カエルのために鐘は鳴る
任天堂 AVG GB
☆マイナーでメジャーな作品
この作品は、結構ユーザーでの評価は高い。にもかかわらず、長い間メジャーになれないでいた不遇の作品である。というのも・・・。出た当初からいきなり値崩れを起こし、新品980円がザラであった。しかし、それを入手した人は大抵「おもしろかった」と言ってなかなか手放さない(というか、売っても二束三文なので・・・)為、今では新品はおろか中古を入手する事も厳しい状況である。その為、意外とメジャーでありながらマイナーでもあるという変な状況になっている。
しかし任天堂さん・・・。今でも「ゼルダの伝説」や「マリオワールド」を再生産しているのだったら、「カエル」も再生産して欲しいものだけどなぁ・・・。
☆GB特性を活かしたシステム
ところで、この「カエル」は「ゼルダの伝説 夢をみる島」のプロトタイプ、またはテストモデルと揶揄される事もあるようだが・・・。実際、この「カエル」はユーザーにしてみれば「ゼルダの伝説」の為の習作のような位置づけに見えるかもしれない。
しかし、そういう考えで「カエル」をプレイしないと言うのであれば、それは不幸な考えだと言わざるをえない。というのも、「カエル」では「GB」の特性を活かすという意味では、実に興味深い試みがいくつかなされているからである。
例えば、物語の始まりからいきなり「わっはっはっはっ」というセリフが倍角で表示されて驚かせてくれるし、敵との戦闘はオートで、しかも勝ち負けのルールもとても易しいものとなっている。その上強くなっていれば敵に触れるだけで戦闘なしに敵を画面上から排除してしまう。これによって無駄な戦闘がかなり減っている。
また、このゲームのウリは「人間」「カエル」「ヘビ」の3つの形態を使い分けるシステムにある。そして、それぞれ出来る事と出来ない事がうまく分けられている為、ちょっとしたパズル感覚になっている。
☆バカ王子の冒険
ところで、この主人公は良くも悪くも「バカ」である。結構単純な思考で行動するし、物事を深く考えるようなキャラでもない。しかし、この物語にはとてもぴったり、というよりこのキャラでないとおもしろくない。こういうのって、他のゲームではあまりないパターンだと思う。
それに、このゲームは基本的にギャク調の物語だが、ギャグがいわゆる「狙ってる」ものではなく、その場その感覚にぴったり合った物で、そのギャグも自然に感じられる。これって結構すごい事ではないかと思う。いわゆる「下手なギャグ」というのが少ないし、「人を選ぶギャグ」もほとんどない−こういうのを作るのは難しいものだし、ましてゲームに組み込んでなおかつ自然に出てくる、というのは「カエル」以外ではあまり見た事がないと思う。もっとも、これはコンシューマ(SFCなどのゲームマシン)での話で、パソコンでは「ファーニーBee」など結構出ているが、それでも数は少ない。そういう意味でも、「カエル」は貴重なゲームだと思う。
また、派手な演出に頼る事なく、基本的な演出方法を中心に構成していながら、最後までプレイヤーを引き込む魅力を産み出したという意味でも、「カエル」はプレイする価値のあるゲームと言えるだろう。
最後に。しつこいようだけど、任天堂さん、お願いだから再生産してください!