ソーサリアン

日本ファルコム アクションRPG
PC-88/98/X1/MSX2/PCE/MD/Win


DRAGON SLAYER V SORCERIAN

☆SORCERIAN

 昔々、誰一人として記憶していないくらい、遙か昔のこと。
 愛などというものは、ごく一部の人々の間にしか存在しておらず、
 世界を支配しているのは、魔法と武力のみであった。
 そんな時代に、自らの力と勇気を試すために、
 幾つもの危険な冒険に身を投じる者たちがいた。
 人々は、彼らのことを、こう呼んだ。
 ……ソーサリアン、と。

☆他に類を見ないデータの「複雑さ」

 「ソーサリアン」は、RPGと分類しているものの、その内容は極めてAVG的な物がほとんどです。そして、データ量も極めて膨大な物となっています。例えば・・・

 7種類の星を掛け合わせて作り出す、120種の魔法。
 5種類のハーブを混合して作り出す、32種類の魔法。
 60種類の職業。
 15種類のシナリオ。
 世代交代ありの、「歳をとる」キャラクターたち。

 基本システムの中だけでもこれだけの内容が含まれているのですが、後に出た拡張シナリオではそのシステムをさらに拡張させ、その結果として魔法の数が増えたり、基本シナリオでは手に入らない強力な武器が入手出来たり、さらには戦闘シーンそのものが変化する(「ピラミッドソーサリアン」など)・・・と、他のゲームでは見られない「成長」をしたゲーム、それが「ソーサリアン」です。

 また、「ソーサリアン」の特色として、ボスキャラを含む敵キャラの存在が挙げられます。
 普通はRPGでの「シナリオクリア」とは、ボスキャラを倒すことが一般的です。しかし、「ソーサリアン」では別にボスキャラを倒さなくてもいいシナリオが多数存在します。
 例えば、クリアする条件が「迷宮を封印する」ことであり、その為のアイテムが手に入れば、後はそのアイテムをしかるべき所で使えばシナリオクリアになります。その時はボスキャラを無視出来る・・・そういうシナリオも少なくないのです。もちろん、ボスキャラを倒す事がシナリオクリアの条件になっている場合はこの限りではありませんが。

 このように、「ソーサリアン」では決まった攻略法という物が存在しません。つまり、ある程度までは(システムの束縛を超えようとしない限り)プレイヤーが自由にキャラたちを成長させる事の出来るRPG、それが「ソーサリアン」なのです。

☆戦闘がメインではないRPG

 さらに、「ソーサリアン」について「内容は極めてAVG的」と書きました。
 実は、「ソーサリアン」においては、いわゆる「経験稼ぎ」の手段が「戦闘」においてはあまり意味がない物になっています。というのもボスキャラを除いて、ほとんどのザコキャラを全滅させても入手出来る経験値は微々たる物となっています。さらに、シナリオの間では、一切成長しません!これが一番重要な事です。

 という事は、どのようにして成長させるのか・・・?答えは、「ペンタウァの街に戻った時」なのです(つまり一端シナリオから抜けなければならない)。さらに言うならば、キャラのレベルアップは王様に謁見してはじめて、レベルアップがなされます。この辺りはTRPG的と言えましょう(TRPGも多くはシナリオ終了してはじめて、経験値などの分配が出来る)。
 そういう訳で、シナリオの中では、あまり戦闘をする必要はないし、逆に言えば無駄に危険な戦闘をしてはいけない事になります。
 また、先にも書いたようにボスキャラも、無視していいシナリオの場合は無理にボスキャラに戦いを挑まなくてもいい・・・という事は、「勝ち目のないボスキャラとは戦うな」という事になります。
 この点に気付かないと、最初の冒険で全滅という憂き目を見る事になります(ちなみに一番弱いボスでも、ある程度キャラが強くならないと倒せません)。

 そして、多くのシナリオではパズル的な部分と、仕掛けを解く部分、シナリオに登場するキャラとの会話がかなり重要になっています。
 こう書くと、何故「AVG的」と言ったのかがわかってもらえると思います。
 ただ、この部分が欠点になっている向きもあります。例えば、ドアなどに罠が仕掛けられている事が多く、運が悪いとリセットしかなくなる事もあるなど、ある意味で「理不尽」な場面も結構あります。ですが、それを補ってあまりある魅力が「ソーサリアン」にはありました。

☆複数のシナリオ

 また、「ソーサリアン」では基本シナリオでも15本のシナリオがあり、さらに追加シナリオを購入すればシナリオの数を増やす事が出来ます。特にゲームでは珍しく「他社による追加シナリオ」というのが出た事はかなり大きいでしょう(こういう事例はあまりない)。
 ちなみに基本シナリオと追加シナリオVOL.1はシナリオに解く順番はありません。
 ファルコムから出た追加シナリオには、

 追加シナリオVOL.1
 追加シナリオVOL.2 戦国ソーサリアン
 追加シナリオVOL.3 ピラミッドソーサリアン

 の3本があり、「戦国ソーサリアン」はその名の通り戦国時代をモチーフに、連作形式のシナリオになっています(5本のシナリオは順番に解くようになっている)。「ピラミッドソーサリアン」ではピラミッドを舞台に、新しいシステム(マルチウィンドゥ導入、戦闘時のダメージ計算の変更など)も追加。こっちもシナリオは順番に解くようになっています。

