の扱いは変更されてますね(この辺は聞かないで・・・(汗))。でも結構98版に近いです。ただ、98版にあるエピソードの大半がカットされているので「アル編」に比べて短く感じるのは確かですが、終盤近くの話の密度は高いです。本筋に関る部分はほとんど残っていますし。
 こちらの話は「本編」みたいな物なので、「アル編」ではわからない情報が多く入るかわり「解答」みたいな物も結構出て来ます。でも伏線はやっぱり増える(苦笑)。
 これ以上はネタバレになるしかない(だって、あのシナリオをどー言えと言うんだ!!)ので、この辺で。ただ、揺れる心の描写はじっくり見てください。納得のいかない人もいると思うけど、これも「一つの形」と考えてください。私だって「なんでこうなるんだよー」と思う部分はあるけどね・・・(もっとも、実際にキャラの立場で考えれば無理もないのだが・・・)。
 「アル編」「マコト編」共通して言える事ですが、「考えながら」プレイする方が楽しめる作品なので、じっくりプレイしてください(これは剣乃作品共通です)。

☆螺旋に捕われる者

 最終シナリオに関してはもうネタバレ厳禁だし、人物に関しては一切述べませんし、くだくだ書く事もしません。
 しかし一応、少しだけ。ここでは一連の事件や疑問、謎に対する「解答」、そしてデザイアの存在理由までもが語られます。そのかわりコマンド選択は一切なく、某氏の独白の形式になっています。これはPCE版「スナッチャー」と同じ形式ですね。個人的には好きなスタイル(思考をコマンド選択でジャマされないから)なんですが、「マコト編」よりも遥かに短い(でもXXXXがXXXXと出会うシーンから描くと、一発でバレてしまうから話がデザイアから始まるのは無理もないが・・・)。結果として「考えながら見る」スタイルになります。
 それゆえ、このシナリオに入る前に「あらゆる障害」、つまり・・・「電話のベル」「トイレ」「家族(知人)の乱入」といった要素をあらかじめ排除しておくことを絶対にすすめます(というか、ここに来て「おあずけ」はキレます。まぁ、「スナッチャー」よりはマシですけどね)。

 注:PCE版「スナッチャー」では完結編「ACT3」で全編オートで進行する為、うかつにトイレにも行けやしない。しかも「長い」

☆螺旋を見つめる者

 という訳で、充分鑑賞に耐える出来ではあるんですが・・・やっぱり「EVE」SS版に比べると、という部分はあります。特にマコト編の大幅なカットは痛いと思うのですが・・・。この辺はしかたないかな?
 この作品をプレイした人は「EVE」にも挑戦して欲しいです。こちらの方が話としても、ゲームとしても密度はかなり上なので。「YU−NO」はさらに上です。

 で、プレイした人の大半が「で、なんで18歳以上の指定なの?」と言うかもしれないけど、これは「18禁」ではなく「18歳以上推奨」だという事をわかって下さい。結構SSソフトに関して勘違いが目立つんですが、コンシューマにおける「18禁」は既に廃止されています(既に発売されているソフトは継続して生産されています)。現在ではPCゲームのような意味での年齢制限ではなく、あくまで「大人向け」という意味、つまり子供が見てもわかりにくい話(特に性に関する部分)が含まれている作品だからというのが正解だと思うのです。また、残酷なシーンの多いゲームでも年齢制限は付けられる事も理解して下さい。
 なんでこういうのを書くかというと、要するに「大人向けの作品」としての年齢制限だと思わずにPCゲームのいわゆる18禁ゲーム的な要素を期待しておいて、それがないから「なんで18禁なんだよ!」と文句を言っている人が多いんです(「EVE」にもいくらかいました)。Hシーンが見たいだけならパソコン買って下さい。

 P.S なんでSS版にはサブタイトルがないの?あのサブタイトルも結構重要なんだけどなぁ。
 P.S2 さて、次はどーするの?シーズウェアさん。これからが「本当」の勝負だよ・・・もう剣乃さんの作品には頼れないからね?

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その後Win95で「DESIRE 完全版」というタイトルで出る事になりました。
(注:現在はもう出てます。あと、ラストに追加があるそうで。でもアニメが重すぎ・・・)
あと「次」は「EVE The Lost One」・・・あまりすすめられないです、これ(EVE The〜)は。