うる星やつら2
ビューティフル・ドリーマー

監督:押井 守


URUSEI YATSURA2 Beautiful Dreamer

☆美しき夢人

 舞台はすっかり荒廃した友引町。
 校舎全体が水没し、ほとんど崩壊している友引高校のそばで、サクラやメガネたちは肌を焼いている。
 面堂は双眼鏡で何かを眺めているし、ラムとテンたちは水上スキーで遊んでいる。
 そして諸星あたるは、魂ここにあらずといった顔で水上に立ちつくしている・・・

 学園祭前夜祭。
 友引高校では、みんな明日の学園祭の準備に大わらわで、忙しく動き回っている。
 あたるのクラスでは「純喫茶 第三帝国」の設営の最中。
 その最中に、あたるとラムが原因で、例によって大騒ぎになり・・・
 その後辺りから、みんな気付かないけれども友引町全体にちょっとした異変が起こり始めていた。

 最初に異変に気付いたのは温泉マークだった。
 学園祭のドタバタですっかり「移動するストレス」と化していた為に、サクラに下宿して休みをとるように言われていて、休みをとっていたのだ。
 その休みの中で温泉マークはある恐ろしい事に気付いてしまった。彼はその事をサクラに相談する。
 「もしかしたら、毎日が、同じ日が繰り返しているのでは・・・?」

☆「理不尽」でいっぱい

 この「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は、「うる星やつら」の劇場版シリーズでも一番評価が高く、かつ一番有名な作品・・・との事ですが、とりあえずここではそういう事はパスします。
 ついでに「押井 守」の代表作の1つとしても有名で、さらに「うる星やつらの押井」か「押井のうる星やつら」かという議論もあるのは知っていますが、これに関してもここでは取り上げません。だから「押井 守がどーのこーの」というのが見たい人はアニメに詳しい本を探すなりアニメ系のページをあさるなりしてください。私としては「押井 守」の名で見ている訳ではないので。

 さて、この映画は本当に「理不尽」がいっぱい詰まっています。
 話の軸になる「同じ日が繰り返す」というのを始めとして、物語の中盤で出てくる「カメ」、そして突如人の気配が全て絶え、終末になってしまうなど様々な「理不尽」が出てきます。
 その理不尽さも、最後まで見れば一応納得出来るかもしれません(実際には途中でそのものスバリの答えが出てくるんだけど)。
 そう、タイトル通り「美しき夢人」が見る夢−それが「ビューティフル・ドリーマー」。だから理不尽であって当たり前なんですね。夢なんだから。そして、その夢を見るのは・・・

 それにしても、こう何回か見ないとよくわからないアニメ映画というのも珍しいんでないかなぁ。
 最初に見た時は「?」で、2回目に「あ、ここがこうで・・・」と少しずつわかってきて、3回以上で「ふんふん」とわかるようになっていく・・・という感じ。でもこの「わからない」ってのは「難しい」という意味ではないんですね。視覚トリックとか、同じ場面の繰り返しによるトリックとか、そういうのも含めての「わからない」なんです。
 さらに「話のつながり」をうまく頭の中で整理しないと「え?ここがコレだから・・・」となっちゃう、と。まぁ「夢」の世界だし。逆に言えば何回も見る事の出来る映画って事なんですが。

☆「責任とってね。」

 この「ビューティフル・ドリーマー」の特徴は他にもあります。基本的に会話を中心に、物語が展開していく格好のシーンが多く、そのため「見てわかる」内容じゃない部分が結構あります(耳の聞こえない私にはこれが辛かった。後でフィルムブックを見てわかるようになりましたが)。どっちかというと「アニメ」というよりは実写的なんですね。だから「気楽に見られるアニメ」を期待しない方がいいです。
 だけど、その分「どういう事なんだろう?」とか、考えながら見ると楽しめるようになってるのはさすがです。特に中盤〜後半にかけては必見でしょう。ある意味、一番「アニメ」らしい話でありながらどこかリアルな、そんな内容になっているし・・・そういう意味でも、確かにアニメの歴史を見る上では外せない作品だと思います。

 ついでに、今この「ビューティフル・ドリーマー」を見たい場合は2つの方法が考えられます。
 つまり1つはビデオレンタル、もう1つはLDを購入(現在ビデオは売っていないと思う)。
 ビデオレンタルの方は大抵置いてあると思うのでここではパスするとして、LDの方は気を付けた方がいいポイントがあります。
 実はLDには何種かあり、最初の盤、その後に出た再販盤、一番新しい「デジタルマスター版」の3種(おおまかに分けての話で、実際にはもう少しあるかもしれません)があります。このうち、最初の盤と再販盤は中古で買う事が出来ますが、ノイズが入っているのだそうです。デジタルマスター版にはノイズが入っていないので、「綺麗な内容のが欲しい」のであればデジタルマスター版を買うのが懸命だと思います。ただし出しているのは東宝なので、注文しないと買えないかもしれませんが・・・。

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 最近になってフィルムコミックを入手出来たんで、読んだ後にLDを見てみたらかなり内容がわかって感激。
 にしても・・・本当何回か見ないとよくわからん話だこと(汗)

 追加:2002年1月現在、DVDは国内では販売されておらず、いわゆる海外版を輸入販売している店で買うか、個人輸入する以外にDVD版を入手する方法はありません。このDVDの内容ですが、基本的に海外版の為、冒頭での「東宝」などの文字は全て海外向けに差し替えられています。音声は日本語と英語の2種が選択可能、字幕は英語。
 他の「うる星やつら」劇場版は全て国内版が普通に買えるだけに、「ビューティフル・ドリーマー」もなんとか国内版DVDを出して欲しいところ。なんでいつも「ビューティフル・ドリーマー」だけが割を食うかなぁ・・・(こういう権利関係での問題は本当勘弁して欲しい)

 追加:ついにDVD(もちろん国内版)が2002年9月20日発売予定になったそうです。これでかなり入手しやすくなる・・・はず。

 追加:上記の通り、やっと国内でもDVD版が出ました。音声や字幕などが嬉しい仕様になっています。


うしとら
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