ジャッカル

主演:ブルース・ウィリス 監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ


THE JACKAL

☆判断に悩む作品

 この映画は、実に判断に悩みます。
 というのは、題名からもわかると思いますが、「ジャッカルの日」という小説の名作があり、それを映画化した物が「ジャッカルの日」として作られています。そして、そのリメイクがこの「ジャッカル」なのです。
 しかし、リメイクするにあたって原作のフォーサイスに打診したところ、タイトルをそのまま使う事は断られたので、やむを得ず「ジャッカル」というタイトルを付ける事にした・・・という事で、物語も旧作とはかなり変わっています。
 実はここが問題で、旧作を知っている人には「それは違うだろ!!」って言いたくなるし、でも旧作を知らない人には楽しめるという「困った」映画なのです(苦笑)

 私は旧作も見ているので、素直に楽しめた訳ではないのですが・・・うーむ。
 そうそう、ここでは「ジャッカルの日」を旧作、「ジャッカル」を新作として書いていきます。

☆「それは違うだろ!」

 とりあえず、新作では、旧作と比較した場合登場人物のキャラクター設定が大幅に変えられています。この辺は実際に見ればわかると思いますが・・・ここで一つ問題があって、旧作だと(日本では)あまり知られていない俳優が暗殺者「ジャッカル」を演じていたので、「正体不明の暗殺者」というのがかなりしっくりくるのですが、新作ではブルース・ウィリスなので存在感がありすぎて・・・(苦笑)
 もちろんこれは見る人のイメージの問題ですが、個人的にはやはり「正体不明の暗殺者」をやらせるのなら、もう少しマイナーな人の方が良かったかなぁ・・・?という感じ。さらに演技もちょっと「?」と思ってしまう場面が多いし。というのは、旧作だと「これは暗殺者だ」ってわざわざ思わせる演技が抑えられていたのですが、新作ではわざわざ余計な事してくれるし・・・
 ま、これはブルース・ウィリスが悪いというよりは脚本を書いた人が悪いのだと思いますが(ちなみにつっこみ入りまくりです、このシナリオ・・・)、一応。

 そして、ジャッカルの暗殺手段も変えられていて、旧作では特製ライフルでの狙撃ですが、新作ではハイテクを駆使した武器。なんかガトリング銃みたいな物にワイヤレスで操作する装置を付けた物なんだけど、うーん・・・(苦笑)派手と言えば派手だけど、実のところ必然性があまりないと思うというのは書いちゃいけないのでしょうか(苦笑)それにすぐバレやすくなるだけって気もするが。

 この2点だけでも頭を抱えたくなるんですが・・・これだったらいっそ「ジャッカル」という名前に拘らなくても良さそうなもんだと思うんだけどね。実際、旧作と分けて考えれば「割と良く出来たアクション」ですが、間違ってもサスペンスじゃないし。

☆という訳で・・・

 という事で、旧作が好きなのであれば、新作の方は見ない方がいいかも。
 私自身「旧作のサスペンスはどこに行ったー!!(涙)」と思ってしまったし。
 旧作を見ていないなら楽しめるかもしれません。という事で、あまり悪くは言いたくないけど。

 でもこれだけは言わせてちょうだい。
 ラストで安っぽい人質事件になるのは勘弁してください。あれじゃ「プロの正体不明の暗殺者」という設定が泣きますって・・・
 (使い古され過ぎた決着の付け方で終わらさなくてもいいだろうに・・・)

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 いい点を挙げるとしたら・・・うーん。旧作に比べてアクションシーンが増えた・・・だけかなぁ。
 別の言い方をしたら「ただのアクション映画」って事ですけど(汗)