ある殺人に関わる事項が、アメリカを震撼させていた。
アメリカ各地で女性が連続して殺されており、それらは遺体の一部が切り取られた上で持ち去られているのだった。そのため、警察はいずれも同一の人物による犯行と断定、各地警察との共同捜査網を設置した。
それとは別に、主人公である「わたし」、すなわちジェイク・スナイプスは、友人である今度製作されることになった映画の主演俳優に選ばれたガイに招待されて映画監督の家に来ていた。今日はここで映画に関わる俳優たちを集めてパーティを開くのだそうだ。
助手であるユリコと一緒に参加したそのパーティは、普通ならこういう世界とは縁のない私にとっては豪華絢爛で、日常を忘れさせてくれる内容だった。
しかしその日を境に、私を含めたパーティに参加した者たちの運命が変わっていった。
まさか、連続猟奇殺人事件の魔手がパーティの関係者たちにも降りかかろうとは・・・
「ハードカバー」というブランドは、正確には「フェアリーテール・ハードカバー」。つまり「フェアリーテール」が「ハードカバー」のブランドで出しているのですが、この特徴は主にシリアス、サスペンス、ホラーといった内容が主だということ。
これは「フェアリーテール」ブランドでいつも出している18禁ゲーム(一般に言う18禁ゲーム)とは別の意味での18禁、つまり「大人の為の物語」として作っているが、ホラー・サスペンスに関しては特に大人向けの演出がある(人を殺す、など)為に18禁になっているのだと思っていいでしょう。
その為一応Hシーンはあるものの、あまり期待しない方がいいです。もっとも、この内容を知っているなら期待する人がいるとは思えませんけどね。
そして、「ハードカバー」で出ているゲームにはいわゆる「ゾンビ物」である「デッド・オブ・ザ・ブレイン1」「デッド〜2」、クトゥルーを題材にした「ネクロノミコン」などがあり、そして「マリアに捧げるバラード」のテーマは「サイコ(サイコパス)」。
という事で、プレイヤーは探偵であるジェイクになって事件に関わる事になります。
とは言っても、いわゆる「推理物」という訳ではないようです。基本的に1本道ですし、別段「謎解き」がある訳でもないので・・・どっちかというと「羊たちの沈黙」などのサスペンス映画(ドラマ)を見るような感覚で遊ぶゲームといったところでしょうか。
ゲームシステムも普通のコマンド選択方式だし、意地悪な仕掛けもまったくって言っていいほどないので、基本的に詰まる所はないはずです。
それにしても、エグイシナリオです。
あらすじにも書いたように、連続猟奇殺人事件に巻き込まれているんですが、実は要所要所で殺人シーンが出てきます。とはいっても基本的には無駄な殺人ではなく、ある目的に沿った殺人なんですけど。
この殺人シーンも伏線になっていたりする辺りはサスペンス物の常道といった感じですね。
ただ、この殺人シーンは過激ではないものの、充分に怖い描写(スバリとは書いていないけど想像させるようには書いてある)なので、そういうシーンが苦手な人はやらない方がいいでしょう。
また、このゲーム、実は最後まで救いがほとんどなかったりします(詳しくは書きませんが)。ハッピーエンドで終わらなきゃ嫌、って人もプレイするのは止めた方がいいでしょう。
こういう点では人を選ぶ内容ですが、こういう点が気にならないなら遊んでもいいのではないかと。私はそれなりに楽しめました(後味は悪かったけど)。あと犯人が途中でプレイヤーにバレるのはご愛敬。推理小説じゃないんだし最後までバレなければいけない訳ではないからね。
しかし、「マリア」でかなり気になる欠点がありますね。
このゲームを遊んだ人なら誰でも同じ感想を抱くと思いますが、冒頭、というかオープニングの部分が頂けません。
というのも、この部分だけ、異様にフラグの立ち方が複雑すぎる感があるのですね。
一応「全員と話す」のを繰り返すだけでもいいんですが、登場人物の数が少なくない方(普通のAVGで7、8人は平均的な人数ですが)なので繰り返して「どのセリフを聞いていないんだろ?」と探すのがかなり苦痛でした。
しかもこのオープニング部分が終わるまでが結構長く思えるし・・・ここで投げたくなる人も多いのでは?
それ以外は特に不満はないだけに、この欠点がちょっと・・・
あと、これは欠点ではないのですが、人によってはマイナスになると思うポイントとしては、ゲームを終えた後に追加されるモードが「CGモード」ではなく「殺人シーン回想モード」だけだという事。あのエグイシーンまた見るのは勘弁して欲しいんですけど。
それにCG回想で見たかったシーンがあるんですが・・・まぁ、これは仕方ないか。
とりあえず、サスペンス物が好きな人なら遊んでみるのもいいかも。ただ、中古でないと手に入らないと思う。それとPC-98版はパッケージイラスト、怖いです・・・(汗)他機種版は見たことないけど。
うーん、人にお薦め出来るかというと躊躇する内容なんだけどね。
でもタイトルの付け方は秀逸だと思う。きっちりオチに関わるし。
でも若干消化不良があるが・・・ま、気にしないでおくか。
それと、Win版って出ていたっけ・・・?