「プロジェクトA」は、ジャッキー・チェンの代表作であり、同時に香港映画=カンフー映画の流れを変えたと言っても過言ではないほどの名作です。
実際のところ、香港映画は「プロジェクトA」以前と以降では、確実に変化が表れています。
まず、それまでの香港映画のイメージといえば「カンフー映画」、それもブルース・リーからジャッキー・チェンなどの初期のカンフー映画のイメージが強く、特にジャッキーの初期の物のように泥臭い物だというイメージが中心でした(実際にはそうでないのもあるけど、日本に入ってきた数が少なすぎるし、それ以前にビデオでだけの公開が多いみたい)。
それにカンフーを応用した物もあまりなかった頃、「プロジェクトA」では見事にカンフーをアクションに転化させてしまい、香港映画独特のアクションの流れを生み出しました。
これ以降、日本にもカンフー物以外の香港映画も少しずつですが出てきたようです(でも、実際にそういった香港映画が評価されるようになったのはかなり後年の事だと思いますが。例えば「さらばわが愛/覇王別姫」の辺り)。香港でも、カンフー物以外の映画でもウケる物は出来る、と様々な映画を作るようになったようです。当時の資料があまりないのでよくはわかりませんが・・・
ともかく、「プロジェクトA」以前と以降では、香港映画のイメージがかなり変わったのは確かですね。
この映画では、あらゆる小道具をうまく利用するアクションが出ています。例えば有名なところでは椅子を使ってうまく立ち回るアクションで、これ以降のジャッキーの十八番になってます(ジャッキーって椅子を使うのが好きだね)。
また中盤では自転車を使うアクションなど、今では地味な方ですが、それでも当時としては革新的なアクションが多く、しかも所々にギャグを入れたりと楽しませてくれます。
それともう1つ、重要なのは「集団によるギャグ」が少々入れられている事です。
見たことのある人ならわかると思いますが、「プロジェクトA」は基本的に陸軍と海軍の対立がある訳です。そして海軍が「ある事情」で止むを得ず陸軍として行動する事になってしまい、その為に陸軍隊長の元でしごかれる部分があります。
これは海軍の面々にとっては屈辱的な物もいくつかあるのですが、それでも一部の者は「脅かしてやれ」とこっそりとイタズラをしたり・・・
これは昔の海外の映画によくあったネタなんだけど、それをうまく取り入れているんですね。そのおかげで緩急も出来ているし、変に陰湿にならないで済んでいます。なにしろ、両方とも「ひどい目」にあうんだから笑うしかないでしょう(片方は自業自得なんだが)。
こういったギャグは、この後のジャッキーの映画ではあまり出てこなくなるのですけど、その代わりジャッキー本人に絡めたギャグに変化していく辺りは、ジャッキーの映画をいくつか見ていけばわかると思います。
とにかく、「プロジェクトA」には他にもいろいろ「笑い」の場が沢山入っていたりして、いい娯楽作品になっています。個人的におもしろかったのは「浮き輪をありがとう」「いやいいんだ」のシーン(見ればわかります)。
「プロジェクトA」以降、ジャッキーの映画には必ず「見せ場」が出てくるようになりました。
「プロジェクトA」で言えば、時計台のシーンですね。しかもスタントを使わないでジャッキー本人がアクションした、というのは当時でも宣伝に使われたほど有名な話です。
実際にはジャッキーのアクションの前にスタントマンがテストしていたそうですが、それでもジャッキーの番の時に起こった事故は、予測できないものだったそうです。多分NGシーンで出ている物だと思いますが。
それでも、ジャッキーは決してスタントマンを代役には使わないんですよね。
その後も「サンダーアーム/龍兄虎弟」でまた大怪我をして、それでもすぐ撮影に復帰したり、と本当に身体はってるなという感じ。
他にも街中での自転車のシーンもいろいろアイデア物です。しかしよく出来るよなぁ。
とまあ、ちょっと話が混乱しているのでこの辺で・・・と。
ジャッキーの映画は数多く出ているし、最近はハリウッドでもヒット作を出しているから見ている人も多いと思いますが、ここでは個人的なお薦めをいくつか。
「スパルタンX」
「プロジェクトA」と同じく、ジャッキー、サモ・ハン、ユン・ピョウの黄金トリオ出演。最後の対決がとても好き。3対1と卑怯だけど(苦笑)DVDで出ていた・・・かな?
ちなみにファミコン、アーケードの同名のゲームは確かにモチーフはこの映画なんだけど(苦笑)まぁ何も言うまい。
「サンダーアーム/龍兄虎弟」「プロジェクトイーグル」
ジャッキー版「インディジョーンズ」。
「サンダーアーム」に出てくる敵の女の人、とても強いです!
「七福星」
ジャッキーは主役じゃない・・・と思う(一応主人公のはずだけど)。これも黄金トリオ出演。
このシリーズの「五福星」「大福星」も結構楽しいです。
あ、「酔拳」シリーズを出さないのは「あんな有名な作品ここに出したってしゃーないやろ」って事(早い話が俺がひねくれてるから)なんで。それにあれはあまり好きじゃないんだわ。特に「酔拳2」。ま、いいけど。
近い理由でハリウッド作品もパス(好きは好きだけど、最近あまり見てないのです)。
ただ、やっぱりジャッキー初心者なら「プロジェクトA」「プロジェクトA2/史上最大の標的」からがお薦めでしょう。やっぱりわかりやすいし、素直に楽しめる内容ですから。
それに、DVDで復活しているってのも大きいです。
いやー、今見ても楽しめますね。
いくつか古さはあるけどそれは仕方ないし。むしろ「ジャッキー、若いなぁ」とか思いながら見るのがいいかと・・・ってをい。
しかし「プロジェクトA」「スパルタンX」などの公開当時は黄金トリオが日本に来日したりと本当にブームでしたね。
あ、注意が1つ。原題の表記は本当は「A計劃」ではないのだけど、「計画」の「画」に相当する漢字がFEPでは出せないので、敢えて近い字を当てはめています。ご了承ください。