慟哭 そして・・・

データイースト AVG SS


☆「あの」デコの放った新作はギャルゲー!?

 データイースト、というメーカーを知っている人はどれだけいるんだろうか。
 昔から「デコ」という通称で呼ばれている事を知っている人はどれだけいるんだろうか。
 デコ、といえば「変なゲーム」で有名なメーカーというイメージが強いと思う。
 例えば火を吹くデブ(笑)が主人公の「カルノフ」、「戦う人間発電所」という触れ込みからして妙な「チェルノブ」、そして未だにカルトゲームとして名高い「トリオ・ザ・パンチ」。ゲーマーでもない限り、これらのゲームの事を知らない人の方が多いと思いますが、とにかくそういうイメージが強いのですね。
 しかし、その「デコ」がいきなりギャルゲーを発表した、という事で一時注目を集めました。しかも今回出すのはいつものデコにしては珍しくシリアスな内容のようでした。
 という事で、私も予約して発売日に入手して、その後しばらくハマってました。その内容とは?

 そうそう、デコがシリアスなゲームを出したのはこれが最初ではありません。「神宮司」シリーズの方が古くから出ています(ファミコンから続いているシリーズです)。

☆古い洋館から脱出せよ!

 ところで、このゲームのあらすじは詳しくは書きません。とりあえず、このゲームの主人公になって洋館に隠された謎を解いたりして、生きて脱出する事が目的です。しかしどうやらこの洋館には何物かがいて、下手をすれば知人たちの命どころか、自分も殺されるかもしれません。
 ここまで書くと、多くの人はエルフから出ている「遺作」というゲームに似ていると思うかもしれません。実際、私もそうでしたし。キャラデザも同じ人だから雰囲気も似ているし、「建物の中に閉じこめられて、そこを脱出する」というあらすじも一緒です。しかし、絶対に「慟哭」=「遺作」ではありません。
 これを書いている時点ではまだ「遺作」は未プレイ(ごめんなさい)なのですが、どうやら「遺作」と「慟哭」とでは傾向が違っているようです。この辺は「遺作」をプレイしてからまた書きますので今はとりあえずパスという事にします。

☆いきなり死にます(苦笑)

 最初のプレイでは5分でいきなり死ぬ事になると思います。
 ですが、ここで怒ってはいけません。実はこの「死」自体が開発者からのメッセージ、つまり「マジメにやらないとこうなるよ」という事なのだそうです(ガイドブックより)。
 そう、このゲームでは「とりあえず動かせばどうにかなるでしょ」という考えで行動してしまうと、命取りになってしまうシーンが比較的多く入っています。そのほとんどがよく考えれば「そりゃマズイでしょ」という行動になっているんです。だから普段から「ここはこうしても大丈夫かな?」などと慎重に行動する事になるんですが、時々そういう緊張を「バリーン」と壊すシーンがあって、結構びっくりします(これがまたうまいんだ)。
 それにアイテムを組み合わせる事で解決出来るシーンも多いし、その答えも決して1つだけとは限らないというのがまたおもしろくなっています。さらにアイテムによっては1回使うともう使えなくなるので、毎回別の方法を試すというのも「アリ」になっています。つまり「このアイテムはあそこでも使えそうだからここでは別のを使おう」とかね。

☆あなたはあの人を助けられますか?

 さらに、「生死決定イベント」というのがあって、登場するキャラによってはそのシーンでの行動に失敗すると、二度と出てこなくなる(=殺される、などいろいろ)ので当然そのキャラでのエンディングもそのプレイでは見られなくなりますし、他のキャラにも影響を及ぼします。しかし何といっても、後味の悪さが格別です。「ああ、あそこでなんで助けられなかったんだー!」と思う事間違いなし。
 この「後味の悪さ」を味わいたくないから必死で助けようとするのですが、当然ながら一筋縄ではいかないようになっていますし、イベントもそれぞれが関係している時もあったりして・・・
 このように苦労するだけあって、狙いを付けていた彼女のエンディングを見た時には「よかった」と思う事でしょう。・・・もっとも、全員が彼女になるという訳じゃないけど(これは自分でやってね)。

☆繰り返しプレイするにつれ解けていく謎

 「慟哭」は1つの中心になる話が組み込まれていて、それは1回2回のプレイだけでは全貌がわからないかもしれません。しかし、数回プレイし続けていくと少しずつ全貌が見えてくるハズです。
 ネタバレになっちゃうのでここでは書きませんが、これが結構おもしろいと思います。

 他にも、前述したように複数の解き方が出来るシーンがありますが、その解き方によっては後で行けるようになる場面が変化する事があります。しかもその場面が「あ、こういう事だったのか!」という物だったりして、「なるほど、だから○○はここに来れなかったんだ」などと理解出来るようになっています(マルチサイトのような感じですね)。
 このように、繰り返してプレイすればするほど、「慟哭」の物語を理解出来るようになっているので、この手の展開が好きな人にはハマるハズです。

☆欠点もなくはないけど

 もっとも、このゲームの欠点、というか難点なのはとにかく「難易度が高い」事に尽きると思います。
 組み合わせが複数あるのにその正解が2通り程度しかない(んでそれ以外は殺される)シーンとか、そういう場面が結構多いんですね。それにフラグもかなりわかりにくくなっているし、アイテムが多く手に入る割には進め方によってはまったく使わないアイテムが多く残ってしまうのもちょっと残念です(致命的ではありませんけど)。
 他には人を探すのが大変(これも致命的じゃないし、かえって緊張するとも言えるけど)だとか、一部のシーンの解き方が難しいとか、そういった具合ですね。あとアイテムの大半の使い道がかなり限られているとか。
 ただ、これらの欠点は「好み」の問題だとも思いますし(実際、こういう状況になった時に簡単に出来る訳がないし・・・)、数回プレイしていれば解ける(というかヒラメく)事もありますし、やっぱり致命的な欠点ではないと思いますね。

 どっちにしろ、「万人にお薦め」って訳にはいかないけど、手応えのあるAVGをやりたい人にはお薦め出来るゲームです。
 ちなみにギャルゲーに見えるけど、中身はかなり硬派なんで覚悟してくださいね。そうそう簡単に解ける内容じゃないので・・・。

 「難しくて解けない〜!」という人には徳間書店から攻略本が出ています。
 ただ、ちょっと入手が厳しいかもしれません。あとかなりネタバレ(そりゃそうでしょ。攻略本は攻略記事だけなんだから)なんで、ネタバレが嫌いな人は買わない方がいいでしょう(前に「ネタバレじゃないか!」と怒っている人がいたけど、攻略本ってそういうモンでしょ?)。
 でも発売後しばらくの間、パソ通で「ここ、どうしたらいいと思う?」などと話題になっていたんだけど、ああいうのも最近のゲームでは珍しい傾向かな。

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 いや本当、厳しいゲームです。かなり死にまくるし(もちろん自分が)。
 そのせいか20回エンディングを見ると全てのCGが見られるようになります(笑)
 「20回もプレイしてご苦労様」って事なのでしょうか・・・