キプロスに古来より伝わる予言がある。
魔神ダール蘇りしとき、
光神リスク、光の御子となりて
キプロスの地に降り立たん
-創世記最終章 巻末の一文-
キプロスの地の征服を企むビドーは、その配下七獣将と共に魔神ダールを蘇らせ、魔神ダールにより授かった力を用いて侵攻を開始した。
そして予言の通り魔神ダールが蘇ったように、光神リスクもまたキプロス王家の若い王子として君臨していた。それを知ったビドーはキプロス王家を壊滅させる。
王家崩壊の間際に、王家側近の三銃士は辛うじて王子を連れて脱出するが、その最中にビドー軍の追っ手に追いつかれてしまい、倒されてしまう。
しかし三銃士は死の間際に残った力を振り絞り、結界を張って王子を守る。そして最後に八玉を掲げて「勇士を見つけだし、王子を守れ」と命じると、空に放り投げた。八玉はそれぞれがみつけた勇士の元へ向かって飛んでいく。三銃士はそれを見届けると、静かに絶命していった。
ここまででもかなり長いんですが、この後に八玉の勇士たちのショートストーリーがさらに続きます。さすがにこれは後に回しましょう(長すぎるから・・・)。
ちなみにオープニングだけで約40分(苦笑)でも結構熱いオープニングでした。
「敵は56億7千万、挑むは8人!」
確かこんな感じのコピーだったかな。(追記:正しくは「敵は二億四千万、挑むは八匹の狼たち!!」のようです。)
このコピーが意味するのは、つまり登場人物たちはみんなとても強い人(中には明らかに人を超えた者もいるが)だから敵が1人2人どころか100人程度じゃとてもじゃないが敵じゃない。といった感じの事ですね。
しかも登場人物たちも、これがまた一筋縄ではいかないキャラばかり。特に際立っているのは幻左京(まぼろし・さきょう)とアレック・ヘストンでしょうね。
前者は昔ブレイングレイから出ていた「抜忍伝説」の登場人物ですが、「抜忍」の後のエピソードとして『人から神となり、龍の長・氷竜として行動している』事からも、並大抵の者では相手にならないのはわかるでしょう。後者も魔法に関してかなり詳しく、いち早く八玉の勇士たちの存在を知っている人物です。
しかしこれでちゃんと話になるのか?というと、これがちゃんと成り立つんですね。話の肝になるんで詳しくは書かないけど、徐々に制限が加わっていったりするようになっているし、これがまたうまいんです。
特に感心するのが、制限の加え方がうまいという事で、今までにこういったうまい制限をしているゲームは意外と少ないんですね。
また、戦闘シーンでも、キャラの強さの表現として、ザコは一度に「100人」「500人」といった人数で出てくる事があります。しかも一撃で「250人倒した!」というメッセージが・・・(笑)少し特殊ですが、確かにこういう表現もありだなと思います。これはアイデアの勝利ですね。
他にもRPGにありがちなストレスを減らす工夫として、好きな能力値を訓練する事が出来ます。例えば「攻撃力の訓練」を設定しておけば、そのキャラは歩き回っている間に勝手に経験値が溜まるようになっていて、普通に戦闘を繰り返すより早く攻撃力のレベルアップが出来ます。これは意外と便利で、それ以降のRPGで使っていないのが不思議なぐらいです(ゲームバランスの問題だと思うけどね)。
さて、主人公たちがとても強いんだったら、ビドー軍は・・・?というと、こっちはこっちで強いです。なんせ魔神ダールの力の加護があるんですから。特に七獣将はボスらしくとても強くなっています。
しかも、この魔神ダールと光神リスクの戦いには裏があって、実は・・・と物語も入り乱れて、どんどん先を見たくなる内容になっていました。
さて、それぞれの章の話として、勇士たちの話をちょこっと・・・記憶で書いているので間違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。
ザン・ハヤテの章
海賊の一員ザン・ハヤテ。
彼はビドー軍に捕らえられていたが、刑務所の中で青玉に出会い、青玉の勇士として仲間の海賊たちと共に脱獄。
しかし刑務所の出口では、刑務所の所長たちが待ち構えており、彼ら海賊たちの親分であるジャック・ランスロットが捕らえられていて・・・
幻左京の章
昔の恋人であるかえでの墓参りに、金竜と銀竜をお供に下界に向かった。
その途中で白玉に出会うが、その頼み事を聞く前にかえでの墓参りを済ませたいと白玉に言い、墓のある所に行く。
しかし思い出の場にかえでの墓はなく、近くでビドー軍が山の工事をしているのを見た左京は激怒。
「下界に関わる気はなかったが、気が変わった。ビドー軍を壊滅させるぞ・・・金竜、銀竜!」
プロット兄妹の章
「九尾の狐」ナインテールを親の仇と思い、ナインテール討伐の旅に出ているコンザ・プロットとマイマイ・プロットの兄妹。
しかし旅の途中で、マイマイがビドー軍にさらわれてしまい、ゴンザはマイマイを助けに向かうが・・・
クーク・ロー・タムの章
小さい頃から動物たちと話すのが好きな少年、クーク・ロー・タム。
彼の父が八玉の勇士に選ばれたので、彼は母と一緒に、父の親戚の家に預ける事になった。
その為にクークは両親たちと一緒に親戚の家に向かう事になる。
しかしそれが悲劇の始まりという事は、誰にもわからなかった・・・
リリアン・ランスロットの章
一枚の写真の男を探して、旅をして回っている女。
その男は、彼女が小さい頃に別れ別れになった父と、そして彼女の兄であった。
