デモンベイン 元ネタ集

 基本的に更新終了です、悪しからず。

 注:この元ネタ集は主に「PC版」に入っている事柄のみです。PS2版で追加されている物(パロディ・オマージュ)などは、[デモンベイン 元ネタ集(PS2版)]にて。「機神飛翔デモンベイン」は[機神飛翔版]。

 激ネタバレなのである程度クリアしてから見てね。
 あとクトゥルー関係に偏ってるので注意。趣味なもんで……逆にクロイリーとか「法の書」などオカルト方面には疎いのでほとんど入ってません(この辺は他の場所で出ている元ネタについてのテキストを見た方がいいと思う)。
 このリストは、主にアルルートで出てくる順番になっているけど、ルートによっては語句が出る順番が前後したりします。またルートによってはそもそも出てこない場合もあるんで、ある程度の目安程度に思ってください。
 なんでこういう構成なのかというと、ルートによっては出ない語句があるのに気付いたのが作成の途中だったから(汗)

 とりあえず全ルートクリアしたので、これ以上はあまり追加はないと思います。
 ……と思ったら細かいネタ多すぎ(汗)結局ちまちま追加してます。
 あ、リンクは自由にどうぞ。

I AM PROVIDENCE
THE OMEN
TAKE ME HIGHER
CHILD'S PLAY
I,ROBOT
THE INVADERS
THE SHADOW OVER INSMOUTH
THE THING THAT WALKED ON THE WIND
QUO VADIS
BIG "C"
SHINING
THE CROW
THE HUNT
JOAN OF ARC
THE HAUNTER OF THE DARK
BLADE RUNNER
THE RETURN OF THE SORCERER
THE CALL OF CTHULHU
STRANGE EONS

I AM PROVIDENCE

 元:ラヴクラフトの墓に刻まれている銘。
 プロヴィデンスを愛したラヴクラフトにふさわしい文章である。

ブービエ・デ・フランダースの犬ぞり

 元:「フランダースの犬」の最終回。
 「懐かしのアニメ」特番の定番。この手の番組でいつもいつも「ドラえもん」か「フランダースの犬」が1位なのはもう飽きた。

アザトース

 次元を超えた窮極の中心に存在する。時間の始まりから存在し、宇宙そのものと言っても過言ではない。
 アザトースの目覚めはすなわちこの宇宙そのものの消失を意味するとも言われている。

ミスカトニック大学

 元:クトゥルー神話の定番中の定番。
 数々の禁断の書を所蔵する。その中には「ネクロノミコン」もあるが、いずれの魔導書も厳重に管理されている。

アーミティッジ

 元:ミスカトニック大学図書館長ヘンリー・アーミティッジ。
 ゲームではどういう役職なのか書いてないなあ。

ウィンフィールド

 元:ウィンフィールド・スコット。
 ラヴクラフトの父である。

「人が本を選ぶのではなくて、魔導書の方が自らの主人を選ぶんだよ」

 道具(メカとか武器とか)が持ち主を選ぶ、という形式は、多いようで意外とあまりないような気がする。
 メカ物だと「ファイブスター物語」のファティマと騎士の関係かな?ファティマはあらゆる権利を剥奪されている代わりに、唯一つ「マスターを選ぶ」権利を与えられている。
 余談だけど、FSSで時々モーターヘッド(このジャンルで言う「メカ」)が、騎士とファティマの制御を無視し、自分の意志で勝手に行動する場面があるけど、これも意識しているかもしんない(デモンベインとの出会いの時だけ、デモンベインが勝手に動作してる場面がある)。
 ついでに……道具ネタだと、「うしおととら」の「獣の槍」かな?あれも槍が持ち主を選んでるし。
 「乗り物」ネタなら「ナイトライダー」がありますな。確か、気に入らない人が強引に乗った時は脱出装置を起動して追い出した事があったような……あと「成恵の世界」とか(以下きりがないので省略)

ドクター・ウェスト

 元:「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」H.P.ラヴクラフト/「クトゥルー」「ラヴクラフト全集」
 名前の方はハーバート・ウェストが元ネタ……だとは思うのだが。一応、ドクターの方も後で人造人間作ってるしなあ。

「まんまパクリかよ」

 このセリフの出る場面が「デスペラード」に登場するシーンのパロディ。
 「デモンベイン」はこういう自己ツッコミが多い。
 余談だけど「トライガン」の神父もこんなシーンがある。

「アル・アジフ」

 元:ゲーム中でも語られている通り、「ネクロノミコン」のオリジナル版。
 ちなみにいわゆる「ネクロノミコン」は後にギリシア語に訳された時の書名。
 クトゥルー神話の世界では、主に「ネクロノミコン」、もしくはそれからの写本(あるいは断章)が出てくる事の方が多く、「アル・アジフ」自体は幻の書となっている。

 余談。「アジフ」は古代のアラブ人が、魔物の咆吼だと考えていた虫の声を意味するといい、ゲーム中で出てくる「魔物の咆吼たる我〜」のセリフはこれによるもの。
 また、他に「キタブ・アル・アジフ」の表記もある(この表記が使われる事はあまりないが)。ついでに言えば、こちらの表記は「ソーサリアン」(ファルコムのゲーム。ドラスレVね)の「氷の洞窟」のプレストーリー(マニュアルに記載)にも出てくる。

