スナッチャー

コナミ AVG PC-88/MSX2/PCE-SCD/PS/SS


SNATCHER

☆SNATCH

 1991年6月6日 モスクワ、チェルノートン研究所にて謎の大爆発。
 細菌兵器「ルシファーα」の拡散による生物災害(バイオ・ハザード)発生。
 −今で言う「大惨事」である。
 半年後、細菌兵器の突然変異、無害化により人類は全滅の危機を免れる。

 −50年後
 人類は異常な危機に直面していた。
 謎のバイオロイド(機械生命体)の出現である。
 国籍、目的、正体不明。
 某国の新兵器か?
 外界からの侵略者(エイリアン)か?
 彼らは人の身体を奪い(スナッチ)、すり替わることから、
 『スナッチャー』と呼ばれた・・・

 2042年12月 ネオ・コウベ・シティ
 一人の男が「JUNKER」に配属される事になった。
 男の名はギリアン・シード。
 彼はまだ、自分と「スナッチャー」の間に奇妙な因縁がある事に気付いてはいなかった・・・

☆CURE

 今でも、「何回でもプレイしたくなるシナリオを持ったAVGを挙げろ」と言われたら迷わずにこのタイトルを挙げる−それほどの思い入れがあるAVGである。
 確かに舞台は映画「ブレードランナー」を意識しているが、それを抜きにしても綿密に設定されていたりするし、PCE版では設定集が付録としてついていたりするのでそれを見るだけでも充分楽しめる。
 それだけではない。ゲームの中でそれらの設定はちゃんと使われているが、そういった設定がゲームの雰囲気を盛り上げるのはもちろんだが、設定が必要以上に前面に出て来ることはない。しかもストーリーにはちゃんとからんでくる−といった点にも注目して欲しい。こういうのは実際にやるのはかなり大変なのだが、そういう手法で成功したゲームの一つが「スナッチャー」なのだ。

 元々はPC-88とMSX2で出ていたゲームなのだが、これらは「未完」(「ACT 2」までしか入っていない)に終わっていた為にユーザーから「ぜひ、続編を!」の声が高かった。私も「チャレンジ!パソコンAVG&RPG V」に載っていた「スナッチャー」の記事で「スナッチャー」に引き込まれていたものの、88もMSX2も入手はほぼ不可能(そりゃそうだ)。だが、想像は想像を呼び、「スナッチャー」に対する思いはふくらんでいくばかりだった。そうして数年が過ぎた・・・
 PC-88版から4年。ついにコナミは「スナッチャー」をPCE-SCDで、しかも誰もが望んでいた形で発表することになる。ここでついに、「スナッチャー」の最終話である「ACT 3」が出て来た訳である。

 しかし、PCE版の「ACT 3」には不満がある。
 コマンド選択が全くなく、「見るだけ」なのは許す。しかし、だ。
 せめて字幕だけでも出して欲しかった。
 キャラがしゃべりまくる、しゃべりまくる。それはいいのだが、プレイヤーの中には、私のように耳の聞こえない者もいるのだが。
 もちろん、PCE-SCDに対してそれを望むのは酷なのはわかっているし、見ているだけでもエンディングは充分に堪能できたのでいいのだが。PSやSSに出た次回作「ポリスノーツ」では字幕がついているし。

 ところで、「スナッチャー」ではプレイヤーが飽きないように、色々な要素を入れている。モンタージュ、ガンシューティング(もどき)、暗号・・・それらが入っていても、ゲームそのもののテンポが崩れないように工夫されていたりしていて、終始「プレイヤー=ギリアン」の構図になっている。そういった工夫がなされているからこそ、「スナッチャー」の物語に引き込めれるし、思い入れもできるのだ。

☆JUNK

 と、ここまではPCE-SCD版での話。PCE-SCD版では、PC-88版のスタッフが直接関っていて完成度もかなり高かったので、個人的なベストセレクションの一つになっている。

 しかし、ネームバリューだけで安易に移植して、元の作品の良さを台無しにしてくれた「スナッチャー」がある。それがSS/PS版である。
 はっきり言う。「こだわれ!!」と。
 それが出来ないようでは、移植すべきではないし、移植する資格もない。
 不満点は山ほどあるが、代表的な物を挙げると、

1 安っぽいデモ。何故、変な人形みたいなスナッチャーを出したのだ。しかも雰囲気は盛り下がる出来。あのデモだけで容量を使うぐらいなら、ない方が100倍マシ。
2 PCE版のCGに、無理矢理色数を増やさせただけにしか見えないCG。変につやつやしているので、特にPCEでカッコいいシーンもこちらでは「安っぽい」物になってしまった。特に銃の重量感が完全に失われているのは・・・オモチャじゃないんだけどなぁ・・・
3 背景が目障り。メッセージウィンドゥにかかるので文字が見にくい。これまた、「ない方が100倍マシ」なものである。
4 オープニングの変更、というより「短縮」。
5 説明書がかなり手抜き(パソコン版、PCE版では設定もかなり載っているが、こちらではかなり減っている)

 これを見た時点で、コナミに対する信用がまた一つ、減ってしまった。
 なんか、PCE版のスタッフ自体関っていないようだし、「なんだかなー」である。
 ネームバリューだけで移植するのはもうやめて欲しい。

 ・・・「ときめきメモリアル」「グラディウス」などはこだわって移植しているのになぁ・・・(怒)「ポリスノーツ」なんか、それぞれの機種ごとにほとんど新規作り起こしなのに。やっぱり移植するならちゃんとした物を見せてね。

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 少し前にPC-88版とMSX2版を見る機会がありましたが、PCE版と比較しても見劣りのしないOPでした。やっぱり「スナッチャー」はカッコいいッス。
 PS/SS版は・・・「スナッチャー」を知らない人にはいいかもしれんけど、PCE版経験者としてはちょっと複雑な心境です。特にPS版はモザイクが入れられていて、ゲームの雰囲気がブチ壊しになっていますし(人が死んでいるシーンでモザイクがかかってるんです。かなり変な感じ)。
 ちなみにシナリオ・監督は今では「メタルギアソリッド」「ポリスノーツ」で有名な小島秀夫さんです。