ジェイソンX 13日の金曜日

監督:ジム・アイザック


Jason X

☆クリスタル・レイクの殺人鬼

 数々の連続殺人事件を起こし、一部では伝説にすらなっていた殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズ。
 そのジェイソンがある事情から冷凍保存されてしまい、数百年後以上の未来になって宇宙に移動させられ、宇宙船の中で復活しまたしても連続殺人を繰り返す……という訳で、あらすじはあんまり意味がありません(苦笑)

☆バカホラーか、それともホラーか

 さて「13日の金曜日」(以下「13金」)シリーズは、シリーズ前半は「怖い」と「脅しのタイミング」「殺す瞬間」をうまく揃えた内容でした。つまり「恐怖」が映画の目的になってると言えます。
 ところが、シリーズの中盤辺りからはもう完全に「ジェイソンがどう復活し、どう殺し続けていくか」を目的にした内容になっていきます。それはもう「ホラー」から「バカホラー」に移っていく、と言ったらいいのでしょうか。
 こうなると、ジェイソンは「殺人鬼」でなく、都合のいい「モンスター」として扱われてしまい、場面によっては「怖い」の前後にツッコミが入るようなキャラクターになってしまいました。例えば、ホラー映画のお約束である「歩いてるのに走って逃げてる人に追いつく」場面は、シリーズ前半〜中盤ではまだマトモなんですが(そもそも追いつけないだろというツッコミは野暮)、後半になってくるとテレポートかワープでもしたかのような描写になってしまいます(顕著なのは8作目「ジェイソンN.Y.へ」で、例えば「逃げた人が逃げ込んだ建物」の2Fに「既にいる事になっている」という無茶な描写がある。もちろん「ジェイソンが建物に入る描写」はありません)。
 それでも「一応は」まだホラーとしては真っ当な部類に入る……のですが(苦笑)、ではこれをさらにどんどん無茶な(バカな)内容にしたらどうなるでしょうか?
 その解答の1つが「ジェイソンX」なのかもしれません。

☆バカSF……ですか?

 さて「ジェイソンX」では、前述したように舞台が宇宙及び宇宙船になっています(どうしてかは映画を見ればわかるので省略)。
 つまりSF仕立てになってるのですが、ではどういう内容かと言うと……一言で言えば「バカSF」。
 もう本当に都合良すぎるぐらいに「いろいろと揃いすぎて」て、見てて笑ってしまいたくなるほど。というか、少なくとも脚本や企画の段階でわざとやってる(狙ってる)んだろうなと思うような場面が多いんですよね。後半の「バーチャルリアリティみたいな仕掛け」でジェイソンに偽物の人間を襲わせる場面とか。あとは途中で一度ジェイソン退場、では復活は……?とか。
 ただ、これはジェイソンというキャラクターだから成り立つギャグだなぁ、とも思いますが。
 つまり「ジェイソンX」では、もうほぼ完全に「怖がらせる事を目的にしてない」んじゃないかなぁ……。むしろジェイソンがどう暴れるか、そして最後の「もういいって」というツッコミを映画の中の人物に言わせてしまうギャグ(……だよなぁ?)が「ジェイソンX」の目的(オチ)であって、それ以上の事は何も考えてないんじゃないかなと……(苦笑)
 いや楽しかったですけど!(苦笑)

☆心の広い人向け(苦笑)

 ……まぁ、心の広い人向けだとは思いますが(苦笑)
 あとはホラー映画のお約束でツッコムのが楽しいという人向け、かな。ほら、「それ死亡フラグ!(笑)」とかそういう。
 何にしても、真っ当な意味での「ホラー映画」の恐怖を求めちゃいけません(苦笑)そもそも殺し方も、今回は一部を除いてはもうギャグにしかなってないし。


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