探偵紳士DASH!

Abel DC AVG


tanteishinshi DASH!

☆特別な才能−「悪運」

 俺の名は悪行双麻(あぎょうそうま)。
 日本に2人しかいないと言われる「クラスA」のアイドラー・ライセンスを持つ男だ。
 自分で言うのも何だが、すこぶる運の悪い男でね。
 道を歩けば銃撃戦に出会い、喫茶店に入ってコーヒーを飲んでいれば強盗が押し入り・・・
 仮に掃除のオバサンがいきなり俺に向かってマシンガンを撃ち込んできたって驚きもしないさ。
 いつだってそうなんだぜ。事件の方から舞い込んでくるんだ。
 俺はただ降りかかってくる火の粉を払ってるにすぎない。
 もっとも、他の者たちは絶対にそうと信じてはくれないようだがな。
 そら・・・さっそく事件が挨拶しにやって来たようだぜ。

☆久々の家庭用移植

 「探偵紳士DASH!」(以下「探偵紳士」と記す)は、元はWindowsで出ていた「不確定世界の探偵紳士」という18禁ゲームをドリームキャストへ移植したものです。その際に、「不確定世界〜」では伏せられていた(バレバレでしたが)「菅野ひろゆきが関わっている」という事が「探偵紳士」では正式に公開されました(その前にWin版の資料本が出ているけど、私はこれを見ていないのでこっちで公開されているかは知りません)。
 私はWin版は未経験・・・というか、単に買うタイミングを逃したんだけど(苦笑)それにせっかく買ったDCで遊ぶゲームがほとんどないという事もあって、DC版を試してみることにしました。
 そういう訳で、今回はWin版との比較はありません。

 ともかく、このゲームの特徴は・・・ちょっとパラレルなシステムだ、という事でしょうか。
 主人公の設定が「俺は特殊な才能を持っている。それは悪運だ」と明言しているように、主人公は事件を引き寄せるというか、事件が勝手に近づいてくるという「運の悪さ」を持っています。
 それでも今まで生き残ってこれたのですが、その度に他の人を巻き込んでしまう事を避ける為に、今ではへんぴな裏通りに住まいを構えて、そこで探偵を営業しています。
 そして「探偵事務所」とはいっても、表に公開されているのは別の事務所で、ほとんどの依頼はそちらに任せて、事務所が手に負えない依頼や「アイドラー」という組織からの直接の依頼だけを悪行が受ける・・・という仕組みになっています。
 そして、今回の仕事の依頼は、敏腕弁護士が直接依頼を持ってきた事から始まるのですが・・・

 と、このように依頼を受けて、事件を解決する事が基本になります。
 もちろん、依頼は1つだけではないし、複数を同時に受けてもいい訳です。さらに事件を解決したそばから、あるいは事件を解決していく過程で別の依頼が入ってくる事もあります。
 つまりユーザーの行動次第で、複数の依頼(イベント)の順序が変わってくる場合もあるのですね。この辺りがパラレル的なものになっています。ただし「パラレル」とは言っても、同じ菅野が前に手掛けた「YU-NO」ほど複雑なものではありませんが・・・
 例えるなら、「YU-NO」が複雑な蜘蛛の糸とすれば、「探偵紳士」はあみだくじのような感じでしょうか。一見複雑ではあるけど、実は結構単純、って感じです。

☆システムは・・・

 そして、「探偵紳士」のシステムはPSで出ていた「エクソダス・ギルディー」などに似ているかな。
 いわゆる「コマンド選択式」なんですが、操作システムが少し変わっていて、十字キーだけでもボタンだけでも操作出来るようになっています。どういう事かというと、今までのAVGでは十字キーでコマンドを選んだら「決定」ボタンで決定、という感じだったのが、「探偵紳士」では十字キーでの操作だけでも「決定」したことになる・・・と(実際に動かせばわかります)。 
 「探偵紳士」でこれがうまく機能しているかはちょっとわからない(個人差もあるし)けど、もし片手パッドが出ていたならば、結構使えたかもしれません。

 ただ、それ以外ではシステムが昔ながらの物なのにちょっとした事で操作しにくいかな、と思う部分がありました。具体的に言えばメニューの内容の変化が、ちょっとクセがあるんですよね。
 それ以外では特に不満はないのですが(決して満足ではないけど、特に不満って訳でもない)。強いて言えばアナログの使い方がちょっと・・・?というぐらいですか。

☆シナリオは?

 シナリオに関しては、ちょっと「細切れ」かな?という印象を受けるかも。
 というのも、先述のように、いくつかの依頼(イベント)が同時に並行して進行する場合もあれば、逆に「何も起こらないまま時間だけが過ぎていく」というケースだってある訳です。
 これは依頼(イベント)の起こるタイミングが主に「特定の時間」に縛られている事による弊害なんですね。だから最初のプレイでは、なかなかイベントが見つからずに投げてしまうかも(私もかなり辛かった)。
 ここは、ある程度「あそこに何かがありそうだ」と匂わせておくなどして欲しかったと思います(でも、どうヒントを出すか?も難しいんだけどね)。一応、一部のイベントに関する伏線はあるんだけど、ちょっとわかりにくかった感がありますし。

 それに、いくつかのイベントは一部のイベントが連動しているのを除けば、ほとんどが単独で完結しているイベント(実際にはかなり後で他の話に絡んではくるが)。だからプレイしている間は「シナリオ」(イベント)を感じにくいかも。
 一応、エンディングで全貌が見える、というのはいいと思うんだけど、もう少し依頼(イベント)を増やして欲しかったかな?
 後半では結構盛り上がってくるだけに、序盤から中盤にかけてがちょっと辛かったのが残念。
 2回目以降のプレイでは、イベントが畳み掛けるような展開になるように遊ぶ事も出来るんですけど・・・うーん。この辺りが調整の難しいところですね。個人的には「良く出来てはいるんだから、もう一押し」というところなんですが。

 キャラに関しては好みの問題・・・ではあるけど、一応。
 正直なところ、今までの作品、特に「EVE」「YU-NO」を知っている人にはちょっとキャラの個性が薄く感じるかな?と思いますね。

 それと、ゲーム自体の内容は「メモを取らないとダメ」など「自分で考える」部分がちょっと多めなのは良かったですね。ちょっと昔のAVGみたいな感覚が味わえたし(昔のAVGは自分でメモしたりしないとダメなのが多かった)。
 文字もかなり読みやすいなど、基本的な作りはいいと思うので、次回作ではもう少し頑張って欲しいところです。

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 とりあえず及第点ではあるんだけどね。最初のプレイが少々辛いのはもう少し改良して欲しかった。
 あと無理して限定版を買う必要はないんじゃないか、と思います。一応限定版を買ったけど、内容的には通常版でもいいと思う(特典のCDに拘りがあれば別ですが)。
 ついでに、本文では書いてないけど「ゲームオーバー」はあります。・・・もっとも、よっぽと「何もしなかった」んでなければゲームオーバーにはならないと思うけど。