アヴドゥル・アルハザード

 元:「アル・アジフ」の作者。有名な文章「久遠に臥したる〜」の作者でもある。
 「狂えるアラブ人」「狂詩人」など様々に呼ばれ、恐るべき「無名都市」などの古代遺跡を訪れ、様々な知識(主に禁断のものとされる知識である)を識り、人が崇拝しようとしない異形の神々に崇拝を捧げたりした。
 こうして得た禁断の知識を元に、730年に「アル・アジフ」を執筆。その後の738年に不可解な失踪を遂げ、一説によれば白昼のダマスカス、衆目の目の前で透明な怪物に食い殺されたとされる。また別の説では「無名都市」に連れ去られ、おぞましい拷問により死んだと言われ、この霊魂は「永劫の探究」の中の一話「ネイランド・コラムの記録」に登場する。

「久遠に臥したるもの死することなく
怪異なる永劫の内には死すら終焉を迎えん」

 元:この訳は国書刊行会の「定本ラヴクラフト全集 1」に収録されている「廃都」に出てくるもの。

永遠の憩いにやすらぐを見て、死せる者と呼ぶなかれ
果て知らぬ永劫ののちには、死もまた死ぬる宿めなれば

 本当はここじゃないけど、上と同じ原文が元なのでこっちで。
 「ラヴクラフト全集 2」に収録されている「クトゥルフの呼び声」での訳。他のとは雰囲気が違う訳なので気付きませんでした(この作品はいつもは青心社版を読んでるので……)。

メフィストフィレス

 元:「ファウスト」ゲーテ
 ファウストが悪魔と契約した時に、その悪魔が下僕として与えた悪魔がメフィストフィレス。
 手塚治虫の「ネオ・ファウスト」なら読んだんだけど(苦笑)

「スーパーウェスト無敵ロボ28號スペシャル」

 デザインは「ジャイアントロボ(OVA)」系やゴーレムなど古典SFマンガを連想させる。
 名前は鉄人28号のパロディ。

敵前逃亡は士道不覚悟

 「るろうに剣心」の斉藤一のセリフで近いのがあったような(覚えてないや……)
 またライアーソフトの「行殺新撰組」では「士道不覚悟につき切腹よ〜」ってフレーズが出てくる。このセリフの後に続くやり取りの「切腹どころか〜」はここから来てる?

ナアカル・コード

 元:ナアカル語というムー大陸で使用されていた神官文字がある。

レムリア・インパクト

 元:伝説の大陸「レムリア」。
 ただしクトゥルー神話でのレムリアはムー大陸と同一視されている。元々はそれぞれ別々の説なので念のため。
 ムー滅亡の様子は「火山が火を吹きながら大陸が海の中へと沈んでいった」と言われている。
 技としては「機動武闘伝Gガンダム」のシャイニングフィンガー……かな?とどめの刺し方が似てるし。
 追加:トークショーでこの話が出たそうで、それによるとシャイニングフィンガーではなく「覚悟のススメ」の「螺旋」だそうです。

ネスとストーン

 元:「アンタッチャブル」(映画)
 「私註」の今木さんトコのBBS経由で、シナリオライターの鋼屋ジンさんによれば、この元ネタのヒントは、作中の時代背景を参考にヒントを出すとすると「階段落ち。乳母車。」「つまりネスの方は実在の人物でもあります。」との事。
 映画を知っていないとわかりにくいと思うけど、「ネス」は「エリオット・ネス」。禁酒法時代にアル・カポネと対決した人物です。
 このネスの実話を元に「アンタッチャブル」というTVドラマが作られました。こちらは白黒時代の番組。ちなみにアル・カポネの逮捕後の話だそうです(昔日本でも放送されていたそうな……)。
 その後に、パラマウント映画が創立75周年記念として製作した映画が有名な「アンタッチャブル」であり、この中で有名なシーンがスローモーションで流れていく「階段落ち、乳母車」なのです(ネスとストーンはこのシーンで活躍している)。こちらはアル・カポネ逮捕前の話(というより、逮捕のきっかけまでの話)。
 余談ですが、スローモーションによる演出は「戦艦ポチョムキン」からの引用というのは有名な話。
 念のため、TVドラマ・映画共にフィクションの部分もあるので、全部が全部実話という訳ではありません。
 ……ここまで書いてて何ですが。
 フツーわからねぇよこんな元ネタ!!

