Esの方程式

Abogado Powers
 AVG  PC−98/PC−AT/Win95


☆Es

 Es:(エス)精神構造モデルにおける自我、超自我の奥に位置する「抑圧される欲動」。今日の精神分析の主流である対象関係論、自己心理学からは、やや外れている。愛情欲動、攻撃破壊欲動のすべて。

☆今度は心理学・・・?(汗)

 前作「黒の断章」が結構気に入ったので、その続編を探してたら丁度Win95版が出ていたので入手してみました。うーん、またハマってしまった・・・(汗)
 今回はクトゥルー色がかなり薄くなっていて、そのかわり心理学の話が多いのだけど、充分に楽しめました。シナリオも前作より練られていて、「ふむふむ」と読ませてくれるし。
 今回は、3年前、もう一人の主人公の草薙が心理分析官候補生だった時からの因縁が物語の中心になっています。この「心理分析官」って設定の関係上、心理学の用語が少し出て来るんだけど、ねぇ・・・(汗)とはいえ難しい話ではないのでご安心を。
 ちなみに、18禁なのでHシーンはあります。・・・をい・・・確かにコレをSSに移植するのは難しいな・・・(やればわかりますが、話と密接しているので削りにくい)

☆「深淵を見る者は・・・」

 ロバート・K・レスラーが「FBI心理分析官」の冒頭で、引用していた文章をここに挙げておきたい。

 「深淵をのぞきこむとき、その深淵もこちらを見つめているのだ。」

 このゲームには、その言葉がほんとうにピッタリである。意味はわかると思うが・・・つまり、まれにだが、他人を操るというより心酔させるとでも言うのだろうか。カリスマにも近い「それ」を持つ殺人者がいるのである。そして、彼を分析しようとした者が「魅せられて」しまう事があるのだ。いわば−「深淵に取り込まれた」のである。この辺りは先述の「FBI心理分析官」に詳しい。
 そして、このゲームではそれがテーマでもある。実際のテーマは違うのだが、これ以上はネタバレなのであくまで「近い例」として出したまでである。これ以上は実際にプレイしてみて欲しい。
 そこには「黒の断章」同様、人間の恐さ、弱さ・・・そういった物がうまく表現されている。だからこそ物語にも深さが現われているのだ。

☆古代日本の信仰

 ところで、今回は舞台が日本国内に限定される事もあって、日本の信仰などに関する言及が細かくされているのだが・・・実に芸が細かい。例えば、比較的有名な事であるが、日本では古来「八」の字は「末広がり」とされ、縁起のいい数字となっていた。だからスサノオミコトのヤマタノオロチ退治ではオロチの名の頭に「八」が使われているし、三種の神器も草薙の剣を除いて他は「八」が付いている・・・こういった記述が所々にあるので、詳しくない人でもそれなりに楽しめるようになっている。この辺りは「黒の断章」よりもうまくなっていると思う。
 また、今回はクトゥルー神話との関係は思いっきり薄くなっているので、前作以上に一般向きかもしれない。

☆「人工失楽園」

 今回は前作「黒の断章」以上にスイスイ進めやすくなっているので、「あっさりしている」と思う人もいるかもしれないけど、話の深さは相変わらずなので考えながらプレイする事をオススメします。
 で、次の作品は「人工失楽園」だそうで。念のため断っておくが、TVドラマの「失楽園」とは全然関係ないです。文学作品の「失楽園」とは少し関係あるかもしれません。

 ・・・と言う訳で(どんな訳だ?)ブックガイド。

「インスマウスを覆う影」H・P・ラブクラフト
 「Es〜」の元ネタ・・・とはいっても、面影はほとんどないですが。名作なので、一度は読んでみるといいでしょう。ついでに、「バイオハザード」をプレイする前に読むと・・・ニヤリ

「FBI心理分析官」ロバート・K・レスラー
 少し前に「羊たちの沈黙」で話題になった本なので、読んだ人もいると思います。気の弱い人や、感受性の強い人は厳禁。私も少しヤバい気分になりそうだった・・・。とはいえ、ドキュメンタリーとして読むのならいい本です。ただし後味は悪いですが。
 ちなみに、パート2にはオウム事件も扱われています。

「失楽園」ミルトン
 これから入手予定(をい)。もちろん、文学作品の方です。内容はそのうち。
 岩波文庫で入手できます。

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