プリンセスクラウン

アトラス アクションRPG SS


PRINCESS CROWN

☆むかしむかし・・・

 むかしむかし、魔王の軍勢がヴァレンディア王国を襲ったことがありました。
 悪魔に騎士たちが次々と倒されていくその中、エルファーラン王女は自ら剣をふるい、ついには悪魔どもを撃退し、王国に平和が戻りました。
 その後しばらくして、エルファーラン王女は亡くなってしまいました。

 それから数年後・・・
 エルファーラン王女には3人の娘がいました。
 長女のエリエル、次女のシドラエル、そして末娘のグラドリエル。
 そして、王位を継ぐのは末娘のグラドリエルに決まり、無事に戴冠式も終わりました。
 そうして、先代のエルファーラン王女が守った平和は続くと思われたのですが・・・

 グラドリエルが王女になってしばらくしてのことです。
 民衆たちの相談を聞いていて、王国のことをよく知らない事に気付いたグラドリエルは、もっと見聞を広める為に王国の方々を見て回ろうとするのですが、宮廷魔術師であるジェストナイに止められてしまいます。
 しかしグラドリエルは「世の中を見てまわることが必要だ」と思い、夜にこっそり城を抜け出すことにしました。

☆意外なロングセラー

 この「プリンセスクラウン」は、SSのゲームの中でも結構息が長く売れているゲームだそうです。
 現在ではもうほとんど新品を見掛けませんが、メッセサンオーではまだ新品を時々入れていて、それがまたそれなりに売れているそうです(さすがにサタコレ版ですが)。
 そして、プレイした人の多くが「いいゲームだよ」と言う・・・

 そういう評判でしたから、私も入手してみました。
 そしてプレイしたところ、評判のいい理由がよくわかりました。本当作り手が楽しんで作ったんだなと思うほど。
 では、その「プリンセスクラウン」、略して「プリクラ」とは・・・?

☆アクションのあるAVG?

 「プリクラ」は、ジャンル分けがしにくいのですが・・・基本的にはRPGとAVGを合わせたような内容になってます。基本がAVGで、戦闘シーンだけが対戦格闘ゲーム風のアクションゲームになっています。
 その戦闘シーンは多少のクセがあるものの、そのクセもうまくやればいい程度のものになっているし、それなりに緊張感を出していますね。というのはルールが結構単純な割には、タイミングなどをうまく合わせないといけないのですね。
 例えば、相手がジャンプする事が多いようなったら、そのジャンプに合わせて攻撃を当ててやれば相手が転んで、そこを追い討ち出来ます。しかし攻撃が当たるまでに多少のラグがあるので、相手が近すぎる時には「回避」をしたり、または「防御」して、相手の行動にスキが出来たらそこをつく・・・
 これだけでも結構要素が含まれています。つまり「攻撃」にしてみれば、「攻撃してさらに追い討ち」「攻撃して、相手が倒れているうちにアイテムを使う」という行動があるし、「防御」も「防御」「回避」の他に、体力に余裕があるなら「わざとダウンして起き上がり攻撃」という選択だってある訳です。
 まぁ、実際にはそこまで考えなくてもいいのですが、いわゆる「ハメ」に近い事も出来たりと工夫次第でいろいろ出来ます。それにこのおかげでいわゆる「ザコ」でもただ剣を振っていればいいようにはなっていません。

 この戦闘シーンの利点は、RPGにありがちな「パラメータを重視」ということをしなくていいという事でしょう。かなりのレベル差がある時はさすがに別ですが、相手とのレベル差が少々あっても戦い方次第ではどうにか勝つ事も出来ます。もちろん下手な人は経験稼ぎをして体力を伸ばしておけばいいし。
 しかしいわゆる「経験稼ぎ」自体をあまり意識しなくても勝手にレベルが上がっていくような印象があるのは確かですね。この事はバランスが結構いいという事でもあります。
 もう1つの特徴として、「プリクラ」ほどスライムやゴブリンといった敵キャラでも決してあなどれないというのが挙げられるでしょう。
 後半になるほど、この敵たちも強く(別の言い方をすると「いやらしく」)なるんだけど、この変化がうまいんですよ。空振りをしただけでもすぐにその隙に攻撃してきたり、と気が抜けなくなっていくんですから(これも対戦格闘ゲーム風だから出来る変化ですね)。
 おかげで、後半なんぞはドラゴンなどよりもゴブリンの方が「いやぁぁぁぁっ!!」ってなったり・・・

☆お話は少し長いかな?

 そして、お話は・・・「全体としては」少し長いかも。
 「全体としては」というのは、「プリクラ」のお話に仕掛けがあるのですが、これは実際にプレイしてのお楽しみという事で(マニュアルの時点で結構バレバレですけど一応)。
 とにかく、グラドリエル王女の冒険譚、というよりは王国見物記なんですが、これがうまい具合に話を膨らませてあって、最初は「ここはどこかな?」と少しずつ進めていくうちになんとなく「ここは○○という村」とか「あそこは○Xがいるところ」という感じで王国の様子が段々覚えられるようになっています。その為にわざと一本道になっているようですけどね。
 そして出てくるキャラたちも演技たっぷりで登場し、お話に色を添えています。
 例えば、「ドラゴン殺し」エドワード。いたずら好きの魔女プロセルピナ。義賊にして海賊のポートガス。病弱の妹を思いやる、エリエル。そしてある事件をきっかけにグラドリエルに付いていく妖精アーリア。
 こういった面々がある時にはグラドリエルを助けたり、ある時はグラドリエルが協力したりしていきます。そうして、王国のことを知っていくグラドリエルですが、その途中から王国に不穏な動きがある事も知っていくのですが・・・

 という感じで、一度イベントが起こるといろいろ動きがあったりして結構盛り上がります。
 ただ、この事は人によっては「冗長だ」と感じるかもしれません(特に某キャラのシナリオで)。実際、別の言い方をすれば、話がある所以外は展開の起伏に乏しいという事ですし。というのは、基本的にAVG的だから仕方ないのですが、通常のシーンは本当にあまり動きが起こらないのですね。
 だからじっくり気長に遊ぶ、というのが「プリクラ」には合っていると思います。

☆うまい物を食べたくなる(笑)

 そして、「プリクラ」といえば、食べ物でしょう。
 本当にうまそうな食べ物が結構出てきます(バリエーションは少ないのですが)。
 それらをうまそうに食べる仕草がまたいいんですよね。個性も出ているし・・・グラドリエル王女は本当に上品に食べるとか、ある物を食べきったときは口を上品に抑えて「げっぷ」とか、本当に細かくてもう。
 だから食事時にこのゲームはやらない方がいいかも。「私もこんな物食べたーい!!」ってなっちゃったりするでしょうし・・・というか私がそうなったんですが。
 (ところで、「パン」はどこから出したのか・・・?(苦笑))

 ゲームの中で食事をうまそうにとるというと、「グランディア」と「プリクラ」以外にはあまり知らないけど、うまそうな食事シーンっていいよなぁ。

 他にも、いろいろ仕草が細かかったりするんですよね。その反面動きが少々もったりとしているけど、これは好き好きでしょうね。私は少し気になったけど、その代わりイベントでの動きが芸コマなんで、許容範囲でしたが。
 しかしまぁ・・・よくも見事に表現するよなぁ。結構動き自体は案外少ないのに、セリフなどとピッタリ合わせてあるんで違和感もないし(これって結構大変なんです)。

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 とりあえずサタコレ版でいいからSSを持ってるならやって損はないと思いますよ。
 しかし本当に芸が細かいよなぁ・・・