THE OMEN

 元:「オーメン」(映画)
 ダミアンとか、666がどうこうで有名な映画ですね。

「ティンダロスの猟犬よりしつこいからな」

 元:「ティンダロスの猟犬」F・B・ロング/「クトゥルー 5」
 その正体は原始の不浄であるとも言われる。異常な角度を通ってのみ三次元世界(要するに人間の世界)に出現するらしい。
 そして一度獲物の臭いを嗅ぎつけると、獲物を捉えるまで永久に追い続ける。
 TRPGでは、出会ったらほぼ間違いなく死亡するモンスターだそうな。

「疾く去ね」

 八房龍之助「仙木の果実」の「彼女に降る雨」に同じセリフがあります。
 これ以外にも同じセリフが出ているのはあるだろうけど、とりあえず思いつくのはこの作品。

レザーフェイス

 元:「悪魔のいけにえ」(映画)
 ホラー映画の怪人。人の皮を剥いでマスクを作って被って、チェーンソーを持った姿が有名。
 そういえばまた続編だかリメイクだかが出るらしいんですが(苦笑)

 追記:2004年に出た新作はリメイクで、邦題は「テキサス・チェーンソー」……誰だこの邦題にしたのは。ちなみに「リメイク」とは言っても、1作目を「別の視点で見た」ような感じになっているそうです。

コリン

 元:コリン・ウィルソンだと思われる。
 犯罪関係の書籍とか、オカルト関係の書籍とか、本当に幅広い活動を行ってる作家。
 意外かもしれないが、この人も「精神寄生体」「ロイガーの復活」などのクトゥルー神話を書いている(書くきっかけの話がこれまた変わってるのだが、ここでは割愛)。

回収ボックス

 「有害図書」回収ボックス。ちなみに同類として「刃物回収ボックス」などもあるらしい。
 一応現在でも置いてあるトコはいくつかあるらしい(苦笑)

尖塔

 クトゥルー神話では「尖塔の影」という作品があるがここではあまり関係ないだろう。
 マスターテリオンが尖塔の上に……というシーンは「機動武闘伝Gガンダム」での東方不敗vsデスアーミー軍団のシーンを彷彿させる。

「ナコト写本」

 元:人類誕生以前に書かれた、最古の魔導書。これを後に人間が翻訳した本のことを指すので、「写本」と呼ばれている。

TAKE ME HIGHER

 元:「ウルトラマンティガ」で使われている「TAKE ME HIGHER(テイク・ミー・ハイヤー)」だそうです(テーマソングか何かだろうか?)

 追記:「ウルトラマンティガ」の主題歌であるだけでなく、第50話のサブタイトルが「もっと高く! 〜Take Me Higher〜」なのだそうで。内容的には「こっち」からの引用と思った方が「らしい」かもしれない。
 この回(脚本は小中千昭……というか小中は自分が関わる作品にちょこっとクトゥルー神話ネタを入れる事でも知られているそうな)はティガと邪神ガタノゾーアとの戦いの序章になっているけど、邪神ガタノゾーアが実際にその姿を現すのは、第51話「暗黒の支配者」からとのこと。(情報提供:久留さん)

ナイトゴーント

 元:ノーデンスに仕える生物で、ドリームランドに棲む。顔を持たない。

死亡遊戯

 元:「死亡遊戯」(映画)
 ブルース・リーの死後に完成した映画。
 でも本物が登場するシーンは全体からするとわずかで、残りは代役。使い古しのフィルムをかき集めて完成させたという、今考えても凄い話である(苦笑)
 ちなみに私は見てないけど、後でブルース・リーの脚本に沿った内容に編集された「死亡遊戯」もあるそうな。
 追記:ブルース・リーの脚本に沿って再編集した物の方は「死亡的遊戯」として出ているそうです。2003/8にDVD化されました。

アトラック=ナチャ

 元:「七つの呪い」クラーク・アシュトン・スミス/「クトゥルー 4」収録
 「七つの呪い」に登場する蜘蛛神ATLACH=NACHA。
 一般には「アトラク=ナクア」と表記される事が多いが、そうしてないのはアリス某の同名の「初音」姉さまに配慮してのことだろうか。それとも他の語句と語感を合わせる為?
 調べてみたらTRPG版「クトゥルフの呼び声」では「アトラック=ナチャ」という表記なのね。

ヴーアミタドレス山

 元:「七つの呪い」の舞台になる山。
 ハイパーボリアに存在する、エイグロフ山脈の最高峰。
 地底にはツァトゥグアの棲む魔界が広がり、その深淵の穴にはアトラク=ナクアが巣をかけている。
 山中は山中で、妖術師やらが棲んでいる、とんでもない山である。

ディマイオス、クリティアス

 元:共にプラトンの対話篇。アトランティスについて言及している。

CHILD'S PLAY

 元:「チャイルド・プレイ」(映画)
 殺人鬼の霊魂がチャッキー人形に乗り移って…という有名なホラー映画。
 あれやこれやと4作目ではとうとう奥さんまで出てきた(苦笑)

 追記:訂正。4作目で出てくるのは奥さんではなくガールフレンド。タイトルは「チャッキーの花嫁」だけど。

ショゴス

 ゲームの中でも語られているが、元は「古のもの」によって合成して生み出された原形質生物。主に奴隷として使役されていた。
 「狂気山脈にて」(H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 4」など)を読むとより印象深いと思う。
 ちなみに「怖い」ショゴスが読みたいなら「無人の家で発見された手記」(ロバート・ブロック/「クトゥルー 1」)がお薦め。

