ダブルキャスト

SCE AVG PS


Double Cast

☆街で出逢った少女は・・・

 主人公はとある大学の映画研究部に入っている学生。そして今日の飲み会でも、先輩たちにしこたま飲まされた挙げ句帰る途中でブッ倒れてしまった。そして気がつくと少女に介抱されていた。
 普通だったら「ありがとう」で別れて終わるはずだったが、お礼としてコーヒーをおごったついでに少女の事を聞いてみたら意外な話を聞かされた。少女は「赤坂美月」、それ以外の記憶がないのだと言う。ついでに行くあてもない、とも・・・。心配になった主人公は大胆にも聞いてみる事にした。
 「だったら、ウチに来ない?」
 そうして、奇妙な縁で出逢った少女との共同生活が始まった。

 しばらくして、映画研究部での集会での部長の話が出た。それは「かこひめの寝屋」のシナリオを再び映画化し、今度こそコンクールでの入賞を狙うという。その為に1ヶ月の間拘束できる主演女優が必要だという事であった。その話を美月にすると、意外にもあっさりと了解してくれた。
 そして主演は美月、カメラマンは主人公という構成で映画化の作業が始められた・・・
 さて、これからどうなるのでしょうか・・・?

☆「みるドラ」から「やるドラ」へ

 さて、このゲームを始めとして、「季節を抱きしめて」「サンパギータ」「雪割りの花」の4作を「やるドラ」シリーズとして出している訳です。そしてキャッチフレーズは「みるドラマからやるドラマへ」。この試みはどういう物でしょうか?
 この「ダブルキャスト」をプレイするとよくわかるのですが、画面構成(シネスコサイズ)やストーリーの展開は確かに「ドラマ」の手法なんですね。で、「やる」部分は選択肢だけです。じゃデジコミか?と言うと身もフタもないのですが(苦笑)・・・どっちかというと例えば「かまいたちの夜」「痕」のシステムの上で、アニメを全編に渡って展開させるという手法をとっています。
 このおかげでプレイヤーはストーリーに浸る事が容易になっています。ここで「かまいたちの夜」などのいわゆる「サウンドノベル」と違う点を挙げるとすれば、向こうはあくまで「テキストアドベンチャー」として、文章から想像させるのに対し、「やるドラ」では文章は基本的にセリフとナレーションに限定し、シーンを全部見せる事で物語を見せている事です(だから「ドラマ」)。方法論は似ているのですが、その実践の仕方によってガラリと変わるという意味でもこの比較はおもしろいと思います。
 ちなみに見掛けはギャルゲーですが、実は結構サスペンスホラーなストーリーになっています。

☆結構よく出来たシステム

 そして、このゲームを支えるシステムも結構よく出来ています。まず繰り返しを前提とするから当然展開も多いのですが、ここで工夫があります。実は始めのうちは分岐の数が少ないのですが、数回プレイしていくと自然と分岐が増えるようになっています。そして一部の増える展開は「ショートカット」の為の分岐になっています(つまり説明シーンなどをとばせる)。これに気が付けば1プレイにかかる時間がある程度短く出来ます。さらにこの手のシステムを遊ぶのならあった方がうれしい機能「スキップ機能」もあります。ただ、所々引っかかるような感じがするのは否めませんが、ないよりはマシでしょう。これらの工夫によって、はじめのうちに物語を覚えさせて、後でいろいろな展開を楽しませるようになっています。
 あとは当然「いくつの分岐を見たか」の基準のパーセンテージも表示出来ます(ただしパーセンテージを表示しながらプレイする機能が裏技扱いなのは頂けないが・・・)。
 メモリーカード必須ですが、メモリーカードへのアクセスは比較的短いです。ついでにセーブポイントも比較的数が多く配置されているので繰り返しプレイもそんなに苦痛ではないハズです。

☆でも苦言もあるが・・・

 もっとも、苦言もあります。例えばこのゲームは「グッド」「ノーマル」「バッド」の3種類のエンディングがそれぞれ数種ある訳ですが、このうち「ノーマル」の半分が本編に全然絡まないギャグシナリオ、残りの半分が「やるドラ」シリーズの残りの作品の宣伝という構成なのはどうかと・・・。ただでさえ「やるドラ」の広告がゲーム中に何回も出ているのですから・・・。
 あと、さすがにパーセンテージがある程度行くともうほとんどのエンディングを見た状態になっている訳ですが、この辺りになるとさすがにパーセンテージを挙げる作業に嫌気がさしてきそうになります。というのも非常に見つかりにくいシーンが結構あるんですが、これを見る為の作業でも何らかのエンディングを見ないとパーセンテージを上げられないし・・・。しかもそういう場合に限って「バッドエンド」なんですから・・・。せめて、プレイを中断して最初からやり直せる方法があれば・・・。
 さらに分岐の仕方によっては、物語のつながり方が変なシーンが結構あります。これはどうにかならなかったのかな・・・?。システム的に難しいのは確かだけど。
 それと、個人的な趣味ですが、一度見たシーンを後で繰り返して見る事が出来るとうれしいのですが。PCゲームでよくある「CGモード」みたいな感じで。「リプレイ」機能はそういう用途には向いていないと思うし。
 でも基本的にはよく出来たゲームですし、買っても損はないですよ。

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 しかし通称「殺るドラ」・・・確かに(苦笑)