EVE burst error
シーズウェア AVG
PC−98/SS/Win95
EVE burst error
☆「EVE」について
はっきりいって、「EVE burst error(以下「EVE」)」を語る事は、実は難しい。何故なら、「EVE」の真の価値はラストシーンの為にあるような物であって、それが故に、それに至るまでの話の一部でもバラしたくない。「よく出来た推理小説の楽しみは誰にもバラしたくない、だけど読んで欲しい」という心理と一緒で、このゲームの感動は実際にクリアして味わってもらいたいからだ。だからストーリーに触れる事は避けたい。
だが、これだけは言いたい。
『「EVE」を単なるギャルゲーと思っている人は不幸だ』
まずはプレイして、それから判断を下して欲しい。
それを前提として、「EVE」について書きたい。
☆「感動」
AVGを解き終えて、感動したのは何回だろうか。
「ジーザス」「マンハッタン・レクイエム」「きゃんきゃんバニーエクストラ」「スナッチャー」「ポリスノーツ」、すぐに思い浮かぶのはそんなところだろうか。そして、久し振りに「感動」を味わせてくれたソフトがある。それが「EVE」である。だが、「EVE」の感動は、今までのそれとは違っていた。
☆マルチサイト・システム
このゲームを語る上で、ポイントとなるのは「マルチサイト・システム」であるのは間違いないだろう。このシステムが上手に活かされているからこそ、盛り上がる場面もある(特に後半でのXxXXXシーンは見物)。そして、システムによって次第にシンクロしていく二人の物語。始めはまったく関係ない事件、事情が少しずつシンクロしていき、やがて全ての全貌が明らかになるラストシーンへと導かれて行く物語。そう、「すべてはラストシーンの為の伏線と言っても過言ではない」とさえ言い切れるほどに、入り交じった物語はこのシステムでなければ活かされないままに終わっただろうとさえ思える。
そして、そのおかげで、思いかげない副産物も産まれた。通常、「マルチエンディング」という形などいわゆる「複数の物語を楽しむゲーム」は一回終わったらもう一回やるのに結構気力がいる。しかし「EVE」ではこのシステムの為に、強制的にそれぞれのシナリオを交互に進めなければ話は進まない。つまり、知らず知らずのうちに二つのシナリオを進めてしまっているのだが、これが実はほとんど苦痛ではなかった。それどころかグイグイとシナリオに引き込まれて行った。このへんは製作者の「ニヤリ」としている顔が浮かぶようだ。
また、「EVE」に出てくる登場人物たちは、それぞれ印象に残っているのだが、これもAVGでは珍しい方なのではないか。強いて言えば「ポリスノーツ」「スナッチャー」がその典型(キャラごとに印象の強いエピソードがある)だろう。ネタバレになるのは避けられないので、この辺に触れるのは止めておくが(ゲームをクリアしてのお楽しみ)、実際にクリアした後「ああ、何故死んだんだよう………」と思うキャラが何人かいるのは間違い無いと思う。それほどにキャラに存在感がある。そして、それぞれの人生が感じられる。特に「オジサマ」はかなりいい線いっていると思う。
ちなみに、SS版においてはアニメーションが加わっているが、これまた「EVE」を盛り上げるのに一役買っている。実にいい仕事だなぁ、SS版は。(PC版では、プレイヤー泣かせのセーブも改良されているし)こういう移植は歓迎です。
☆EVE burst error
「EVE」に対して個人的な思い入れを語るとすれば、「今までプレイしたAVGのベスト5に入る」であろうか。これ以上言葉を探しても陳腐な言葉しかみつからない。
最後に、「EVE」に関して。
『そこには、確かに生きる人間がいた。
決して、魂のない生き物ではなく、名前もあり、自分の生活を望む人間がいた。』
それが「EVE」であり、「EVE」のテーマである。そう私は思っている。
それから、もうひとつ。
このソフトは18歳以上推奨ではあるが、Hシーンを期待してはいけない。
それが目的の人は「EVE」を買わんでもよろしい。(それ以前に、SSのゲームにHシーンを期待する方が間違っていると思うのだが・・・)
うーん、まとまりがないぞ(苦笑)。若かったんだろうか(をい)。
機会があれば再プレイして、もう一回書いてみたいなぁ。