「てけり・り」

 元:「狂気山脈にて」のオチ「テケリ・リ!テケリ・リ!」。
 このさらなる元ネタはエドガー・アラン・ポーなのだがここでは割愛。

ダンセイニ

 元:アイルランドの幻想作家ロード・ダンセイニ。
 ラヴクラフトが敬愛・師事していた作家で、クトゥルー神話にも名称の法則などの影響を与えている。
 代表作「ペガーナの神々」「エルフランドの王女」など
 ちなみに翻訳は絶版が多いです(涙)

 追記:「ペガーナの神々」「魔法の国の旅人」は2003〜2004に復刊されました。また、2006年現在では、河出文庫で出ている4冊の短編集が、原書通りの構成(挿絵含む)なのと、入手性が良いのでお薦め。詳しくはウチのダンセイニ情報邦訳目録などを参照のこと。

物体X

 元:「遊星よりの物体X」「遊星からの物体X」(共に映画)
 前者はSF小説「影が行く」を原作とした白黒映画で、後者はジョン・カーペンターがそれをリメイクしたもの。どちらもDVDが出ています(ちょっと見つけにくいかもしれないけど…前者は2003/8にまた販売されています。後者もロープライス版で出てます)。
 カーペンターのリメイクの方は、ラヴクラフトの「狂気山脈にて」もイメージに入れていたそうです。
 両方とも「物体X」を軸にしているのは一緒なんだけど、シナリオの展開に違いがあったりするので、見比べてみるとおもしろいです。

チアキ

 元:小中千昭から?
 小中は「陰洲升を覆う影」(「クトゥルー怪異録」収録)などクトゥルーネタを使った作品をたまに出し、それ以外の作品にも出来の良いものがいくつかある。
 ……「ヘルシング」TVアニメ版は記憶から封印するけどな。

マコト

 元:出海まことからでは?とのこと。
 クトゥルー神話作品として「邪神ハンター」を書いてるが、この内容はマジメに読んではいけません(苦笑)
 ……エロ本同様なんだもん……(超苦笑)
 ついでに「シャドウプリム」もクトゥルー神話作品らしいが、私は読んでないのでパス。

ソーニャ

 元:ラヴクラフトの妻だったソニア(ソーニャ)・グリーンかな?髪の色が緑だし。

「(略)アリスか」

 元:「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル
 有名な作品ですね。という事で出てくるキャラもお馴染みのキャラのパロディ。
 ちなみにここに出てくるウサギは「アリス」そのまんまではなく、ボーパルバニーではないかと。元は「モンティパイソン・ホリーグレイル」に登場、後に「Wizardry」にも登場した、首ちょんぱウサギである(笑)という事で「デモンベイン」でも同じような行動を……

 追記:ボーパルバニーについてはこちらが参考になる。
M)YTHOLOGY OF WIZARDRY」の中の項目 http://bird.zero.ad.jp/ichien/mythology/article_tuv.html#vorpal

ニトクリスの鏡

 元:アイテム名自体は「ニトクリスの鏡」ブライアン・ラムレイ/「黒の召喚者」から。
 ニトクリスは古代エジプトの王ケフレンの妻の名。

「初回特典:ドクターウェスト等身大セクシー抱き枕」

 ゲームの初回(限定)特典は今じゃお約束のような感もある。
 等身大抱き枕は秋葉原のメッセサンオーの特典や、同人グッズでよく出てくる。
 余談だが「等身大グッズ」には「等身大パネル」「等身大フィギュア」などもあり、最近は「等身大ベットシーツ」なる物も出てきた(苦笑)

「レッツ・ドラゴンスレイヤー」

 「ドラゴンスレイヤー」は「竜殺し」の意。
 ファルコムのゲーム「ドラゴンスレイヤー」シリーズがあるが、ここでは恐らく、多分、絶対に関係ないと思われる。

I,ROBOT

 元:「我はロボット」アイザック・アシモフ(ハヤカワ文庫SF)
 ロボット三原則で有名な作品。でもウェストは読んだ事があってもそのまんまの作りにはしないよーな気が……
 なおこの章は「フランケンシュタイン」「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」を読むとより笑えると思う。

エルザ

 元:「フランケンシュタインの花嫁」で花嫁を演じたのはエルザ・ランチェスター。
 まあエルザって名前自体あちこちの作品にあると思うけど……

ニグラス亭のジンギスカン定食

 前半は邪神ジュブ=ニグラスから来ていて、この別名は「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」。
 ジンギスカンは羊を用いた料理。
 今木さんの「デモンベイン私註」によれば

羊は偶蹄目反芻亜目ウシ科ヒツジ属、山羊はヤギ属であり、分類上きわめて近い。

 とのことである。

バルザイ

 元:「蕃神」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 6」
 ウルタールの賢人。神々の姿を見ようとして、ハテグ=クラを登り、遂に神々の姿を見るもその後に外なる神によって命を落とす。

バルザイの偃月刀

 元:「魔導書ネクロノミコン」学研M文庫
 「魔導書ネクロノミコン」の巻末にある「本物のネクロノミコンからの断章」の中に「バルザイの偃月刀の製作」という章がある。
 ここで出ている「バルザイ」が上に挙げた賢人バルザイから来たものかどうかは不明。

