ロード・ダンセイニのこと。

Two players sat down to play a game together to while eternity away, and they chose the gods as pieces wherewith to play their game, and for their board of playing they chose the sky from rim to rim, whereon lay a little dust; and every speck of dust was a world upon the board of playng. And the players were robed and their names were Fate and Chance. And as they played their game and moved the gods hither and thither about the board, the dust arose, and shone in the light from the player's eyes that gleamed behind the veils. Then said the gods:'See how We stir the dust.'
--"The South Wind",Time and the Gods

 集めてきた洋書も増えてきたので、洋書でのダンセイニ関係の本についてはこちらにまとめることにしました。
 ただし、基本的には私が入手した物のリストも兼ねている為、基本的に持っていない本の情報は入りません。あしからず。
 また、洋書に関しては私が新刊で購入出来た物でも、現時点で新刊での購入が可能とは限らない物もあるようです。その為入手しやすさについてはあくまで参考程度にお願いします。実際、数ヶ月前には普通に買えた本が、いきなり入手困難になることもありますので・・・

洋書関連

 ここからは特に順番を設けないで、入手次第順次紹介していきます。

「SIDNEY H.SIME:MASTER OF FANTASY」
 シームの画集。ダンセイニ本の挿絵は当然ながら、他の作品の為のイラストなども収録。
 現在は恐らく洋書古本でしか入手は無理、という事で少々敷居が高いかもしれない。但し、手数料と送料の分高くはなるけど代理店を通して入手などの方法もあるので、頑張れば入手は出来るはず(古本という性質上、「在庫があれば」という条件は付きますが・・・)。相場などは自分で調べてください。
 ダンセイニ本の挿絵が多数、しかも大きく掲載されているので、挿絵目当てであればこの本を手に入れるのが、一番いい方法だと個人的には思う。
 ただし細かい部分がちょっと甘い(陰影があまりはっきりしない、など)のが惜しいところではあるが・・・これ以上を望むのは酷ではあろう。何と言っても「このサイズで見られる」事が一番の利点なのだから。

「The Hashish man and other stories」
Manic D Press:ダンセイニの短篇集(11.95$)
 直訳すると「ハシシマンとその他の物語」となる短篇集。
 1996年の刊行だけど、まだ新刊で購入は可能なようです(私は2001年1月に新刊で購入しました)。
 比較的まとまっているし、文章もそんなに長いものは多くないので読みやすいでしょう。

「The King of Elfland's Daughter」
Del Rey Impact Book:「エルフランドの王女」ペーパーバック版(12.00$)
Del Rey Impact Book:「エルフランドの王女」ハードカバー版(価格表示なし)
 これも現在余裕で新刊での入手が可能。値段もそこそこ安いので、amazon.co.jpなどで注文するといいでしょう(もっとも、長編小説を全部英語で読む気力があればの話ですが・・・)。
 書評(ペーパーバックにはよく書評が載っています)にはラヴクラフト、アーサー・C・クラーク、イエイツなどの名も見られます。
 ちなみにリン・カーターが昔に出したバランタイン・アダルト・ファンタジーの再版。
 「Del Rey Impact Book」は出版社の名ではなく、刊行しているシリーズの名のようです。どうやら出版は「バランタイン・パブリッシング・グループ」のようです(洋書での奥付の型式がちょっとわかりにくいので)。
 近年での再版にあたっては、表紙が別のに変更されています(「バランタイン・アダルト・ファンタジー」版の表紙は抽象的なイラスト)。
 ハードカバー版も買ってみましたが、表紙・裏表紙がペーパーバック版より少々鮮明さが落ちるのが残念。読みやすさの上でもペーパーバック版の方がお薦めです。

Great Britain 2001(Gollancz):イギリス版
 こちらはイギリスで発行された「エルフランドの王女」で、表紙はアメリカ版の写真を左右反転させた物になっています。
 これは「Time and the Gods」(UK2000版)と同じ「FANTASY MASTERWORKS」シリーズの15巻目です。
 海外に行くのなら別ですが、日本国内の場合はアメリカ版の方が入手しやすいので、テキストを読みたいだけならわざわざこちらを買う必要はないと思います。内容的にはほぼ同じ物ですし。

「The Charwoman's Shadow」
Del Rey Impact Book:「魔法使いの弟子」ペーパーバック版(12.00$)
 これも新刊での入手はかなり容易。1999年の発行だから当然かもしれませんが。
 リン・カーターが昔に出したバランタイン・アダルト・ファンタジーの再版。これも表紙は新しい物になっています。