 それ以外では、ほとんどが「TAKERU」(昔あったソフトの自動販売機みたいな物で、ネットを利用していた)による販売です。例えば

 ソーサリアンNEWシナリオVOL.1 宇宙からの訪問者
 アモルフォス開発。SF仕立てのシナリオが基本になっています。
 シナリオ数は4本。おまけシナリオとして「魔法屋WIZ」があり、まったく新しい魔法が買える。
(この新しい魔法は基本シナリオでは手に入らない物ばかり)

 ギルガメッシュソーサリアン
 クエイザーソフト開発。プロデュースしたのはかの「ブラック・オニキス」の作者。
 ペンタウァの過去にまつわる話が、ペンタウァに縁のある国シュメール王国で明らかになる。
 シナリオ数は5本。

 セレクテッドソーサリアン
 アモルフォス開発。
 雑誌「コンプティーク」で行われた「ソーサリアン・シナリオコンテスト」で受賞した10作を実際に「ソーサリアンシナリオ」にした物。
 このシナリオ集だけ、少々変わっていて「2本ずつの販売」だった。
 また読者コーナーなどいろいろ。でも雑誌色が思いっきり出ている(笑)

 これだけの追加シナリオが出せたのも、「ソーサリアン」が「システム」と「シナリオ」を完全に分離した上で、様々な工夫をしたから出来た事なのでしょうが、当時は「シナリオが増える」という事だけでもう衝撃でした。
 なにしろ、「追加シナリオ」といえば「ザナドゥ」のシナリオ2のように「1つのシナリオが増える」という程度のがほとんどでしたから。だから「ソーサリアン」がかなりシステム化されているのは凄かったのです。このおかげで「シナリオ用にディスクを用意して、そこにデータを詰め込む」という芸当が出来るし、その結果として複数のシナリオをメーカーが用意出来た訳です。

 ただ、移植版の「ソーサリアン」では追加シナリオが出ないのが残念でした(MD版、PCE版の事)。こればっかりは仕方ないのですが(大人の事情とか、ハード上の制限とかそういう関係だし)。

☆「ドラゴンスレイヤーV」

 ところで、「ソーサリアン」は木屋さんが中心になって作ったゲームなので、当然「ドラゴンスレイヤー」シリーズに含まれ、その順番は5番目になっています。
 だからという訳ではないんですが、基本シナリオのレベル1〜5をクリアすると「ドラゴンモード」が出てきて、4種類のドラゴン−ヒドラ(「消えた王の杖」に登場)、ブルードラゴン(「暗黒の魔導士」に登場)、ヴァイデス(「ロマンシア」に登場)、そしてキングドラゴンと戦う事になります(順番に出てくるので倒さなければ次のドラゴンは出ない)。もちろん基本シナリオに出てきたドラゴンたちもかなりパワーアップしてるし、キングドラゴンは基本シナリオ全てをクリアしたばかりのキャラでも全滅させられるでしょう。
 それだけにキングドラゴンを倒し、美しいエンディングを見た時の達成感は格別でした。

☆移植版「ソーサリアン」

 「ソーサリアン」はかなり人気があったので、家庭用マシンへの移植要望もかなり高く、実際に移植されて人気を得ました。

 MD版・・・セガ開発。10本のMD版オリジナルシナリオで、10本目以外は順番なしに遊べます。
 ただしドラゴンモードはありません(10本目シナリオのラスボスが「ドラゴンモード」に相当する物になっている)。
 シナリオの一つ「ツイン・アイランズ」の謎の極悪さ(苦笑)は今でも語り草になっている。というのも、サンゴを鳴らしてメロディを再現するのだけど、ヒントがあまりなかったりする。
 元々MD用ディスクドライブが開発されていたので「追加シナリオもオッケーだ!」と思われていたが、結局ディスクドライブの話自体立ち消えになった為、追加シナリオの話も自然消滅。

 PCE版・・・CD-ROMを活かしてアニメを追加。PCE版オリジナルシナリオとPC版のシナリオを混同させた10本のシナリオ。開発・販売はビクター音産。
 ただ、あまり評判は良くなかったような・・・

 Windows版・・・正確には「ソーサリアンフォーエバー」のタイトルで、5本の「フォーエバー」版オリジナルシナリオの「ソーサリアン」として出ている。
 個人的にはもう少しシナリオ数を多くして欲しかった(5本じゃ少ない)。
 なお、Windowsでは「ソーサリアン・オリジナル」と称して基本シナリオ15本のリメイクも進行されている(現時点では画面写真のみ)。

 IBM-PC版・・・かなり古い。ついでに言えば全部英語(海外での販売だから当然)なので無理して手に入れる必要はないと思う。

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 ちなみに私がプレイしたのは基本シナリオ15本、Win版「ソーサリアンフォーエバー」、あとMD版の最初のシナリオだけ(全滅したのでやってない)。PC版を入手した時期が遅すぎたので追加シナリオが入手困難になっていたんです(涙)
 にしてもソーサリアン、欠点も多いけどそれ以上に楽しかったなぁ。今だととてもじゃないが無理だと思いますが(苦笑)
 あと気が向いたら全シナリオのタイトルを書いたリストも書こうかなぁ。
 ちなみに参考資料として「ALL ABOUT SORCERIAN(ソーサリアンのすべて)」を利用してます。かなり貴重な本の一つ。

 追加:2000年11/9、ついに「ソーサリアン・オリジナル」発売。それに合わせて「ALL ABOUT SORCERIAN」も復刻されることになりました。昔入手出来なかった人はこの機会に入手しましょう。店になかったら注文すればいいはずです。