シドニー・サイム不完全出版目録

編:未谷おと


 この目録は執筆の上での簡単な参考用に造られたもので、サイムの全作品を網羅するには余りにも遠いものである。従って、この目録を鵜呑みにせず、読者自らでサイムを探索し、報告して下さるようにお願いする。よい参考資料があればお教え頂きたい。そうすることで、読者はお互いの利便を図ることができるだろう。
 訳名、翻訳の有無はダンセイニについては万全を期したが、他の作家については記憶や思いつきで書いているので、間違い、取りこぼしがあるかもしれないが、ご容赦願いたい。

 追記(2000年1月19日):”Siney Sime: Master of the Mysterious”にある詳しい目録で補完した。目録はこれでほぼ完全になったが、リファレンスについては詳細が不明のためこの目録には取り込まなかった。無責任かもしれないが、これについては上記の本を入手して頂いて、ご自分で参照されることをお薦めする。

挿絵本
ロード・ダンセイニ(LORD DUNSANY)
 The Gods of Pegana(1905,「ペガーナの神々」)
 Time and Gods (1906,「時と神々」)
 The Sword of Welleran (1908,「ヴェレランの剣」)
 A Dreamer's Tales (1910,「夢想家の書」)
 The Gods of Pegana(1911,PEGANA PRESS,再版本)
 The Book of Wonder(1912,「驚異の書」)
 Tales of Wonder (1916,「最後の驚異の書」)
 The Gods of Pegana (1919, 3rd Ed.)
  The Chronicles of Rodriguez(1922,「影の谷物語」,口絵のみ)
 Time and Gods (1923,豪華限定再版本)
 The King of Elfland's Daughter(1924,「エルフランドの王女」,口絵)
 The Blessing of Pan(1927,「牧神の祝福」,口絵のみ)
 My Talks with Dean Stanley(1936,「ディーン・スタンリーとの対話」,未訳,口絵のみ)
※これらの本には確かにサイムの挿絵が載っているが、一部の印刷方法がアメリカ版初版とイギリス版初版で差異があるので、注意されたし。イギリス版はフォトグラヴィアであり、アメリカ版はオフセット印刷か写真製版である。綺麗に印刷されているのは、言うまでもなくイギリス版であり、こちらの購入をお勧めする。

#注:イギリス版かアメリカ版かは、主にそれが印刷された年、出版社で判断することになります。例えば「The Gods of Pegana」ならば、1905年と1911年の物ならば間違いなくイギリス版、というように。ここでは詳しく書きませんが(その為の資料も必要ですし)。
 ただし当然ながらイギリス版とアメリカ版とでは、幾分か入手の容易さにも差が出てきます。ちなみによく見かけて、手に入れやすいのは大抵アメリカ版です・・・値段もピンキリですが。またタイトルにもよります(イギリス版も入手しやすいタイトルもたまにある)ので、いずれにしろ下調べは必要です。
 もう1点、注意としては、洋古書は一般的な本に比べて、特に保存などに注意しなければならないことにも注意してください。決して安い買い物ではありませんので・・・どっちにしろ、充分に念入りに勉強してから手を出した方が賢明です。経験者が書いてるんだから(汗)(うしとら:記)

ウィリアム・ホープ・ホジスン(WILLIAM HOPE HODGSON)
 The Ghost Pirates (1909,「幽霊海賊」,未訳,口絵のみ)
 The Boat of`Glen Calling' (1912,「グレン・コーリングの船」,未訳)

ジョセフ・ホルブルックとS・サイム(JOSEPH HOLBROOKE AND S.H.SIME )
 Bogey Beast (1923,「お化け動物」,未訳)
※1975年にThe Purple Mouth Pressより500部が再版されている。ただし、イラストの印刷が荒いのが少し難点ではある。

アーサー・マッケン(ARTHUR MACHEN )
 The House of Souls(1906,「霊魂の家」,未訳,口絵及びカバーデザイン)
 The Hill of Dreams(1907,「夢の丘」,創元文庫,口絵のみ)

イーデン・フィルポッツ(EDEN PHILLPOTTS )
 Fancy Free(1901,「未婚女性」,未訳?)