 追記:ノベル版では「賢人バルザイがハテグ=クラの山頂にて鍛え上げた刀」ということになっている。ただし公式設定でこういう設定になっているかは不明のままなので念のため。ここに書いているのは一応情報という事で。

「この我輩の節穴な目を以てしても見抜けなかったのである!」

 元ネタと言うには微妙な線だが、「北斗の拳」に登場するリハクのセリフ「読めなかった、このリハクの目をもってしても!」「このリハクの目をもってしても見抜けなかった!」(だったかな?原本が手元にないもんで)がある。
 余談。そういえば今のファンロードにはこのネタがないなぁ。アミバは相変わらず載っているのだが(マテ)

「(前略)モヒカンの悪党が(後略)」

 真っ先に思いつくのは大抵「マッドマックス」か「北斗の拳」だろう。
 私は「ブラックエンジェルズ」も思いついたが(苦笑)……モヒカン男出て来たっけ?(苦笑)

「マイ・フェア・レディー」

 元:「マイ・フェア・レディ」(映画)
 オードリー・ヘブバーン主演、ミュージカル映画における名作の1つ。
 今見ても衣装のデザインが素晴らしく、オードリーさんも「あの衣装によって(自分が行う)演技が決定されました」とコメントしている。

我、埋葬にあたわず(Dig Me No Grave)

 元:「われ埋葬にあたわず」ロバート・E・ハワード/「クトゥルー 5」「黒の碑」など
 あ、「クトゥルー 5」収録の題は「墓はいらない」なので念のため。「われ〜」で収録は「黒の碑」の方。
 しかし棺桶かよ……(苦笑)

THE INVADERS

 元:「侵入者」ヘンリイ・カットナー/「クトゥルー 8」

「妖蛆の秘密」

 元:「妖蛆の秘密」の原題が「デ・ウェルミス・ミステリィス(De Vermis Mysteriis)」。「妖蛆の秘密」自体は"Mysteries of the Worm"。

クトゥグア

 元:フォマルハウト星に棲む炎の精(神性)。
 実は登場している作品自体が少ない為、詳しい事はほとんどわかっていない。
 ナイアルラトホテップと敵対している様子は「闇に棲みつくもの」オーガスト・ダーレス/「クトゥルー 4」で書かれている。もっともダーレス設定だけど。

旧支配者

 この言葉は、ラヴクラフトとダーレス設定で結構違いがあったりする他、ラヴクラフト作品でも作品によっては少々扱いが違うので簡単に説明。
 太古の地球に到来し、地球を支配していた存在。大いなるクトゥルー、名状しがたいものハスター、無貌の神ナイアルラトホテップなど、要するに邪神たちの事だと思えばほぼ間違いない。
 ダーレス設定では「属性」「敵対」などの要素も加わっている。例えばハスターは風を司り、水の属性であるクトゥルーと敵対している、など。ただし例外もある(例えば万物の王アザトースや、門の守護者ウムル・アト=タウィルなど)
 また「旧神」との闘争に敗れ封印されたのもダーレス設定。
 ラヴクラフト作品では、時には「古のもの」「大いなる種族」も「旧支配者」と呼ばれることがある。ただしこれは邪神(神性)ではない。これらに対しては、ラヴクラフトは単に「太古の地球を支配していた存在」という意味で使っているのだろう。とりあえず、一般的には上に挙げたように邪神を指すので、これらについてはあくまで例外と思って良い。

THE SHADOW OVER INSMOUTH

 元:「インスマウスの影」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 1」「クトゥルー 8」など
 ゲーム中では「インスマウス」だが、小説などでは「インスマス」と訳される事もある。どっちもよく使われる表記なので、ここではゲーム中での表現以外は個人的な好みで「インスマス」と記している。ご容赦を。
 追加:実は少し違う。「インスウマス」は本当はInnsmouthなのだな(2chのネタバレスレに書かれるまで気付かんかった……)

 ゲーム中のシーンで「宵闇眩燈草紙」に似たような展開があるような……

「正気度」

 元:TRPG「クトゥルフの呼び声」のSAN値のこと。この値が減るにつれて発狂に近づく。
 するとこの世界はTRPGの中のシナリオか?(笑)
 ちなみに似た設定で、GCの「エターナルダークネス」にサニティというパラメータがある。こちらも減少していくにつれて狂気の世界に近づいていく。

「愛情表現ロボ」

 過激な愛情表現はいくつか例があるけど(「フルーツバスケット」のイノシシ娘とか)、語尾に特徴的な言葉がくっつくのと、愛情表現自体が暴力行為というのはやっぱり「うる星やつら」のラムちゃんだろうな。

スーパーウェスト(中略)28號GR2

 GRは「ジャイアントロボ」の略称でもある。GR2は特撮、マンガ、OVAいずれにも共通したデザインで登場している。水中戦用らしい(とりあえずOVAではそう。特撮も同様らしいがマンガはどうなんだろう?)。
 マンガ版は未確認なのでパスするが(第一部のラストで戦うみたいです)、特撮では共にジャイアントロボ(GR1)のライバル機として出てくる。ちなみにOVA版ではセルバンテスが操り、ジャイアントロボとの戦いで破壊される。

ギルマン・ハウス

 元:元ネタの方の「インスマスを覆う影」にも出てくる、主人公が泊まったホテル。
 というか元ネタの方のインスマスにはこのホテル以外に泊まる場所は存在しない。ゲーム中ではどうなんだろう?

