「ゼリアード」は、PC-88とX1で出たアクションRPGです。こういった当時のパソコンは今のPCに比べるとアクションゲームが苦手なのですが、そのパソコン用ゲームとしてはかなりアクション性が高い内容。というか、実質アクションゲームと言っていい内容ですが。
しかし当時から難易度の高さが話題になっていて、曰く、「難しいです」「火の世界で挫折しました」などなど、挫折報告もかなりの数が出ていました。
私も当時から遊びたかったけど、当時家にあったPCはFMなので遊べなかったのですが、今ではProjectEGGで復刻されており、Windows上で遊ぶ事が出来ます(ちなみにPC-88版の復刻)。
そこでEGG版で遊んでみたのですが、確かに噂に違わぬ難易度でした……(苦笑)
さてどういう感じかと言いますと……
基本的な内容は、複数に分かれた世界があって、それぞれ「火」「氷」などのテーマを持っています。もちろん仕掛けもそれぞれのテーマに合わせた物が用意されていて、それらが攻略を困難にしています。そして主人公は、その世界を順番に攻略して行って、最終的には魔王を倒すと言う、構成としては一般的な流れです。
基本的にはアクションRPGなので、もちろん経験稼ぎなども必要ですが、では何故難易度が高いのでしょうか?
――実は、このゲームにおいての「攻略」にその理由があるのです。
このゲームにおいては、「攻略法を見つける事が攻略法」と言っても過言ではありません。特に後半になると、これが出来なければ攻略出来ない内容になっています。
……というのも、先に述べたようにそれぞれの面ごとの仕掛けがある訳ですが、実はこの「仕掛け」を攻略出来るようにならないと、面の中を自由に歩けないようになっています。特に後半では。
しかし、その攻略出来るようになる方法もまた、その面の中にあります。
こうなると「鶏が先か卵が先か」みたいな状態に見えてきますが、逆に言えば、「どこで何を見つければいいのか(何をすればいいのか)」を見つける事が出来れば、その面を攻略出来る状態になります。
もっとも、それが一番大変なのですが。
例えば、沼地みたいな面では、沼地にそのまま入るとダメージを受けて死んでしまいます。もちろん強引に進む事は出来ないようになっています。
そこで、ダメージを受けなくなる靴を手に入れる必要がありますが、その靴はその面のどこかにあります。という事で、この靴を手に入れなければどうにもなりません。
もちろん、この靴に関しては、そこまで行くルートの途中には沼地はありません。これは別の言い方をすると、最初は沼地に入る必要がないとも言えます。
他の面も、概ねアイテムを手に入れればその面が攻略出来るようになっているので、最初はそのアイテムまでのルート探しをする必要があります。
……まぁ、言うだけなら簡単なんですけどね……(苦笑)正しいルートを見つけるまでが大変ですし。この辺は当時の広告でも宣伝文句になっていましたし。確か「人間の感覚を逆に利用したマップ」とかそういう感じの内容だったのですが、実際マップを見てみると、確かに「普通はここをこう行くよなぁ」と思う所を逆に利用してあったり、「ここは落ちたくないなぁ」と思う所を落ちなければ正しい道順に行けなかったり、と「○○したい」「○○したくない」を利用したマップ構成になっています。おかげで「ここをこう行くんじゃ……?」と頭で考えなきゃいけないし。
そう、これはアクションRPGというよりは「アクションゲーム」、そして「パズル」的なものと言えるでしょう。
ちなみに、正しい道順は、マップで見てみると確かにかなりすっきりした解き方になっています。
また、先の面から前の面に戻る事は簡単に出来るようになっています(ショートカットが多い)。ただし、その逆(先に進む)はかなり面倒ですが。
もちろん、正しい道順の最後にはボスが待ちかまえています。これがまた強いし……
さらに、このゲームは当時のPCゲームらしい部分もまた、難易度の理由になっているところがありますね。
例えば、このゲームでは敵を倒して経験を稼ぎます。そのついでに「アルマス」が出てくる時もあり、お金はこれを換金する必要があります。……が、死ぬと最後に立ち寄った賢者の所に戻り、手持ちのお金もアルマスもゼロになります。
という訳で、稼いでいる途中で死んだら結構嫌になります(苦笑)一応、お金に関しては銀行に預ける事で保存出来ますけど。
また、セーブも賢者の所でしか出来ない、レベルアップも賢者の所で行う、と結構制限が多く(まぁ当時のPCゲームはそんなもんです)、効率的な稼ぎ方が出来るようになるまでが大変ですね。というか、効率的な稼ぎ方が出来る場所を見つけるのもこのゲームのキモなのですが。
つまり、このゲームにおいては、まず「攻略出来る状態にする」事が何よりも前提になっているのです。つまり「攻略アイテムを見つける」「効率的な稼ぎ方を見つける」「攻略ルートを見つける」の順にそれぞれの方法を見つけていかないとゲームにならないのですね。
特に後半の面の「火の世界」はそれが一番重要になっていて、しかもルートを少しでも間違えたら最初からやりなおし(他の世界では割とやり直しがすぐに出来るが、この世界では最初に戻るしかない)、と陰険な構成になっています。そりゃ挫折報告も多い訳だわ……(汗)
しかも実質アクションゲームになっているので、正しいルートがわかったからと言って、そのまま進める訳ではありませんので……タイミングがズレてもやり直しだし。
この辺は、同じような横スクロールタイプのアクションRPGの「イース3」と比べてさらにアクションゲーム寄りと言えるでしょう。逆に「イース3」はRPG寄りという感じか(こちらはアクションゲームとしてはかなりヌルい内容だし、やり直しもすぐに出来る場面が多い)。
また同じジャンルではファミコンの「リンクの冒険」もありますが、これと比べるとアクション性が高いと思います。特にボス戦は倒し方がボス毎にかなり違うし(「リンク〜」は倒し方が似てるボスが結構多い)、タイミングがズレると死亡、なボスもいますし……。
それぞれ同じジャンルでありながら、方向性の違いやゲームとしての傾向の違いが見えるのも面白いところでしょうね。
ともあれ、難易度が高い事は事実なので、Project EGGで遊べるとは言え根気のある人でないと手を出さない方がいいかもしれません(苦笑)結構死にやすいし、このゲームって……
念の為書いておきますと、難しいのは事実なんですが、一度攻略法(攻略ルート)がわかるとスルスル進むようになっています。この辺も上手いと思う。……問題は、そこまで足止めされる事に我慢出来るか、なんですが……(汗)この辺は極めてパズル的だよなぁ。
ちなみに現在では攻略サイトがいくつかあるので遊びやすいと思います……が、まぁマップがあるからクリア出来るって物でもないのですが(苦笑)マップがあっても「うーん?……ここをこう行くから、ええと……」と悩まないと無理な所があるし。
当時これを自力でクリアした人って凄いなぁとも思いますが、いやマジで。火の世界なんか普通無理だろって思うし(あれを自力でマッピングするの大変だよ……(汗))
あと後半はどうしても稼ぎをしておかなければならない場面が出てきますので、その分プレイ時間はどうしても長くなります。これから遊ぼうと思うのなら覚悟した方がいいです。