ローレンス・ハウスマン(LAURENCE HOUSMAN)
 Mountains of the Moon(1899,「月の山脈」,未訳?,口絵のみ)

定期刊行物
 Black and White
 The Butterfly
 Eureka
 Form
 The Graphic
 The Idler
 The Illustrated London News
 The Ludgate Monthly
 The Minster
 The Pall Mall Magazine
 Pick-Me-Up
 Punch
 The Sketch
 The Strand Magazine
 The Tatler
 The Unicorn

画集
 The Land of Dreams. 1976, UK, Ferret Fantasy.
 The Master of Fantasy. 1978, Ward Richie Press.
 Siney Sime: Master of the Mysterious. 1980, Thames and Hudson, by Simon Heneage and Henry Ford.
 ※厳密には画集ではないのだが、84枚のイラストが掲載されているので、ここにカテゴライズした。サイムの詳しい評伝。

日本でのサイム関係出版物
 ダンセイニ幻想小説集 1972 創土社
 妖精族のむすめ 1987 筑摩書房(ちくま文庫)
 「ビアズリーと世紀末展」カタログ 1997
 「ビアズリー展」カタログ 1998
 ブックス・ビューティフルII 1995 筑摩書房(ちくま文庫)
 思潮5号 1971 思潮社
 妖精画廊 1980 月間ペン社

#日本で出版された本では、どうしたってダンセイニ関係のものが中心だし、挿絵がちょっとだけ載ってる物なども含めると結構出ているんできりがないのですが、一応「ダンセイニ邦訳目録第二版」でも挿絵の情報が含まれているので、そちらも参考にしてください。ただ、あまり細々と集めるのもかなり手間だと思うのですが・・・結構被ってるタイトルも多いし。
 個人的には、河出文庫から出ている4冊(「世界の涯の物語」〜「最後の夢の物語」)を揃えるのが、原書に出ている分は全て掲載されているので挿絵の数も結構まとまっていると思うのですが。あるいは洋古書の画集を買うのも手っ取り早い。(うしとら:記)


サイム画集紹介

読者から要望の高いサイムの画集を紹介する。ダンセイニの挿絵本はサラリーマンの小遣い一ヶ月分か、あるいはそれ以上の価格になっており、気軽に購入できない。そこでお勧めしたいのが、ここに挙げられた画集である。40からあるいは100葉前後のイラストが初版挿絵本の1/10の値段で買えるのだから、これほど嬉しいものはないだろう。
 これら画集の購入方法については、「洋古書を買おう!」を参考にして欲しい。

#注:元の記事が公開されていた時には「洋古書を買おう!」もあったんですが、現在はありません。今では事情もいくらか変化していますし、自分で洋古書を扱っているWebページを探すなどした方がいいでしょう。
 ついでに、この記事には元々は書影も含まれていましたが、現在私(うしとら)の所で再公開するにあたっては、画像を入れていません。私の所有していない本の方が多いので、こちらで画像を追加する意味もあまり・・・と。そういう訳で、書影の画像に言及している部分も削除してます。あしからず。
 ちなみに個人的なおすすめは「Sidney Sime: Master of the Mysterious」か「Sidney H. Sime: Master of Fantasy」のどちらかかな。ダンセイニ関係の挿絵はこの2冊ともほとんど全部に近い数が入ってるし、入手性もそんなに悪くない方だと思うし。(うしとら:記)

#追記:2006年現在では、河出文庫より出ている4冊の短編集に、初期短編集に掲載されてる分は「全て」載っていますので、そちらの方が入手性もいいし、こちらを探した方がいいかと。ちなみに一応題名は「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」「時と神々の物語」「最後の夢の物語」。詳細はダンセイニ目録などを参照のこと。ただし「最後の〜」には挿絵は収録されてない(これはそもそも原書も挿絵なし)が、表紙イラストにサイムの絵が使われている。

題:Sidney Sime: Master of the Mysterious
仮訳題:シドニー・サイム〜神秘の支配者
著者/編者:Simon Heneage and Henry Ford
発行年:1980
判型:A4
出版社:THAMES AND HUDSON (London)
イラスト数:84
目次
 6:献辞
 7:序文
 7:幼年期
 8:雑誌
 20:画家とイギリス紳士
 22:挿絵本
 25:シアター・デザイン
 27:1924年から1927年の作品
 28:ウォープルズドン以後
 31:結末
 32:書誌
 35:幻想画
 94:索引

