<人類>がまだこの<地球>の主役ですらなかった遙かな古代のこと。
今日では「エンシェント」と呼ばれる、複数の強大な存在が互いに争いを繰り広げていた。
「生命」たる赤、力のチャターガ。
「精神」たる緑、狂気のゼロータス。
「魔力」たる青、無限のウーリアス。
それらのさらに上位に属する、「混沌」たる紫のマントロク。
やがて、マントロクにより3つのエンシェントは<地球>からはじき出された後封印され、マントロクだけが<大地>に残った。そして3つのエンシェントはマントロクに対して攻撃を仕掛け、その時からマントロクは永遠に死に向かい続ける存在となる。
しかしマントロクは残された強大な力によって、ある計画を行い始めていた。その手始めとして、1冊の本をひっそりと残した・・・
アレキサンドラ・ロイヴァス(アレックス)は悪夢のただ中にいた。
自分の周りにじわじわと歩き寄ってくる骸骨ども。ライフルで撃ち倒しても、また新たに無数に現れ続ける骸骨ども。
ただ一つの出口は外から抑えられており、やがてライフルの弾も尽き・・・
その悪夢からアレックスを覚まさせたのは、深夜に鳴り響く電話の音。
アレックスの両親は幼い頃に亡くなっており、現在では祖父エドワードが唯一の肉親であった。その祖父の死を知らせる電話が届いたのだった。電話で伝えられたのは、祖父の死、そして警察からの遺体の身元確認。
そしてアレックスは祖父の館に出向いて行ったのだが、そこで見た祖父の姿は見るも無惨なものであった。しかも、不思議な事には、明らかに他殺であるにも関わらず部屋にも人の出入りした形跡が全くないのだという。
警察が去った後も、アレックスは祖父の死の原因を調べる為に館に留まる事にした。
それは1冊の本との出会いと、そしてさらなる恐怖への入り口だった・・・
このゲームは元は海外で出ていた同名のゲームを、日本向けにローカライズしてゲームキューブ用として出たものです。元になった海外版の方はキャラ(特にアレックス)の顔などが違うそうですが、基本的な内容は同一だそうです。
そういう訳で、基本的には洋ゲーなんですが、任天堂チェックによる調整も結構入っているとのことです。この関係でかなり遊びやすくなっているそうです。
とまあ、それはさておき。
このゲームは本当にコズミックホラーです。コズミックホラーと言えば、そう、ラヴクラフトですね。実際シナリオを書いた人などスタッフはラヴクラフトを意識して作っていたとか(他にヒッチコックも意識しているそうです)。
じゃクトゥルー神話?と思われるかもしれませんが、これは1/3は正解、残り全部ハズレというところですね。念のため書いておきますが、このゲームにおいては直接クトゥルー神話と結びつける事の出来る単語は一切ありません。もっとも、「要素」としてならかなり多いですが。
なんというのかな、根っ子の部分がコズミックホラーなんですよね。一部ダーレス的な要素も入ってる(「三すくみの関係」とかね)けど、これはゲームという事を考えると入れない方が無理でしょうね。
どこがどうコズミックホラーなのかは具体的に書くのは無理ですが(さすがにネタバレになっちゃうからなぁ・・・)、うーん。「宇宙は人間に対して慈悲も無慈悲もない」という要素が中心になっていると言えばいいのかな。一見すると、人間たち(というか主人公たち)は「善」の側に付いて「悪」と戦ってるような構図に見えるのね。でも実はどちらも「善」でも「悪」でもない、っていう(正確には少々違うけど、はっきり書くのもネタバレなんで勘弁)。
また、コズミックホラー以外の部分では、話の所々で「おお、ラヴクラフト!」と思わず唸ってしまうようなシーンがある(個人的には地下の「あれ」にかなり感動した)のが良いですね。ラヴクラフトを知らないとわからない感動ですが(苦笑)
ただ、基本的にはラヴクラフト及びクトゥルー神話を知らなくても楽しめます。ただ、ラヴクラフトとクトゥルー神話を知ってると「これって『あれ』だよなぁ(笑)」などと深読み出来るので楽しいってだけで・・・早い話がマニア(オタク)でなければこういう楽しみ方はしなくていいです。
さて、肝心のゲームの内容ですが・・・この手のゲームというと、今までには「アローン・イン・ザ・ダーク」、「バイオハザード」、そして「イルブリード」とあった訳ですが(「サイレントヒル」は未プレイなのでここではパス)、この「エターナルダークネス」がどれに近いかというと・・・まず「バイオ〜」とはかなり趣が違いますね。システムや雰囲気から言うと「アローン〜」と「イルブリード」を足して2で割ったような感じかな。
初めのうちは操作に慣れるまでが大変かな?と思うかもしれませんが、実際には最初の方の章は「操作練習」を少しずつさせるような構成になっているので、そのまま遊んでいくだけで自然と操作に慣れていくはずです。そもそも「バイオ〜」よりは操作が単純になっていますし。