インスマウス面

 ゲーム中でも言われているように、インスマスに住む住民はインスマス面が多い。
 またインスマスの住民に連なる血を持っている人も、成人した後にインスマスに行った後はインスマス面になるケースがある。それまでは普通の人間と変わるところが一切ないのに、インスマスを訪れた後にインスマス面になっていた、「インスマスを覆う影」の主人公が主な例。
 これは「深きものども」の血によるもので、成人するにつれて「深きものども」に近づいているためのようだ。

「(略)人間(ヒューマン)ッ!」「(略)魔導書(グリモワール)ッ!」

 元:「ヘルシング」のアーカードvsアンデルセン神父の時のセリフのパロディだと思う。

「この絶望から逃れるには、死か狂気だけだと思った。」

 クトゥルー神話作品の定番パターン。知りすぎているが故に、今の状況に深く絶望する。
 ……このシーンの場合やや意味合いが違う気もするが。

「ふんぐるい むぐるうなふ くするふ るるいえ
うがふなぐる ふたぐん」

 「死せるクトゥルー ルルイエの館にて夢見るままに待ちいたり」という意味。ちなみに翻訳では訳者によって文章が多少違うけど、意味としてはほぼ同じもの。
 意味からもわかるようにクトゥルーに対するもの。ダゴンはクトゥルーの配下とされている。

深きものども(ディープ・ワンズ)

 概ねゲーム中のアルの説明通り。
 クトゥルーに仕え、父なるダゴンと母なるヒュドラに導かれる。
 またインスマス面の者は人間が残っているうちは多少歳をとりにくい程度だが、成長して「深きものども」になると、事故死などの原因以外では死ななくなる(寿命がなくなるので老衰死もしない)。
 余談だが他社のゲームではフェアリーテール・ハードカバーの「ネクロノミコン」でもインスマスが舞台になっていて、「深きものども」による陵辱シーンがある。ついでに「深きものども」との交配実験がこの「ネクロノミコン」と「宵闇眩燈草紙」(こっちは明言してないけどほぼ同一のもの)に出ている。デモンベインでは出なかったけど。

ルルイエ異本

 元:人類誕生以前の言語であるルルイエ語で書かれているらしい。クトゥルー崇拝に関する書。

ダゴン

 元:「ダゴン」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 3」など
 元ネタの方もほぼゲーム中でアルが語っている通りのもの。
 「父なるダゴン」として深きものどもに崇められる。クトゥルーに従う神。

ヒュドラ

 元:ハイドラとも。「インスマスを覆う影」に名が出てくる。
 ダゴンの妻であり、「母なるヒュドラ」として深きものどもに崇められる。
 ちなみにクトゥルー神話では同じ名を持つ「ヒュドラ」という、無数の首を持つ異次元の生物も出てきて紛らわしい。もちろんそれぞれ別々のもの。区別するには「海」「ダゴンの妻」なのか「無数の首」「異次元」なのかで判断。

「久しぶりに不愉快なものを見たよ」
「あんな神(ヤツ)の力を借りるなんて」

 元:ダーレス設定ではナイアルラトホテップとクトゥグアは敵対している。
 例えば、ナイアルラトホテップの棲息地であるンガイの森をクトゥグアに焼き払われたりしてる。

「門の鍵の子らを止めた賢者の〜」

 「ダンウィッチの怪」のヘンリー・アーミティジだろう。
 アーミティジはミスカトニック大学図書館長であり、ウェイトリィ兄弟の行為を阻止している。ウェイトリィ兄弟はヨグ=ソトースと人間の交わりによって生まれ落ちた、呪われた兄弟であった。

「セラエノの知識を駆る盲目の賢者は〜」

 シュリュズベリィ博士のことだろう。「セラエノの知識」はセラエノの大図書館及びそこで作成したセラエノ断章のことだと考えると一致する。
 これに続く文章から察するに、ダーレスの「永劫の探究」(「クトゥルー 2」)の前の話ということだろうか。

THE THING THAT WALKED ON THE WIND

 元:「風に乗りて歩むもの」オーガスト・ダーレス/「クトゥルー 4」など
 主にイタカ(イタクァ)を指して言う言葉だが、ダーレス設定ではイタカとウェンディゴの区別がかなり曖昧なので(「イタカ・ザ・ウェンディゴ」という表記もある)あまり深く考えない方がいいだろう。
 ちなみにクトゥルー神話では共に手足が異様に長い巨人のような姿をとる。