ノート:サイムのかなり詳しい評伝及び書誌が嬉しい一冊。印刷は悪くないが、初版本ほどのくっきりした線は望めない。観賞に際して不備があるわけでもない。「お化け動物」シリーズも一部収録しているが、ダンセイニを中心とした挿絵本のものが中心になっている。
 私が最初amazon.comに注文したときには在庫があったようで、新刊で購入できた。取り次ぎにデッドストックがあったのだろう。残念ながら今は絶版であり、古書店で購入するしかない。

題:Sidney H. Sime: Master of Fantasy
仮訳題:シドニー・H・サイム〜幻想の王
著者/編者:Paul W. Skeeters
序文:Ray Bradbury
発行年:1978
判型:A4
出版社:Ward Ritchie Press (California)
イラスト数:130
目次:(なし)

ノート:レイ・ブラッドベリィの序文が嬉しい一冊。上と同く、基本的にオフセット印刷である。カラーを数葉含む。イラストの収録数は多いが、1頁に4葉載せている場合もある。これもやはりダンセイニの挿絵本からのものが中心になるが、「お化け動物」やシアター・デザインもの、初期の雑誌のものなども多数含む。おすすめ。

題:Bogey Beasts
仮訳題:お化け動物
著者/編者:S. H. Sime and Joseph Holbrooke
発行年:1923(復刻版1975年)
判型:A4
出版社:The Purple Mouth Press (Virginia)
イラスト数:15
目次:(なし)

ノート:「スケッチ」誌に連載された「お化け動物」の単行本を復刻したもの。ホルブルックによる作詞作曲にサイムがイラストを寄せた。500部限定。他のどの画集よりも印刷が悪く、イラストに限っては散々な具合だが、画集という訳でもないので仕方ないだろう。とにかく小数部とはいえ復刻された意義は大きい。すでに絶版だが……。
 曲はピアノ用に描かれたもので、素人目には複雑に見える。ピアノに限らずキーボードの得意な方にはご一報頂きたい。録音して、MP3をアップしたいものだ。
 これは新刊で購入したもの。画像で一部日焼けしているのを読者も確認できることだろう。長い間倉庫で眠っていたのを思わず想像してしまう。

題:Beasts That Might Have Been
仮訳題:動物かもしれない
著者/編者:S. H. Sime
発行年:1923(復刻版1974年)
判型:A4
出版社:Ferret Fantasy Ltd. (London)
イラスト数:12
目次:(なし)

ノート:イラストだけを復刻した「お化け動物」。印刷はオフセットであり、そこそこの品質である。例によって500部限定。

題:The Land of Dreams: S. H. Sime 1905-1916
仮訳題:幻夢の領域
著者/編者:George Locke
発行年:1975
判型:A4
出版社:Ferret Fantasy Ltd. (London)
イラスト数:42
目次:(省略)

ノート:1905年から1916年までに発表されたサイムのイラストをレビューしたもの。印刷はそれなり。「スケッチ」誌に掲載していたものが中心で、これを見ると『驚異の書』のイラストが実際に雑誌に載ったものだと改めて関心してしまう。初出の目録が嬉しい。

題:From an Ultimate Dim Thule: A review of early works of Sidney Sime
仮訳題:極闇の最果て〜シドニー・サイムの初期作品批評
著者/編者:George Locke
発行年:1973
判型:A4
出版社:Ferret Fantasy Ltd. (London)
イラスト数:40
目次:(省略)

ノート:初期作品の批評及び定期刊行物関係の詳しい書誌がある。自画像や小さなカットなどは他にはないもの。他の画集に比べてイラストの量が気になるかも知れないが、購入して損はないと思う。


Original:
「サイム不完全出版目録」
「サイム画集紹介」
未谷おと(バブルクンドの神々/西方猫耳教会)

修正・保存:

うしとら
usitoraあっとqj9.so-net.ne.jp
(04/14/2013 06:13)

著作権はオリジナルを作成された未谷おとさんに帰属します。
修正は、HTML的にちょっと・・・な部分、誤字などの明確な間違いを中心にしています。元からある文章の記述自体には変更はありません。新しい情報が出た場合は追加します。
この本文(未谷おと編の部分)はコピー・改変・修正・配布・転載は自由にしてくださいとの事です。
このWebページを転載する際は、最下段のオリジナル及び修正に関する記述はなるだけ残してくださると幸いです。(いくつものバージョンが出回る事が予想されますので、最新版かどうかの判断材料としたい為)また、新しい情報を独自に追加するのは構いませんが、その際はうしとらにも一報ください(こちらでも追加したいので)。

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