イースV
失われた砂の都ケフィン

日本ファルコム RPG SFC


Ys V

☆幻の都・・・ケフィン

 今もなお、アフロカ大陸のどこかにあると言われる伝説の都−ケフィン。
 その存在は、ケフィンの名が伝説となった今でも、
 かつて錬金術によって栄えた国は、多くの国がそうであるように、いつしか歴史からその姿を消した。
 ある伝説によれば、街のすべてが錬金術により生み出された黄金で作られていて、ケフィンに眠る古代錬金術を手にした者にはすべての願いがかなえられるという。
 また別の伝説によれば、強力な錬金術の暴走により永遠に時空を漂うのみとも言われる。
 しかし、その存在を確かめた者は未だいない。

 失われた砂の都、千年王国−ケフィン。
 ケフィンを舞台とするこの物語は、後に「失われた古代王国イース」「セルセタの樹海」「アルタゴの五大竜」などを始めとする冒険家アドル・クリスティンの100を越える冒険日誌から起こされた書籍の一つであり、最初の冒険「失われた古代王国イース」から数えて5番目に大きい冒険とされている・・・

☆これ、本当にファルコム?

 いきなりで失礼ですが・・・「これ、本当にファルコム?」というのが正直な感想です。
 私の場合はゲーム中盤から「うーん?」という疑問がムクムクと沸き上がり、クリアした後は「・・・」という失望と「これ、本当にファルコム?」という落胆が私の中のほとんどを占めていました。
 個人的にファルコムと言えば、「システムとストーリーの両方がうまく咬み合っている」「ゲームバランスが絶妙」というイメージがあったんですが、この「イースV」にだけはそれが当てはまらないという感じなんです。なんていうのかな。アクションの味付け、ストーリーの味付け、そしてシステムの味付けがみんなイマイチでチグハグというか・・・。

 最初に断っておきますが、私は「イースV」の舞台設定はよく知らないです。肝心のマニュアルにはほとんど説明がないし・・・この辺は後で少し説明しますね。それと「エキスパート版」ではなく「ノーマル版」しかやっていません。

☆アクションについて

 「イースV」では、1&2と4のような「体当たり」ではなく、剣を振って戦うアクションになっています。他のゲームで言えば「セルダの伝説」(N64版除く)ですね。そしてジャンプがあり、当然地形も高さが設定されています。
 私としては、「体当たりじゃなきゃ『イース』じゃない」とは言いません。ただし、このシステムを採用したからには、そのシステムで楽しませて欲しいと思うのは当然でしょう。しかし結果としてこのシステムはあまり活かされていない印象が強いのです。戦闘にしても、地形を利用した仕掛けにしても「なんかイマイチ」というか・・・
 例えば、敵との戦闘は基本的に単調です(これには魔法のシステムにも原因があるのですが、魔法の事は後で説明します)。というのは、敵の攻撃とか、ジャンプとか、そういう行動の時の当たり判定がかなり妙になっていて「敵をジャンプでかわそうとしたのに敵(の攻撃)に当たる」のが普通になっている為、結局ジャンプをほとんど使わないのです。
 つまり、ジャンプという「類似3D」な行動を入れているにもかかわらず、当たり判定はすべて2Dで行っている為に「見掛け」として理不尽な当たり判定になってしまうんです。確かにSFCに完全な判定を望むのは酷なのかもしれませんが、アクションゲームとしては致命的な問題だと思います。
(ちなみに・・・これと似たシステムで「Xak2(サーク2)」(PC版、PCE版、SFC版有り)があるんですが、あっちではきっちりかわせます。こちらでは内部で3Dブロックを構築している為に、見掛け通りの高さに応じた当たり判定を持つんです。ただ、これはPC版での話でSFC版やPCE版でも同じかは知らないです)

 さらに、アドルは歩くだけなら8方向に動けます(つまりナナメ移動がある)。しかし剣を振るのは上下左右の4方向だけ・・・そう、ナナメ攻撃はありません。これもまた「単調」と感じる理由です。一応「盾で敵の攻撃を防ぐ」というのはあるんだけどね。

☆ジャンプって何?

 そして「ジャンプ」は単に地形に作られた仕掛けをクリアする為の行動、という感じになってしまいました。しかしその「仕掛け」がまた問題ありで・・・
 先に述べたようにアドルは8方向に歩けます。しかしジャンプもまた4方向にしかジャンプ出来ません(基本的には)。だから普段はナナメにボタンを押しっぱなしにしてジャンプしてしまう事も結構多い訳ですが、滝のシーンではなぜかナナメに引っかかりやすいんです(何故!?)。
 しかもこの滝は落ちたらまた最初からやり直しで結構ストレスが溜まるようになっているし、「イースV」の中で一番嫌なシーンは?と聞かれたら迷わずここを挙げたいほどです(頼まれたってもう二度とやりたくない)。
 しかも、全体を通してジャンプの必要性がほとんどない(むしろかえってジャマなシーンが多かったような・・・)んでジャンプの意味があまりないのが残念。

☆軽すぎる魔法の存在

 それから、「イースV」では「錬金魔法」と言って、エレメンタルを集めて錬金術師に持って行くと錬石を作ってくれます。これを装備して魔法を使える訳ですね。
 しかし、ほとんど使いませんでした。なぜって、強い(ダメージの多い)魔法は

