ONE
〜輝く季節へ〜

タクティクス AVG Win


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☆ONEはポスト「To Heart」?

 「ONE」と「To Heart」は雰囲気からしてかなり似ている、とよく言われています。
 実際問題として「学校」という舞台であり「高校生活」を中心にしている事と、キャラの傾向が幾分似ているのは確かだし、システムもノベル系、という事で「似ている」というのは間違いありません。それでは「ONE」と「To Heart」の違いとは何でしょうか?
 それは主に話の組み立て方とキャラの描写にあると思います。もちろんそれだけではないんですが、それはひとまず置いといて説明しましょう。
 しかしこのゲームのレポート、予想通りやりにくいぞ・・・うう(涙)
 特にこのあらすじ、どないせっちゅーんじゃ!!(書くけど・・・しくしく)

☆えいえんはあるよ

 今度の冬に、主人公を訪れる変化。
 それはわずかに、しかし確実に訪れようとしていた。
 「えいえん」・・・「永遠」という世界が。

 あの言葉を聞いたのはいつの事だったろうか。
 小さいときに、少女が言った言葉。
 「えいえんはあるよ」
 「ここにあるよ」

 現実と「えいえん」の2つの世界。
 いつも見慣れた世界、いつもと変わりない世界。
 そこで見つけるたったひとつの温もり。
 この世と私とを繋ぎ止める「絆」はあるのでしょうか・・・?

☆カシャアッ!

 「ONE」の特徴は擬音とか、人の口調とか、クセとかがうまい具合に「ハマって」いる事でしょうか。
 見出しにある「カシャアッ!」は毎朝、幼なじみの長森が主人公を起こしに来て、カーテンを開く音なんです。これが毎朝出てくるんだけど、これが妙に合っているんだよね。さらに、その後に続く文章がとてもうまいです。
 他にも繭ちゃんの「みゅーっ」とか、妙に頭にこびりつくセリフが多くて多くて・・・
 あとは七瀬の「(前略)・・・乙女にしか為せない技よ」「誰がいつした、そんなことっ!」とか、みさき先輩の「冗談だよ」とか、ええ、それはもう個性的なセリフが多いです。さらに主人公の応対も他のゲームに比べたら突飛なんだけど、このせいでかえって印象深くなってます。
 こういった描写に関しては「To Heart」より好みだというのもあるけど、かなり秀逸だと思います。
 今までは、このようにクセがありながらクセをほとんど感じさせないシナリオはあまりなかったし。

☆みゅーっ

 で、この「ONE」をやる上でネックになる点はいくつかあるんだけど、そのうちでもプレイするとっかかりの障害になりやすいのが「CG(キャラデザイン)」でしょうか。
 でもこれは「ONE」の世界に慣れてしまうと「あの絵じゃないとダメだぁ〜」になっちゃうのも事実。私だって始めのうちは「変な感じだな」と思っていたけど、今ではあの絵じゃないと・・・(苦笑)とりあえずCGは「あれはあれでいいんだ」って事で。

 他には最低でも2回以上プレイしないと全然訳がわからないって事でしょうか。
 最初のプレイではほぼ間違いなく「何コレ?」って感じの展開になりますから。
 こうなる理由は2回目以降のプレイでなんとなくわかってくると思いますけど。ネタバレに近いんで詳しくは書きませんが、簡単に言えばゲーム中何回も「いきなり視点が変化する」って事ですね。だけど、変化した視点がどこのか?というのはゲーム中ではほとんど説明されていません。だから最初のプレイではどうしても「????」だらけになってしまう、と。
 だから最初のプレイで「よくわかんない」と放り出す人もいるかも(もったいないとは思うけど)。

 さて、これが一番問題かもしれないけど・・・このゲームは選択肢がかなり意地悪な(というよりはひねくれている)物が多いんです。そして多くは特定キャラの攻略に必要なんだけど、それがわかりにくい。人によっては攻略本がないと一回もハッピーエンドを見られないかもしれません(私も、茜は攻略本がないと攻略出来なかったかも)。その典型が「テスト(七瀬のお手伝い)」ですね。「おーいー、どれを選べと言うんだぁ!」って感じの選択肢ですから・・・
 ただ、タクティクスの方でも「難しい」というのは感じていたようで、その為かセーブポイントがかなり多いです(こんなにあるのって、PC-98「白き魔女」以来じゃないか?)。だからセーブ&ロードを繰り返せばある程度キャラを狙い撃ち出来ると思います。・・・一部の選択肢は無理だけど(先述の「テスト」はそれぞれの正解をメモしておかないと無理だと思う)。

☆「あのね」「がんばるの」

 「ONE」最大の特徴にして、一番クセのある部分はやっぱり「えいえんはあるよ」の部分にあると思います。ぶっちゃけて言えば、「ONE」のシナリオは「ハマる人はとことんハマるけどハマらない人はハマらない」というか、かなり人を選ぶシナリオです。
 だって、ゲーム中ではほとんど説明されないし。だから「どーしてああなるの?」が気になってしまう人も多いハズです。これに対する「答え」は「そういうもんなんだ」としか言えないんだけど・・・これが嫌な人には向いていないんじゃないかな(結局多くの人は想像で補完している部分だし)。
 こういった部分のクセがダメな人も結構いるし、それは仕様がないんですね。
 余談ですが、「To Heart」がダメだったのに「WHITE ALBUM」にはハマったって人もいるし、「To Heart」がダメでも「ONE」はよかったって人もいるんですよ。もちろんその逆もあるんですが・・・

 という訳で、「ONE」は「To Heart」のように「万人にお薦め」は出来ないけど、そのシナリオは物によっては「To Heart」以上の衝撃を与えてくれると思います。
 「To Heart」が楽しめた人なら買ってみた方がいいと思いますね。もちろん「ONE」から「To Heart」へと続けてプレイしてもいいんだけど。

 そうそう書き忘れる所だった。
 後半で出てくる「XXX」の話ってすげぇ反則な気もします・・・確かに泣けるんだけどさ・・・
 というかアレで泣かない人っているのか?

☆夕焼け、きれい?

 それと、「ONE」では障害者が3人出ているんですが、これらの描き方が実にうまいです。
 多くの場合はドラマとかだと、障害者の「障害」を強調したりして、そういった部分の弱さを利用して話に組み込む事の方が多いと思うんだけど、この「ONE」ではそういう事はほとんどしてません。
 たとえば、昔の事故が原因で目から光を失ったみさき先輩。でも彼女はそれを「弱さ」にはしていません。
 たとえば、小さい頃から口がきけない澪ちゃん。でもスケッチブックで筆談をしてコミュニケーションをうまくとっています。
 このように、ハンデはあっても普通の人間とほとんど変わらない−実はそういうのが本当は当たり前なんだけど、それをちゃんと描いているシナリオは珍しいと思いますね。
 ま、つっこみどころはいくらかあるけど、その辺をつっこむのは止めておきましょう(苦笑)

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 PS版は・・・うーん、今の時点ではまだやっていないので何とも言えません。
 とりあえず手を出すならPC版からでもいいんじゃないかなぁ。
 18禁だけど、そんなにHシーンはないし。

 補足:PS版は「輝く季節へ」という題に改題してKIDからの販売。
 ただしスタッフが違うようで、特に追加CGの違和感があります。
 こちら(PS版)は基本的に「PC版を知らない人」向けですね。
 PC版をやっていると「怒るか許せるか」の二択ですけど(それだけ賛否両論が極端に分かれているんです)。