「Time and the Gods」
Great Britain 2000(Millennium UK):かなり無茶な内容の短編集
 これはイギリスでの発行なので、amazon.co.ukなどイギリスの本を扱っているところでないと購入は難しいようです(イギリスの本はアメリカにはあんまり入って来ないようです)。
 内容は表題作「時と神々」はもちろん、短編集「ウェレランの剣」「夢想家の物語」「驚異の書」「最後の驚異の書」、そして「ペガーナの神々」までを全部1冊の本にしてしまったという、ある意味ではムチャな本。それだけに厚い。
 そういう訳で、英文のテキストだけを読みたいのであれば、これを買うのが一番手っ取り早くて安いと思う(イギリスの本なので入手がちょっと大変なのを除けば、ですが・・・)。
 「FANTASY MASTER WORKS」シリーズの2巻目です。ついでに、出版は2000年。
 あと挿絵は入っていません(もっとも、この内容で挿絵を入れる余裕もないと思うが)。

「PATHWAY TO ELFLAND:The Writing of Lord Dunsany」
Owlseick Press:ダンセイニのちょっとした伝記
 題名で引っかかりそうだけど、副題を読めばわかるようにダンセイニに関するちょっとした伝記のような読み物。
 英文は割と平易で読みやすいと思う・・・が、この本の発行が1989年なのでいつまで流通しているかわかりません。私は新刊で購入出来ましたが。

「Arthur C. Clarke & Lord Dunsany: A Correspondence」
Anamnesis Press:アーサー・C・クラークとダンセイニの書簡集
 題名が示すように、アーサー・C・クラークとダンセイニとの間で交わされた手紙をまとめた本です(ただし、「完全に全部ではない」みたいな事が書かれていますが・・・)。片やSFの巨匠、片やファンタジー(幻想文学)の巨匠・・・という取り合わせの間でどのような会話が交わされたのか・・・?
 ダンセイニの直筆の手紙も一部掲載されていて(一部クラークのも有り)、ダンセイニの「達筆」な字体を見られます(「読む」のはネイティブでないと辛いですけど)。
 割と近年(1998年)の本なので、まだ流通はしているようです。

「LORD DUNSANY:Master of the Anglo-Irish Imagination」
GreenWood:S.T.ヨシによるダンセイニの研究本?
 著者のS.T.ヨシはラヴクラフトの研究本なども出しており、当然ながらこの本もかなり密度が濃い。
 ただ、原書からの引用が比較的多いので、少なくともある程度ダンセイニ作品を読み込んでないとちょっと読みにくいと思う。
 私は新品で購入出来ましたが、比較的高価(私が購入した時は約8500円でした)なので、金に余裕があって英文をそれなりに読める人でないと、高い買い物になると思います。
 どうやら1995年の発行のようですが、まだ在庫は一応あるみたいです(保証はしませんが・・・)

「The Story of Dunsany Castle」
(出版はわかりません、後で調べておきます):ダンセイニ城の紹介
 題名の示すように、ダンセイニ城と、その歴史(歴代ダンセイニ卿)の紹介が中心。
 ダンセイニ卿の家系は、初代から20代までが紹介されています。他に分家(?)のOliver家などの紹介も。ダンセイニ城に関しては、領土(領地)の変化や、城の構成(庭などの名前もきっちり紹介されていて、この辺りがさすがお城って感じです)なども書かれています。写真やスケッチも結構載っていて、かなり興味深い内容。
 一通り読んだ感想ですが、やっぱり第18代ダンセイニ卿の紹介が一番詳しく書かれています(笑)・・・というか、一番有名なのがエドワード・プランケット(念のため書いておくと、この人がいわゆる「ロード・ダンセイニ」)だからしようがないか。でもご先祖様たちの中からも結構、重要な人物が数人出ていたようです。
 英文の方は、かなり平易(というか、この内容で難しく書く人はいないと思うけど・・・)なので、辞書片手でもかなり読みやすいでしょうね。多分、ある程度は辞書を引かなくてもわかると思います。
 この本は2000年発行のペーパーバックなので入手はしやすいでしょう。私はamazon.co.ukで購入しました。

