ファルコムの「イース」シリーズとしては実に久々の新作、それもコンシューマではなくPCに……(4と5はいずれも家庭用で、PC用がない)という事で、どういう「イース」になるのか注目していました。
そして出た「イースVI」。
まず一番の感想は、「イース」らしい、という事。
今回はこの辺りについて触れてみましょう。
「イース」らしさとは何でしょうか?
すぐに思いつく部分では、「手軽に遊べる内容」「テンポ良く進む」という部分が共通している事が挙げられるでしょう。
また作品別に見ると、1は「手軽に遊べる内容」を中心に、2は1を受けた上で、今度は(シナリオ上の)「演出」と強化。3はアクションゲームとしての要素を強めた上で、でもそんなに複雑にはならない程度の難易度。4と5はとりあえず省略。
さて6の「イース」らしさは何でしょうか?
この「イースVI」の楽しさの最大の要素は、「操作が楽しい」事に尽きると思います。
ボタン(キー)を押せば、アドルが動く。剣を振る。ジャンプする。
ゲームとしてはごく当たり前の事なんだけど、今までの「イース」と比べた場合、特に「操作の楽しみ」がかなり強化されてると感じるんですね。
この理由は、アクション性の性質がかなり変わったからだと思うのです。
例えば1は体当たりで、ボス戦はタイミング重視。
2は最初は体当たりだけど、途中から「魔法」を入手してからは一種のアクションシューティングゲーム。
3は剣を振り、ジャンプする横スクロールアクション。でもアクション性は実は結構低い方。
4は1と2を合わせたような感じ(PCE版の場合。SFC版は未プレイなので知らないです)。
5はノーコメント(イース5のレポート参照、これ以上はここでは書かない)。
そして6では、3のように剣を振り、ジャンプするアクション性になっていますが、システムとしては3Dアクションゲームになりました。また今回は魔法、剣技という要素があり、それぞれ操作が「ボタンを押す」「ボタンを特定の操作で押す」という構成になっていて、自分で簡単に使い分ける事が出来ます。
しかし「魔法」はゲージ制になっているので、ムダ撃ちは出来ないようになっています。
また「剣を振る」も、3ではタイミングだけ見れば良い、程度の物だったんですが、6では微妙に「向き」「高さ」も関係します。逆に言えば、操作の幅があるんですね。
ちなみに剣には属性があるのですが、これもいちいちメニューで切り替える事なくボタン操作で切り替え出来ます(あまり意識しなくていいけど)。
操作の幅が広くなったけれども、基本的にはやっぱり「アドルの移動」と「攻撃」「ジャンプ」「魔法」のボタンだけで全部操作出来るし、それもかなり単純になっている。
さらに剣による攻撃は「コンボ」もあるので、今までの「イース」のように「1回、1回」といった感じの戦闘ではなく、一気にまとめて倒す事も出来る、というのも大きいでしょう。
こういう部分がうまくまとまっているので、「操作」するのが一番楽しいんですね。
こういう「楽しさ」は「イースIIエターナル」のテンポの良さを引き継いている、という印象もありますね(「イースIIエターナル」のテンポの良さはある意味反則に近かった……(苦笑))
また、今回はいわゆる「経験値稼ぎ」をそれほど意識する必要がなくなっている、というのもプレイしていて楽しい理由ですね。
実は今までの「イース」って、「経験値稼ぎ」がちょっと単調になる場面もあり、これはシステム上仕方のない事ではあるんだけど……ある意味RPGの宿命でもありますし。
そこで6では、ちょっと変わった手法を取っています。
まず、アドル自身のレベル。これは今までの「イース」と一緒ですね。
そして「剣」のレベル。
そう、今回は「剣」のレベルもゲームの難易度に関係してくるのです。
……が、実はあまり悩む必要はありません。一応、属性によるボスとの相性はありますが、それを除けば基本的にはどの剣でもちゃんと鍛えればちゃんと戦えるようになっています(例外があるってツッコミは聞かないので念のため。あれはあれで使い道がちゃんとあるし)。
基本的には、ボス戦の難易度はアドルのレベルはもちろんですが、それ以上に剣のレベルが直接している印象が強いです。
