R-TYPE FINAL

アイレムソフトウェアエンジニアリング
STG PS2


R-TYPE FINAL

☆R-TYPE最終作

 PS2になって登場した「R-TYPE」。
 しかしそれは同時に、「最終作」でもありました。
 というのも、元々「これ以上STGは作らない」という事を条件に、特別にOKが出た企画なんだそうで……
 アーケードでもSTGを作るメーカーは少しずつ減っていくし、コナミもグラディウスVはついにPS2のみ(アーケードには出ない)、などなどSTGは少しずつ寂しくなっていってるようです。
 そしてアイレムが「これまでのアイレムSTGの総決算」として出した「R-TYPE FINAL」。
 その内容はどうなのでしょうか?

☆完全3DになったR-TYPE

 今回、「R-TYPE」が完全3Dになりました。
 え?「デルタ」の時にもう3Dで作られてない?と思うでしょうが、デルタの時はまだ「3Dで2Dゲームを」という作りになっていたのですね。つまりステージ開始時の演出の時に3Dが使われてる、という感じの使い方。

 それに対して、「FINAL」では、ゲーム中に自機をよく見ると、上からの視点だったり横からの視点だったり……
 そう、今回はステージ進行の間にもこっそりカメラ視点が変わっていくような作りになってるんですね。敵も同じアングルから見るようになっているので、見えている敵の形も変化しています。
 この為、今回は敵の当たり判定がかなり厳密に決められていて、アングルの変化などで当たり判定も変化するようになっています。一部、これがやっかいな敵もいるけど、基本的にはそんなに意識しなくても大丈夫なようになっています。基本的には「見た目」通りの当たり判定ですし。
 この演出がよくわかるのは1面、3面(巨大戦艦)。当たり判定の変化を知りたい場合は1面ボスの特大レーザーが参考になるでしょうね。このレーザーは、当たり判定が一定ではないので、噴射中は平気な位置にギリギリ近づいていると、細くなる直前の当たり判定の変化で死にます(細くなる直前は当たり判定がわずかに外へ膨らむ。よく見るとわかるけど、この瞬間だけレーザーもわずかに太くなっているのですが……)。

 今作では、「デルタ」の時以上に3Dで構成したキャラの動かし方がうまくなっていたりして、元々PSとPS2のハードの性能差があるとはいえ演出面でのパワーアップがはっきりわかります。

「やりこみ」?「作業」?

 さて肝心のSTGとしての内容ですが……
 とりあえずは、一通り揃っていると言えます。
 ステージも隠しステージなどの要素があり、それなりにやりこみは出来ます。
 自機も101機(99機+2機)あり、これによってやりこみがもっと深くなったかというと……

 まず説明すると、自機のバリエーションの増やし方は、基本的に「プレイ時間」「特定の機種でのプレイ時間」「特定のステージクリア」、とこのいずれかの条件で決まっています。
 そしてほとんどは勝手に増えていく(プレイ時間以外の条件がない)のですが、問題は、増えていく自機のほとんどが「特定の機種でのプレイ時間」という条件になっている事。これは文字通り特定の機種を使い込んでいかないと増えてくれない機体なのですね。
 これが「やりこみ」においてかなりネックになってしまっているんです。
 つまり、自機の種類が多いのはいいんだけど、自機を増やす「作業」を先にしないと、思う存分遊ぶ気になるのが厳しい(他の自機でも遊んでみたいから)。自分の好みに合った機体がまだ他にもありそう、と思うしね。
 せめて条件が「プレイ時間」であればまだいいんだけど、この作りだと、「強制的にやらされている」という印象もあるんだよね。特に「使いにくい」機体を使う事が条件になっている部分。使いにくい機体は本当に使いにくい(クセが強すぎる機体もある)。

