キューブ

監督/ヴィンセンツォ・ナタリ


CUBE

☆目覚めると・・・

 男が目覚めると、そこは立方体の部屋だった。
 四方と天井、床に扉がある他は何もない部屋。
 男は他に扉を開けてみると、そこも同じような部屋だった。
 隣の部屋に行き、中央に到達した時、目の前が一瞬きらめき−
 次の瞬間には男は全身を細切れにされて息絶えていた。

 また別の部屋で、やはり同じようにして男が目覚めた。
 「ここはどこなんだ・・・?」

☆立方体の謎

 という事で、「キューブ」の筋書きは、立方体の部屋を次々に突破して、なんとか脱出を図るという、言ってみれば戦後に流行った「脱獄物」の未来バージョンです(あまり話には出てこないけれど、一応未来の話という事になっているようです)。
 しかし、刑務所や捕虜収容所などと違い、看守などのような類は一切出てきません。その代わりに、立方体に仕掛けられた罠が容赦なく入り込んだ者を襲います。

 そして、少しずつ脱出しようとしている数人が集まっていき、それぞれの知恵を合わせて脱出を図るのですが・・・
 最初は「脱獄の名人」の経験が挑みますが、立方体に仕掛けられた罠も一筋縄ではいかないようになってきます。そして次第に複雑な仕掛けになっていきます。例えば、途中からは数学の知識も出てきたり(合っているかどうかはわからないけど)するし。

 しかしこれだけでは緊張感が持続しないと思うでしょう。
 そこで、「キューブ」ではさらにサスペンスの要素も盛り込んであります。これは見てのお楽しみ。

 ともかく、「キューブ」は映像の技術がどうこうよりも、そのアイデアの活かし方、使い方に重点が置かれていると思います(もちろん映像もうまいんだけど)。それにシナリオもきちんと緊張感を持続させるように書かれていますし。

☆「脱獄物」の傑作

 「キューブ」は、先にも書いたように「脱獄物」の一種な訳ですが、実際これだけうまいやり方をしたのはすごいなと思います。
 そりゃ、オチ(というか、本当の脱出方法)は途中で薄々気付く人もいると思う(私もそうだった)けど、それはあまり気にしない方がいいでしょう。よく考えたら、あのオチで正解なんだし。だからこの辺りが少々御都合主義な所も気にしないのが正解でしょうね(これは人にもよるだろうけど)。
 それから、ビデオ、あるいはDVD版では特典として短編の映画「エレベイテッド(ELEVATED)」が入っているようです(私はレンタルビデオで見たのですが、DVDにも入ってるかは確認してません)。この短編も「キューブ」に負けず劣らずアイデア物のサスペンスなので、見た方がいいでしょう。
 ・・・しかし日本じゃ、こんなアイデアの活かし方は無理だろうなと思ってしまったよ。

 あ、そうそう。大事な事なんで書いておきますが、この映画も短編も、どっちも後味はあんまり良くありません。「キューブ」はまだマシな終わり方をしてる、とだけ書いておきます。

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 あまり詳しくは書けないのが残念。というか全編通してネタバレするとせっかくの緊張感がなくなってしまうから仕方ないんですけどね(序盤のあらすじだけは大丈夫だけど)。
 それにしても、うまいよなぁ、これ。