サンダークラップス!

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ThnderClaps!

☆オフビート

『そうだな。ぼくの事は調子っぱずれ(オフビート)と呼んでくれ。子供のころから、そう呼ばれていたんだ』
(世界初のスーパーヒーロー、スーパーオフビートの最初の言葉)

 この世界にはスーパーヒーローがいる。

 最初のスーパーヒーロー……正確には、「最初に公認された」スーパーヒーロー、「スーパーオフビート」が活躍を始めて以来、様々な能力を持った者たちが世に出るようになった。
 ある者はその力を私利私欲の為に使い、ある者は自分の信ずる正義の為に使い……
 当然の事ながら、能力者同士の対立もあれば、能力者の活躍によって災害が未然に防がれたという事件も起こる。
 人々は、彼らのような特殊な能力を持った者の事を、こう呼んだ。
 最初のスーパーヒーロー「スーパーオフビート」に習い、「オフビート」と――

☆「ヒーロー物」とは言っても

 「サンダークラップス!」は、いわゆる「ヒーローもの」のジャンルです。
 さて「ヒーローもの」というと、何を思い浮かべますか?
 例えば「スーパーマン」のような勧善懲悪、極めて単純な内容。
 あるいは「X-MEN」のように善悪混同な内容。
 またあるいは、「戦隊シリーズ」のように勧善懲悪を中心にしつつ、どちらかというとアクション中心な内容。
 またあるいは「バットマン」「ダークマン」のように、アンチ・ヒーローもしくはダーク・ヒーロー。

 そしてこの「サンダークラップス」はというと?
 今回はこの辺りに触れてみましょう。

☆「お約束」の1、「縛り」

 さてヒーロー物の「お約束」というか、ヒーロー物として成り立つには「敵の存在」など主な要素(お約束)が必要ですが、そういうのはとりあえずここではパス。
 では何を扱うかというと、「縛り」だったりします。

 というのは、ヒーロー物には必ず何らかの形での「縛り」がある訳です。逆に言えば、この「縛り」がないと物語が成り立たない…という事で、結構重要だったりする訳です。
 例えばほとんどのヒーローに共通するのは「正体を知られない(知られてはいけない)」というのがあるけど、これは実際にはそう強力な「縛り」とは言えません(正体をバラしてるヒーローって結構いるし……)。もちろん、初期のアメコミではこの「縛り」は有効だったのは確かですけどね。
 実際に「縛り」として使われるのは、例えば強烈なトラウマだったり、あるいは何かの形での「制限」(例えばある物に対しては全く無力、とか)だったりするし、その「縛り」によって物語が勝手に突き抜けていくのを防げる(ヒーローが完全に無敵だったら敵を全滅させたりすればおしまいだし)、などの効果がある訳です。しかしその「縛り」にもある程度は説得力がなければ、かえってシラける原因になってしまうので、それなりに考えられた物が出てくるのですが。
 そして「サンダークラップス!」の場合はというと……

 若干ネタバレになってしまいますが、とりあえずゲームを楽しむ程度には支障のない範囲で書くと。
 まず、主人公にはある種の制約があります。それは「絶対に抵抗出来ない者」の存在。
 つまり主人公は、対抗する事の出来ない者がいます。しかもそれは「悪」の側の存在。
 それ以外の者に対しては強いんだけど、この者に対しては完全に無力――という事で、しかも18禁ゲームですから(苦笑)、それを利用されるという展開も当然ながらあります。しかも序盤の方から……(理由はプレイすればすぐにわかります)

 だけど、これはちょっと新鮮でしたね。
 今までにもヒーローものの18禁ゲームはいくつか出ているんだけど、こういう「弱点」(縛り)は意外なほど出てなかったと思うし。
 もちろん、この弱点という設定は、ただそのまま出てるだけではなく、後半できっちり弱点が処理されるなど「その後」のフォローもされてます。これは当たり前のような話だが……ある意味では「コロンブスの卵」なんだよね。