 「発動が遅すぎるのがほとんど」

 だからです。それも、「せっかく敵を画面真ん中までおびきよせたのに敵が画面外に行ってしまった後にやっと発動する」といった具合で・・・
 こうなる理由は単純で、アドルが魔法を使う間は無敵状態になるんですが、この間は敵はアドルを見失った状態になるからさまよい続けるうちに画面外に出てしまうんです(本当に単純な理由だ)。
 しかしそういうアルゴリズムを抜きにしても、魔法をかけてから発動して、実際のダメージが出るまでの時間が長すぎるのが多いんですが(ちなみにエフェクト(演出)の間はダメージないのよ)。
 こうなると、「魔法なんか使ってられるか」と思ってしまうし、さらに追い打ちとして「ボス戦のほとんどで魔法が使えない」というのが・・・。
 結局、魔法の存在が単なる「飾り」でしかなくなったのはどうかなぁ・・・少なくとも、長すぎる演出はイライラするだけだったと思うし。

☆ヒントってあったっけ?

 それから、「イース」にしてはヒントがかなり少ないです。元々「イース」にヒントは少ないものの、「考えれば解ける」程度にはヒントがあったのですが・・・
 個人的に「ヒントが欲しい」と思ったのは3カ所。砂漠とラスト付近での鍵のありか、同じくラスト近くでの仕掛けですね。
 最初のは間違った道を通ると最初に戻される、つまり正しい道を見つけないといつまでたっても堂々巡りなのですが、このヒントらしき物がどこにもありません(なんで?)。直前にもらえるヒントはこの少し後の部分の事を指しているだけだし・・・わかりにくいトラップなのにヒントがないのはちょっと考え物だと思うんだけど・・・
 真ん中のははっきり言えば「最低」の一言。
 実は鍵は敵を倒して入手するのですが、これが「ランダム」・・・

ざけんな、ファルコム。

 道理で最初のプレイでいきなり変な所で鍵が手に入ったと思ったよ。2回目のプレイじゃ何回やっても出てこないし(運が悪いといつまでたっても解けないんでないかい?)。
 最後のはいくつかスイッチがあり、間違ったスイッチを踏むとトラップが動作、正しいスイッチを踏めば何も起こらないのですが、ヒントなんて全然ありません。まぁ、体力が回復する所なだけマシですが。
 これ以外ではそんなに難しくはないんですがね、念のため。でもこの3つはどうにかして欲しいぞ(それだけここが詰まりやすいんです)

☆あのぉ・・・このシステムは一体・・・(汗)

 そうそう、個人的に「イースV」最大の欠点はこれだと思います。
 それは「セーブ&ロード」。というのは、「セーブ」には2つあって、宿屋でセーブする、つまり通常のセーブの他に「ここでセーブしとこう」という「クイックセーブ」があるんです。その名でもわかると思いますが「一時的なセーブ」です。
 そして、この「クイックセーブ」でセーブした一時データをロードするのは「死んだ時(ゲームオーバー)」だけです。さらにリセットしたらデータは消えます
 そう・・・プレイヤーの意志で行う「ロード」は宿屋からやり直すコマンドしかないんです(大汗)つまり・・・クイックセーブに対応したロードコマンドがない、従って使い道はほとんどボス戦の前だけ、という・・・(大汗)っておいおい。
 このおかげで先述の「滝」のシーンはかなり苦痛でした(本当、「クイックロードが欲しい」と思った・・・)。

☆他にもあるけど(大汗)

 それから、ボスのバリエーションが少なすぎです。というか、目立つのは「空中に浮かぶ手と、本体」というボスがほとんどなんですが・・・このパターンがラスボスも含めて確か2、3種ってのは多くないか?他のボスといえば「火の竜」ぐらいしか印象に残っていないし。

 ストーリー面でも物足りない印象がかなり強いです。例えば「ストーカー」というキャラに関する話が(プレイヤーが)忘れた頃に出てきたり、ニーナの存在が結構地味だったり・・・ケフィンの話も全体としてほとんど語られていなかったと思うし。何よりプレイしていて、ニーナの事を「この人って何だっけ?」と思ってしまいました(ごめんなさい。でもあんまり目立っていないんだもの)。
 特にケフィンの存在に関しての説明がほとんどなされていないに等しいせいか、「どういうところ?」という疑問があるんですが・・・マニュアルでは説明がほとんど無いし、ゲーム中でも詳しくは説明されなかったから印象があまりないんです。
 聞けば元の原案自体は結構いい感じだったらしいのですが、カットされた部分が多いのかな?

 私が感じた不満はこんなところでしょうか。私は1980円で買ったからまだ我慢出来ますが、これが定価だったらほぼ間違いなくROMを破壊していたでしょう(ちなみに定価は12800円・・・)。
 全体としては「易しい」というより「易しすぎ」という印象が強く、普通にプレイしたのに7時間で終わった後に残ったのは、先に述べた「これ、本当にファルコム?」という感想だけでした・・・。

 もし、「イースV」をリメイクするとしたら、システムの総入れ替えとストーリーの補完をきっちりやって欲しいです。そうでないと私は買う気にはなりません。

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 あまりキツくは書きたくないんだけど・・・バグもあるし、(ゲームとして)印象が悪いのは事実。
 少なくともこのレベル、またはこれ以下のゲームがもうファルコムから出て欲しくないです。個人的にはファルコムはとても好きなソフトハウスなので。