 蛇足ながら、「ロード・ダンセイニ(Lord Dunsany)」は日本などでは基本的に作家・詩人・劇作家であった第18代ダンセイニを指しますが、この本では歴代ダンセイニ卿全員が「Lord Dunsany」であり、その夫人(妻)も全員が「Lady Dunsany」です。当然といえば当然なんだけどね。

「LORD DUNSANY:A Bibliography」
The Scarecrow Press:S.T.ヨシとDARRELL SCHWEITZERの共著によるダンセイニ書誌
 書誌であり、ダンセイニ本にどのような物が出ているかの確認の為のリスト本。
 つまりコレクターや研究、資料用としての用途以外にはちょっと向かない。無理して買う必要はないと思う。

「The Ghosts」
Creative Education:青少年向けとして出版されている本?
 内容は表題作のみの収録で、これは「Sword of Welleran」からの一篇。
 青少年向けに作られているのか、1ページ辺りの文字量が少なめ。
 個人的には英語の勉強の為に買うにしてもちょっと・・・と思う。なんか読みにくいんだよなぁ。

「The Book of Wonder」
「Fifty-One Tales」
「Don Rodrigues:Chronicles of the Shadow Valley」
「Plays of Gods and Men」
WILDSIDE PRESS:アメリカでのペーパーバック
 これら4冊は同じ出版社のシリーズなので、一括して記載しています。
 「Plays of Gods and Men」は戯曲集、「Don〜」は長編小説「影の谷物語」。それ以外は初期短編集です。
 「五十一話集」は当然の事ですが、アメリカ版の内容になっています。(アメリカ版では「The Mists」が入っていて、代わりに1編が削除されています)
 若干入手しにくい本の復活なので嬉しいことは嬉しいのですが、若干高めなのがネックか。また表紙のセンスが個人的には好みではない(印刷もあまり綺麗ではないし)。
 ちなみに最近では、別の社名(Lightning Source社)でも同様の本をいくつか出してるようです。amazonで調べたところ、Lightning Source社名義の本と私が以前に買ったWildside Press社の物は表紙を見る限り、ロゴもイラストもまったく同一のものでした。価格が少々高いのも一緒なんで、私はこちらの本は買ってませんが。
 扱っている品の中には「デジタルデータ」での販売(Webで買えて、PCで読める)もある点は評価出来るが、個人的には装丁・印刷がいまいちな事と、価格がどうも高めなのであまり好きではありません。ダンセイニ関係に限らず、これまで入手・閲覧が難しかった作品をどんどん復刻しているのはいいんですが・・・
 ついでに、現在では「Tales of the Three Hemispheres」(短編集「三半球の物語」、現在未訳の短編が大半)なども復刻してます。
 ただ、「The Gods of Pegana」を入手してみてわかったのですが、テキストの改変(オリジナルでは普通の書体なのにこちらの版では斜体にされていたりするなど)があるので、研究・底本としての購入はお勧めしません。研究・底本にするならせめてUK2000版の「Time and the Gods」(上で紹介しているもの)にした方がいいと思います。
 なお、これ以降にもいろいろ出てますが、この会社は個人的に好きではないので(理由は上記の通り)これ以上の情報は追記しません。あしからず。またこれ以降の表記はW社で統一します(Lightning Source名義もあるようだが、実質同じトコなので省略)。

「The Pleasures of a Futuroscope」
Hippocampus press:ダンセイニの遺作、今まで未出版だったもの
 「Futuroscope」とは、「近い、あるいは遠い未来を見る機械」のようです。
 S.T.ヨシによる序文あり。
 $32.95と少々高いものの、2003年に出たばかりなので入手は容易だと思います(アメリカへの通販が手軽だと思います)。

「Tales of War」
SATTRE Press:「戦争小説集」
 「Tales of War」はW社からも出てますが、これは無視してあえてSATTRE Press版を。
 表紙がフランス戦の物を使っているようで、雰囲気が出てます。中身も丁寧に作られていて、読みやすいです。
 内容は「戦争小説集」(当たり前だけど)。ただ、いわゆるDTPによって作られているようで、巻末にこの本を作るのに使った字体などの説明があり、これもちょっと興味深い。
 少し古い(2002年出版)ようですが、アメリカへの通販なら手に入ると思います。

「Wonder Tales」
Dover:「驚異の書」「驚異の物語」を1冊にまとめたもの
 「The Book of Wonder」と「Tales of Wonder」をまとめた物。
 表紙を除けば例によって挿絵はないし、上記の「Time and the Gods」ほどコストパフォーマンスは高くないが、その代わりこの本では序文も収録しているのがポイントです。もちろん題名の通りイギリス版を元にしてるので、序文はイギリス版です。