イタクァ

 その姿を見た者は必ず捉えられ、あらゆる世界を連れ回された後に地表に叩き付けられる。その時は例外なく凍ったような状態で発見される。

「化け物の人に、好かれやすい体質なんでしょうかー」

 「GS美神極楽大作戦!!」に出てきた横島君を思い浮かべるセリフだなぁ。

ウェンディゴ

 元:この場合「クトゥルー神話」の方のウェンディゴを指す。先述のようにイタクァと同一視される場合もある。
 さらなる元ネタはアルジャノン・ブラックウッドの「ウェンディゴ」(「ブラックウッド傑作選」)であり、これはカナダに伝わる怪談が元になっている。

「はるか上空から、燃える眸で」

 「イタカ」の定番シーン。この後の運命はもちろん……

「ヴィブルニアとゴスが地獄のような言語道断の悲劇的な結婚を」

 ラヴクラフトが書いた家系図参照。「クトゥルー 5」「クトゥルー神話辞典」(新訂版含む)に掲載されている。
 ちなみにこの結婚による血族の後継の中にH.P.Lの先祖もいる。

QUO VADIS

 元:私は知らないのではっきりとは言えないが、検索でいくつか見つかったものでは、同名の「QUO VADIS?(クオ・ヴァディス)」というローマ時代の政治をテーマにしたボートゲームがある。ちなみに海外のもの。意味は「何処へ?」だそうな。ゲーム中では「主は何処におわすか?」とルビが振られているが、元々こういう意味なのかな?
 あとこれは記憶が確かではないけど、確かSSに同じようなタイトルのSLGが出ていたような気がする。恐らく全く関係ないとは思うが。(追記:存在を確認。「クォ・ヴァディス」というタイトルで、SF-SLGです。2作まで出てるみたい。)
 追記:ペテロ行伝(らしい)の Quo vadis, Domine.(英語で言うとLord, whither goest thou thus)だそうです。以下にその説明を引用。

使徒ペテロがネロ帝のキリスト教徒迫害を間一髪のがれてローマを出ようとしたときに、 キリストが現れたので「マスター、どこいくすかっ!?」「ローマ。ひきょーものぉ(香奈子さんの発音で)。」「まじっすか(涙)」という 会話の末、ローマに戻って殺されたという話。 (JAGARLさんの情報

 ま、表現は冗談という事で…(苦笑)もちろん本当は真面目な話。
 ともかく「クオ・ヴァディス」「使命(ローマ布教)を途上で投げ出そうとするのに対して諌める」ような意味合いで使われるようです。
 この文章は「ギリシャ・ローマの盛衰」(村川堅太郎ら、講談社学術文庫)の292ページに載っているとのこと。(これもJAGARLさんの情報

 ちなみにこの章では「旧約聖書」「新約聖書」からの引用がかなり多く、引用元は今木さんの「デモンベイン私註 2」に詳しい。

イハ=ントレイ

 小説「インスマスを覆う影」に出てくる、インスマスの沖に見える「悪魔の暗礁」の沖合深くにある海底都市。
 深きものの拠点。

「戦う旦那様に、お仕えする執事の私…」

 この辺りのウィンフィールドの妄想の内容は、TVアニメ「ダイターン3」での主人公と執事のやり取りのパロディだそうで。私は直接は見ていないので不明ですが、聞いたところではかなり近いそうです。

「この目の前に転がされている、5メートル以内に(中略)羊の鳴き声が(後略)」

 元:「バキ」(マンガ)と「羊たちの沈黙」(小説、映画)を合わせたもの?
 前半は「バキ」1巻でのドリアンを護送する時の描写。「羊の鳴き声が」は「羊たちの沈黙」でのレクターとのやり取りの内容から(こっちは「羊の鳴き声は止んだか?」ですが)。
 もっとも、先述のドリアンのも含め、「バキ」1巻の死刑囚たちに関するシーンは大半が「羊たちの沈黙」の模倣なのだが。
 ところで「懲役5000年」の元ネタは何だろう……

ペンギン肉

 元:「狂気の山脈にて」(H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 4」など)
 ただしペンギンとは言っても、白色変種の、目がなく物を見る事の出来ない、巨大な(時には人よりも巨大な)ペンギンかもしれない。「狂気山脈」にはそーゆーペンギンがいるんである(蛇足ながら、「狂気山脈」は南極に存在する)

走狗(イヌ)が!

 一瞬「宵闇眩燈草紙」の「走狗で悪いかね」と連想するだろうけど、これは「狗かッ!」「狗で悪いかね」なので違う。
 「ヘルシング」も「走狗」で「イヌ」だなあ。まあ定番の表現だし。

羊飼いのチビが

 ハスターは羊飼いの神とも言われている。その為の伏線。
 この辺りは「羊飼いのハイータ」アンブローズ・ビアスに書かれている(この短編が入ってる本は現在入手困難だが)。

はにゃーんハァハァ

 前半は「カードキャプターさくら」でさくらがよく言う言葉。一応感動詞らしい。
 後半は主に2chで使われる言葉。何かに萌えている様を表す。用例:「アルたんハァハァ」そう、マコトの言ってるアレそのものだったりする。

黄金の蜂蜜酒

 これを飲めば宇宙の深淵だろうと平気!その代わり、聞かなくていい呪文の詠唱とか、おぞましい「もの」の物音などを耳にしてしまうことも……(要するに感覚が鋭敏になるのね)