その代わり戦闘システムに少しクセがあるけど、これはこれで「味」になってるので良し。クセも慣れれば問題ないレベルだし。
また、ゲーム画面の明るさも自分で設定出来る(この手のゲームにしては珍しいと思う)のが結構嬉しいですね。というのも、「バイオ〜」などでは「TVの方で明るさを調整してね」という仕組みなんで、結構辛いのです。「明るさ」調整のないTVもたまにあるし、あったとしても欲しい明るさ以上に明るく出来ないこともある(というかTV側の調整だと白っぽくなってしまうのもある)し。
それに他のゲームに切り替えた時、また明るさ調整ってのも結構面倒だし。こういう機能はどんどん入れて欲しいなぁ。
その他、このゲームで特筆すべきはやっぱり「サニティ」による幻覚でしょうね。
「サニティ」、単純に言えば「正気度」とでも言いましょうか。TRPGの「クトゥルフの呼び声」にあった「サン」システムとか、あるいは「東京トワイライトバスターズ」などごく少数のゲームで採用されているシステム・・・っても採用してるゲーム自体マイナーだからわからない人もいるか。
要するに、敵の攻撃や「視線」を受けると、パラメータとしてのサニティが減っていくんですね。そうすると幻覚が少しずつ現れてくるんですが、その度合いが進んでいくと幻覚もどんどん凄いものになっていくんですね。
例えば最初は天井から血がポタリポタリと落ちてきたり、壁から血が滲み出てくる。さらに人の声(!)とかも聞こえてくるようになったり。この辺りではまだ「不気味だなぁ」程度なんですが(人によってはこの時点でもう怖いかも)。
少しずつ幻覚が進行していくと、いるはずのないゾンビが「見えたり」(どういう事かはゲームをやってのお楽しみ)、「俺は確かにこの扉を開けて入ったはずなのに!」とか、「俺は今何を!?」とか・・・
この演出も「怖い」ものや、逆に一発ネタとかあったりするんですが、こういった「幻覚」は思いも寄らない場面でいきなり出てくる・・・というのが本当にうまいんですね(セーブしようとした時の幻覚は本当に怖かった・・・)。
実のところ、こういった「幻覚」は物語を進めていく上では障害になる場面が多いんで、1周目の時はきついかも。特に始めの方の章では、サニティを回復する手段がないしね。
ただ、2周目以降などゲームに慣れてくると、ゲームをクリアするよりも幻覚をどんどん見ようとする余裕が出てくるんで、それはそれで楽しいんですが(笑)
そう、このゲームの場合「怖い」ってのはモンスターなどの怖さじゃないんですよね(だから「バイオ」とは趣が異なると書いたのです)。どちらかと言えば雰囲気、そして幻覚による「自分の見ている(感じている)ものが信じられない」という怖さの方がずっと上かな。
しかも、この恐怖をうまく表現した上で、しかもゲームにもかなり組み込まれている・・・というのはかなりうまいと思いますね。
ただ・・・第2弾とかはちょっと厳しそうだけど・・・最初にやったモンの勝ちってヤツだからなぁ、こういう方向性ってのは。
もちろん、シナリオの方による「怖さ」もちゃんとあります。
例えば「陰謀の疑惑」や「異端者!」は幻覚による恐怖よりも、状況や舞台そのものからの恐怖(詳しくは書かない)がメインだし。
ちなみに言語設定があるのですが、これを「英語」にするともっと怖くなる章もあったりするんだよね。日本語に設定するとかなりマイルドにされてるのであまり怖くなかったけど、英語にすると・・・こら、確かに「そのまんま」出せないわなぁ(汗)
しかし元が海外ソフトとはいえ、「任天堂」ブランドでよく出せたな、この内容・・・(今まで「任天堂」ブランドでこういうゲームって出た事があまりないからねぇ)
「ゲームキューブ」というハードで出ている関係で、ちょっと辛いかも(DCで出るよりは入手性はいいと思うけど)ですが、ゲームキューブを買うつもりがあるのならこのタイトルも選択肢に入れて欲しいですね。
いやー、本当おもしろかったなぁ。
ちなみに敵にも属性があって(それぞれ3つのエンシェントの配下になっている)、お互いに敵視しているという設定があるんで、それが実際に現れてくる場面があるのも細かいですね。
あとこのゲームは是非とも夜にやりましょう(笑)トイレに行けなくなるよ・・・(苦笑)
最後に、ほとんど詰まる場面はないと思うけど、少々わかりにくいトコに少しヒント。
ヒューズの代わりになる物は「ラッキー」なアイテム。
数字は59-81-46(2個目に少しクセがあるっぽい)
「エターナルダークネス」関係のWebサイトで個人的に好みのトコ。→[beyond the veil -eternal darkness-]