 また、この「縛り」は、主人公の立場にも影響を与えています。つまり、ヒーローとして活動するけれども、その根っ子自体が「悪に利用されている」という状況だったりするんですね。簡単に言えば「お前がヒーローとして信用されれば、それだけ俺の活動がやりやすくなる」という事で。
 これがどういう意味を持つのか、そしてこの状況がどのようにして打破されるのか、についてはゲームをやってのお楽しみ。

☆オフビートたちの活躍

 さて、この舞台になる世界は、オフビートたちが活躍する世界です。
 ではオフビートたちはどう活動してるのかというと。
 単独で行動する者もいれば、ある程度のグループを結成し、グループ同士で活動してたりもします。
 この辺りはアメコミを強く意識しているし(実際、原作の小説ではアメコミの作者たちの名があとがきに出てきます)、雰囲気もアメコミのそれに近いです。余談ですが、オフビートの名前の付け方自体もアメコミ風。例えば白昼夢を見せる「ディドリーマー」や、"最悪なる者"「ザ・ワースト」など。

 そして主人公も、そんなオフビートたちの活躍に憧れたりしていたのですが、自分が実際にオフビートになり、いくつもの事件に関わるうちに、自分もオフビートとしての苦悩を知るようになる……と、これもまあお約束と言えばお約束かな。
 ちなみに原作小説ではいくつものグループが登場しますが、「サンダークラップス!」ではグループ「サンダークラップス」の活躍を中心にしています(他のグループは、一部の者を除けば基本的に名前だけの登場)。
 そして、メンバーたちの活躍だけでなく、主人公も含めて私生活の面もある訳ですが、この辺りの描写も割と丁寧に書かれています。「割と」というのは、私生活の部分はどっちかというとギャグ的な場面が多いからなんだけど(笑)
 それ以上に、個々のキャラクターがかなり個性的なんだよね。悪役も含めて。

☆ゲームとしては?

 とまあ、物語としてはかなり個性があるんで、好き嫌いは出そうだけど(アメコミが苦手って人は特に注意)、単純な勧善懲悪ものでないのが結構気に入りました。

 ただ、ゲームとして見た場合、システムがちょっと辛かった。
 このゲームの場合、文章の表示スピードが変えられないんだよね(一瞬で表示させる設定がない)。一応、ボタンを押す事で文章を一瞬に表示する事は出来るけど、その分マウスをクリックする手が疲れる(苦笑)文章を一瞬で表示させる設定が欲しかったな。
 また、章の始めには名セリフ(「サンダークラップス」の舞台で、過去に発表された発言などという設定)が表示されますが、この表示はかなりカッコいいものの、みんな「長い」文なんで、全文読む前に消えてしまう(苦笑)だもんで、CGモードでもこの画面を見られると嬉しかったのだけど……一応、文章自体は原作小説によっている物なので原作小説を読めば見つかりますが。ちなみに「名セリフ」とは、このレポートの最初に出ているスーパーオフビートのセリフとかがそうです。ゲーム中での展開で出てくるセリフではありません。

 あと。
 これは18禁ゲームですが、いわゆる「ノーマル」なHシーンはトゥルーエンドの最後の最後の方にしかないような気がします(苦笑)
 ……いや、いいんだけど(苦笑)

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 原作小説(と言った方がわかりやすいかな?本当は原作というか、ゲームの方が外伝みたいな物なんだけど)は、マイクロデザイン社から出ている二次元ドリ−ムノベルズ「サンダークラップス」(羽沢向一 著)、現在3巻まで出ています。ちなみにこれも18禁なので注意。
 小説の方はエロ中心とはいえ、「ヒーローもの」としての部分もちゃんとしたものです。アメコミ好きは見たら、笑うか怒るかのどっちかだろうけど(苦笑)……俺?笑ったよ。


うしとら
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