逆に言えば、アドルのレベルが低くても剣を鍛えていれば……(もちろんアドルのレベルが低すぎるのは厳しいですけど)
ただし、実は剣のレベルよりもアドルのレベルの上がるスピードの方が早いのですが。
もちろんRPGなので、アイテムを買ったり装備を買ったりする事はありますが、今回は「剣」自体は買う必要がない(そもそも売ってないけど)ので、装備に関しては買う必要があまりありません。
その為今までの「イース」みたいに「えーと、剣を先に買ってしまうか、鎧を…」と悩む必要が減ったのは結構嬉しいです(まあ、今までの「イース」って、敵を倒して得られる金も結構少なかったしなぁ…)。
そう、買い物をする必要もあまりない。ヘタな人は回復アイテムを買えばいいし。
この辺りもテンポが良くなっている理由でしょう。
このように、全体を通してテンポが良くなっている為、体感プレイ時間が結構短めですし、実際プレイ時間も短め(普通にやっても15時間ぐらい、早解きすれば10時間程度)です。
特にクライマックス近くでは、今までの「イース」だとどんどん盛り上げて…って感じでクライマックスに行くんですが、6では割とあっさりしています。
もちろんラスボスの3連チャン、って展開はあるので「まったく盛り上がらない」訳でもないけど、確かに今までの「イース」、特に2の盛り上げ方が印象に残っている人には「あまり盛り上がらなかったなー」と思われるかもしれません。
でも私は逆に、このぐらいのボリュームで良かった、と思うのです。
このぐらいの長さ、つまり「あと少し足りないかな?」ぐらいのボリュームだったから「楽しい」と感じたし、若干の物足りなさを感じたのかもしれません。
ここに山場を入れるとしたら…?と考えても、やっぱり蛇足かな、と思ってしまうんですよね。
というのは、今回は「シナリオ」よりも「操作」の楽しみの方を中心に楽しんでいたんで、シナリオがあまり前に出て来てしまうとちょっと…って思ってしまう面もある訳です。
実はこれ、1作目の「イース」に近いんですよね。つまりシナリオもおもしろかったけど、それ以上にゲームが楽しかった、あの「イース」に。
だからシナリオ的な意味では、無理に山場を入れなくてもいいかな、と。
一方、ゲーム的な意味での山場はというと……これはこれでちゃんと山場があるし、その山場自体が結構歯応えあったからいいかな、という印象。
それに隠しアイテム探しもそれなりに楽しいもの。普通にやってたらまず見つからないアイテムが結構多いし……
何だかんだと言っても、やっぱり「イースVI」は楽しかった。
ところで、これから「イースVI」始めようという人に、いくつか書いておきたい事があります。
まず、今回は要求するPCのスペックが比較的高めです。
特に要求するのは、グラフィック性能。
この辺りを勘違いして、「動かない」という人が結構多かったようなのですが……
ここで言うグラフィック性能は、基本的に「オンボードVGA」は対象にしてないと思った方がいいでしょう。元々、イースVIはもとより海外の3Dゲームでもそうなんですが、オンボードVGAではあまり性能が出ません。
せめてRadeon系やGeForceなどのVGAカードを、充分な下調べをした上で買って、それを取り付けてプレイする方がいいでしょう。というのは、これらのVGAカードには、3Dゲームには全く向かない(3D性能があまり高くない)製品も入ってますので。
あるいは高解像度でプレイするのをきっぱりと諦める(解像度が高いと綺麗になるってだけで、基本的なゲーム内容に直接関わる訳ではないし……)というのも選択の1つです。特に性能の低いVGAカードでプレイしたい場合は割り切る事も必要です。
それから、マニュアルは読みましょう。きっちりと。
特に後半の内容に、動かなかった時のチェックポイントがきちんと書いてありますので。
ただ、「CD-ROM版でインストールが出来ない」はCDのプレス不良(製造不良)なので、ファルコムに連絡して交換してもらってください。
また、ファルコムのWebサイトにパッチが出ていますので、必ず最新のパッチを当てておきましょう。いくつかの不具合などが解消されています。
最後に。
装備の説明も少しは読もうね……?