しかし兄の行方は何故か一向にわからず、占い師に占って貰ってやっと父の行方が判明した。
占い師の水晶玉が映し出した映像は、ザン・ハヤテが父の胸に短剣を突き刺している映像だった・・・
彼女は、必ず彼を殺すという決意を胸に、新たな旅に出る事になった。
ロマール・セバスチャン七世の章
父が危篤という報を受けて、サーカスから数年ぶりに家に帰ってきたロマール。
しかし数年という年月は、実家の回りがきな臭くなるには充分過ぎる年月だった。
ある事件を契機に、ロマールは八玉の頼みを受け、八玉の勇士としてビドー軍に立ち向かう決意をする。
アレック・ヘストンの章
七獣将が一人ハジャ・周芳(シュウホウ)の命令を聞いて(いるフリをして)占いをして、7人たちの素性を見事に映し出してみせたアレック。
「それで・・・8人目は誰だ。早く占うのだ、早くしろ・・・早くせんか!」
「ふおっふおっ、焦らずとも目の前にいるではないか」
「何だと!?」
「ふおっふおっふおっ・・・8人目は儂じゃよ」
「お、おのれっ・・・貴様がっ!!」
驚愕するハジャを楽しそうに眺めながら、からかうようにアレックは言う。
「八玉の勇士たちを見せてやったのは、彼らにとっていい試練になるようにという親心じゃよ。それに顔がバレたぐらいで負けるほど弱くはないわい。」
「じゃあ、儂は行くわい。それじゃあな!」
そう言うと、空中に飛び上がってテレポートしてしまうアレック。
その後には1人悔しがるハジャだけが残された。
「おのれ、おのれ・・・!必ずつかまえて八つ裂きにしてくれる!覚えておれよ、アレックーーー!!」
このように、最初はオムニバス物になっています。確かクリアする順番は自由だったかな。
そして全員クリアすると、「八玉の章」になります。ここでついに八玉の勇士たちとビドー軍の戦いが本格的に始まる訳ですね。
しかしただの勧善懲悪物ではなく、とんでん返しがあったり・・・と。
かなり古いから少し書いておいた方がいいでしょうね。
実は過去に光神リスクが魔神ダールを封印したのは、そうしないといけなかった−光と影のバランス。つまり魔神ダールが目障りだったが、魔神ダールを殺せば光神リスクも消滅してしまう。だから光神リスクは一計を案じて、ワザと争いを起こし、魔神ダールを封印したのです。
しかしその事に疑いを持っている神々も一部いました。その1人が幻左京(つまり彼は間接的にキプロスに来る理由も持っている)。
ですが、話の裏はそれだけに終わらず、ビドーの本来の目的は、光神リスクの殺害(=魔神ダールの消滅)、そして神々の間でのバランスが崩れる際に現れる武神来往道(ぶじんらいおうどう)、通称「ブライ」。この道を開き、自分が新たな神の位置に就く事だったのです。
(ちなみにこの世界では対極にある神々が存在する事でバランスを取っているという設定で、幻左京の対極に位置する神もいます)
という感じで、かなり複雑な話で、しかも七獣将と勇士たちの因縁もいろいろ絡んだりするなど本当にこれだけの話をまとめたなーという感じになっていました。
結局、「上巻」ではひとまずの決着を付けて終わり−という感じになっているのですが、それでもかなりボリュームたっぷりでした。
そういえば、この「BURAI 上巻」って、結構コンシューマなどにも移植されているんだけど、コンシューマの場合何故かPCエンジン版以外では下巻完結編は出てないんですね。ちなみにパソコンの場合、PC-88では何故か下巻完結編が出てないようです(PC-98ユーザーだったのでよく知らないけど)。
まぁ、一応上巻だけでもまとまっているんだけど・・・いいのかなぁ(苦笑) >コンシューマ版
私はゲームマシン版ではPCエンジン版しか見ていないけど、オープニングが大幅にカットされたりと結構不満が多い・・・仕方ないけど(苦笑)
ちなみに確認しているコンシューマ版はSFC、PCエンジン、メガCDです。先述のようにPCエンジン版以外の出来は知りませんけど。
個人的には一番いい出来なのはFM-Towns版でしょうね。
PC版では割と後発というのもあって、CGは綺麗だし、遊びやすくなってるし。何よりCD-ROMというのがとても扱いやすくて、当時はうらやましかった覚えがあります。
はー、疲れた・・・
ちなみにキャラデザはアニメ版「聖闘士星矢」「スペースコブラ」の荒木&姫野コンビ。
あとシナリオは「抜忍伝説」のシナリオも書いている飯島健男さん。しかしこの人、いくつもの会社に関係していたりと本当に忙しそうな人です(苦笑)知っているだけでもブレイングレイ(ラストハルマゲドン、抜忍伝説)、パンドラボックス(何があったっけ?)、ライトスタッフ(アルシャークなど)(←備考:これはあまりはっきりしませんが関係はあったようです。この辺の情報求む。)他にも少々あったような・・・
修正:飯島健男さんとライトスタッフとは(一応)関係があるようです。ないそうです。こちらは「エメラルドドラゴン」の飯淳さんとのこと。
(注:この辺↑の事情があまりはっきりしません。何か情報があればお願いします)
あと飯島健男さんはパンドラボックスの社長とのことでした。(これら2点の情報をいただきました。どうもでした)
サウンドも豪華で当時はかなり派手なPRをしていたゲームでした。
そういや「下巻完結編」は投げたなぁ・・・タルくて(苦笑)
余談。PCE、M-CD版などは「ブライ 八玉の勇士伝説」、PCE版の下巻は「ブライII 闇皇帝の逆襲」というタイトルに変更されてます。SFC版のタイトルは忘れた。