 そして、全機種を出すには結構時間がかかるし……
 例えば、「特定の機体でのプレイ時間」で要求されているのが120分、なんてのもあります。
 でも120分というのは、この内容としては長すぎる時間だと思うのです。
 多くの場合、60分クリアで出る機体の時は出るまでに3、4周ぐらい繰り返しているような気がします。つまりそのぐらい、体感時間では「出るまでがとても長い」と感じるのですが……まして120分になると、体感時間ではもっと長く感じてしまうのです。こういう条件はもう少し緩くして欲しいところ。せめて4面クリア辺りで増えてくれる程度ならまだ良かったんだけど。
 さらに一部の機種は、何故か出るまでに異様に時間がかかるケースもあったりして、これがまた個人差が激しいみたいで、すぐに出た人もいればなかなか出ない人もいたりするというのは……私もなかなか出なくて「本当に出るのか?」って思ってしまったほどだし。
 あと一部の自機の条件が本当にわかりにくい(知らないと「そんなんありかよ!」って思ってしまう)のが難点かな。こっちは条件が緩いのが救いですが。

 また、難易度も「BABY」など種類が多いのはいいんだけど、実際の難易度の差の付け方は「ザコの量・出現位置の調整」「一部の敵が弾を出すかどうか(弾を出す頻度も)」、そして「一部の敵の固さ」で調整されているんですよね。基本的には。
 実はこの「一部の敵の固さ」ってのが結構困りもの。最高ランクになると、もうパワーアップしている状態じゃないとやってられないんだよね……固すぎて固すぎて、自機の種類によってはほとんどクリア不可能じゃないのか、と思ってしまったりもする。
 これを除けば、難易度の変化はまあ妥当かな、とは思いますが……

 そしてこれは結構不満なんだけど、「処理落ち」みたいにスローがかかる場面が多いですね。
 巨大戦艦面のような面では、それでもまあいいんだけど(「いかにも巨大」って感じがするし)、隠しステージの方でのスロー場面はかなりプレイしにくいんです。
 具体的に書くと、自機の速度、波動砲を溜めるスピード、敵の移動スピードいずれも落ちてるのに、敵の誘導波動砲のスピードは速いまま(さすがに通常の状態よりは遅いけど)、という場面があって、この場面が非常にやりにくい。ここは自機の最高速度よりも誘導波動砲の方が速い為、うまく避けないといけないんですが、全体が処理落ちしている為に、判断と移動のタイミングがワンテンポズレているような感じがするのです。
 こういう、プレイ感覚を乱すような処理落ちとバランスはちょっと……原因は背景の演出なんだろうけど、もう少し遊びやすくして欲しい。

☆もう少し練り込みが欲しい

 このように、「(作業を)やらされている」感は強いものの、全体としては「今までのR-TYPE」と「新しいR-TYPE」をうまく咬み合わせてると言えます。確かに、「ここはもう少し……」って思う部分も結構あるけど(カメラ視点の変化の為の「間」がやたら多いとか、先述の処理落ちとか)、それを除けばまとまってますし。
 それだけに、もう少し練り込みが欲しかったのも否めませんが……この辺りがちょっと残念。

 あとこれはプレイヤーの環境にもよると思うけど、背景に「黒」が多用されてるのは仕方ないけど、その為に自機が「溶け込んで」しまうような状況が比較的ある(3面後半や4面中盤は特に)のが気になります。これは自機のカラーリングを明るい色に変えればいいと言えばそうなんだけど、今までの「R-TYPE」シリーズではあまりなかった事なので、もう少し考慮して欲しかったとも思います(今までは背景が黒くても自機が白いので溶け込む事はなかった。「デルタ」では黒い自機もあるけど、こっちも溶け込む事がほとんどなかったと記憶しています)。

 いずれにせよ、「R-TYPE」らしい所は実際にらしかったし、結構楽しんだので私はとりあえず満足ですけどね。「とりあえず」は。
 ……あの自機の増やし方だけはもう勘弁だけど。

「ゲームの部屋」に戻る

 自機を増やす作業の上での注意。「アーヴァンク」の次の機体が出たら、そちらを使い、また新しい機体が出たらそれを使い……(ここ、かなりの人が引っ掛かってますが条件は「アーヴァンクを使うこと」ではないのです。どうやらここだけ「番号順」という事で、こうなっているようです)

 しかし「イメージファイト」「X-マルチプライ」や「Mr.HELI」まであるとはなぁ。おもしろい機体もそれなりにあるのはいいんだけどね。「使えない」自機は勘弁して欲しいが(「バリア波動砲」ってかなり使いにくい……)


うしとら
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