「In the Land of Time and Other Fantasy Tales」
PENGUIN CLASSICS:「ペガーナの神々」を始めとするダンセイニの代表作をまとめたもの
 ついにペンギン・ブックスからもダンセイニ本が刊行。
 収録は「ペガーナの神々」を始め英雄譚などはもちろん、ジョーキンズ、そして「二壜のソース」など。要するにこの1冊でダンセイニの著作を俯瞰する内容になっています(ちなみにS.T.ヨシ編)。
 挿絵はありませんが、表紙はシームの挿絵に彩色したものが使われています。
 何と言っても、「ペンギン・ブックス」から出たというのが一番大きいでしょう。それだけに入手も容易なはずです。

洋書(古書中心)

 主に古本以外での入手手段がない物。
 これらは余程の拘りがないなら無理して入手する必要はないと思います。何より扱いがちょっと(?)大変だし・・・発行がかなり古いから本がバラバラになりそうだったりするんで、「どうしても英文で読みたい」というのでなければ、入手しない方が賢明です
 というか、洋書の古書って、保存が大変な事が多いんですよ・・・

「Beyond the Fields We Know」
 リン・カーターの編集した単行本。バランタイン・アダルト・ファンタジーの1冊。
 「ペガーナの神々」の全部と「時と神々」から「ペガーナの神々」との関連の強い作品を抜き出して、詩や「妖精族のむすめ」「ウェレランの剣」などを合わせてまとめた本。
 ただし「ペガーナの神々」での序文「There be islands in the Central Sea,〜(<なかの海>というところに〜)」の文の場所が変更になっていて、扉「Beyond the Fields We Know」→序文→タイトル「THE GODS OF PEGANA」→リン・カーターの解説→「まだこの世のはじまらないより前の〜」という構成に変更されているので、いきなりこの本を読むと「<なかの海>というところに〜」の意味がわからないかも。
 基本的には「よく出来た短編集」だと思う。かなり読みやすいし(復刊しないかなぁ・・・)。
 ちなみに挿絵は一切入ってません。

「At the Edge of the World」
 リン・カーターの編集した単行本。バランタイン・アダルト・ファンタジーの1冊。
 「時と神々」「ウェレランの剣」「驚異の書」などから重要な短編をまとめた本。
 ちなみに挿絵は一切入ってません。

「Over the Hills and Far Away」
 リン・カーターの編集した単行本。バランタイン・アダルト・ファンタジーの1冊。
 「時と神々」などから短編、他に戯曲のシナリオ数本、ジョーキンス物などをまとめた本。
 ちなみに挿絵は一切入ってません。

「Load Dunsany:A Biography」 by mark Amory,1972,COLLINS
 題名のとおり、ロード・ダンセイニの伝記です。
 伝記なので気軽に読めるような内容じゃないみたいですが、そう難しい内容でもないようです。
 でもって、ダンセイニ卿の写真が2枚。表紙と扉の所。どちらも日本の本では載ってない写真なので嬉しかったり。特に扉のトコのなんか、犬と一緒に写って、いかにも「いいおじいさん」って感じ。
 巻末にはダンセイニ本のリストも載っています。

「Sidney Sime:Master of Mysterious」
 シームの画集。出版年の関係で古本でないと入手は無理。
 ダンセイニの挿絵が中心ではあるけど、「Master of Fantasy」などには載ってない絵も多い。
 個人的には表紙が凄く好み。ちなみに「ペガーナの神々」の中の「曠野の眼」の挿絵です。

「DUNSANY:The Dramatist」by Edward Hale Bierstadt,1919,LITTLE,BROWN AND COMPANY
 題名の通り「戯曲家」としてのダンセイニに焦点を当てた本。ただし完全に戯曲オンリーの内容という訳ではなく、「幻想文学」方面も少なからず触れられているようです。
 写真には軍服姿のダンセイニや、それぞれの劇の様子を撮影した写真が多く、戯曲を読む上で参考になるでしょう。

その他

 ダンセイニ家の公式Webサイトがあります。→[http://www.dunsany.net/
 もちろん第18代ダンセイニ卿の情報も多い。他のダンセイニ卿についてはまだあまり書かれてないようです。

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Last Update:05/31/2004 19:33

うしとら
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