ハスター

 ダーレス設定では風の属性を持つ神性とされる。「名状しがたいもの」とも呼ばれる。

「セラエノ断章」

 元:石版の形で残された禁断の書。後にシュリュズベリィ博士が写本を作成している。
 ゲーム中で出てくるのは「新しい書籍」という表現なので後者を元にしている?
 ちなみにゲーム中ではハスターの力を扱うものとしてるけど、クトゥルー神話的には、本当は「黄衣の王」の方がずっとハスターとの関わりは強い。ただ、「読んだ人は例外なくおぞましい最期を遂げる」ような本なので敢えて別の本を採用したのかも。

「水神クタアト」

 水に関わりのある旧支配者に関する事(召喚など)を記したもの。

ロードビャーキー

 「ビャーキー」は「バイアクヘー」「バイアキー」とも。ハスターの配下。
 ちなみに「ビャーキー」表記はTRPG版らしい(TRPG用のモンスターガイド「クトゥルフ神話図説」にこの表記がある)

「『逆十字』総てを招集する意味を問う」

 「ジャイアントロボ(OVA版)」に同じようなシーンがある。

BIG "C"

 元:「大いなる"C"」ブライアン・ラムレイ/「ラヴクラフトの遺産」
 ちなみにタブルミーニングは元ネタでもゲームでも同様。

「怒りのスーパーモードに覚醒してやる!」

 元:「機動武闘伝Gガンダム」(アニメ)
 中盤でドモンの怒りが極限に達するとスーパーモードに……

無銘祭祀書

 世界各地の奇怪な伝承や古代文字が記されているらしい。
 別名、「黒の書」。
 ちなみにクトゥルー神話作品では一般に「無名祭祀書」と表記される。

フェイスレス

 元:「無貌の神」ロバート・ブロック/「クトゥルー 5」など
 ナイアルラトホテップの姿の1つ「無貌の神」Faceless God。その名の通り顔がない。
 クトゥルー神話とは関係ないが「からくりサーカス」にもフェイスレスというキャラがいる(この名前自体が伏線だったとは……)

Wendigo the Blackwood

 元:「ウェンディゴ」の作者はアルジャノン・ブラックウッド。
 念のため書いておくがこの作品自体はクトゥルー神話ではない。後からラヴクラフトやダーレスらが取り入れただけである。

イブン・カズイの粉

 元:「ダンウィッチの怪」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 5」など
 小説では「イブン・グハジの粉」(「定本ラヴクラフト全集 4」)「イブン・ガジ」(「ラヴクラフト全集 5」)と訳されているがいずれも同じ物。ゲーム中の表記「イブン・カズイ」は「魔導書ネクロノミコン」収録の「イブン・ガズイの粉薬の製法」に近い。
 「ダンウィッチの怪」に登場し、肉体を持たない不可視の怪物を可視にする効果を持つ。ただしこの作品内では物質化させるのかどうかは不明。「魔導書ネクロノミコン」では実体化させる効果があるとしている。
 ゲーム中と全然違うやんけというつっこみ禁止(苦笑)

 追記:アルルートでの「THE RETURN OF THE SORCERER」では「イブン・ガズイ」と表記。アル曰く「特別製だ」との事なんで、「カズイ」と「ガズイ」で製法が違うって事なんだろうか?(わかりにくくてごめん)

「金枝篇」

 元:「金枝篇」フレイザー/岩波文庫など各種(それぞれ構成が異なる)
 実在する本。古くはオカルト方面などで有名だったらしい。現在では民俗研究の書として扱われている。TRPGでは魔導書の扱いだが。

エイボンの書

 元:ハイパーボリアにいた大魔導士エイボンが著したもの。

屍食教典儀

 別名、「黒の書」。(←勘違い。「黒の書」は「無名祭祀書」についての別名でした。すみません)
 オーガスト・ダーレスのご先祖様であったダレット伯爵が著したもの……ということ以外はほとんどわかっていない。
 ちなみにここで書いている「ダレット」は実在の人物ではなく、ラヴクラフトとダーレスの内輪ネタで作られた人物。初期の作品にはこういう遊びがいくつか入っている。

 追記:ダレット伯爵は実在の人物で、ダーレスの先祖だそうです。(情報提供:竹岡さん)
(参考:http://www.246.ne.jp/~kayano/cthulhu/others/paper/derleth.txt
 時々こういう「架空の人物の名前に見えて実は実在する人の名前」というのがあるんで、結構調べにくい……もちろん、屍食教典儀を実際に書いてはいないので念のため。

ハイパーボリア・ゼロドライブ

 ハイパーボリアは氷河期以前の地球、北極地方に存在した古代大陸。C・A・スミスなどが作品の舞台にした。
 ハイパーボリアにも文明は存在したが、氷河期の大寒波の到来により滅亡したとされる。ゲーム中で「超低温の大気」となっているのはここから来ていると思われる。

サイクラノーシュ

 ムー・トゥーラン(ハイパーボリアの北にある半島)における土星の呼び名。

クトゥルー

 こいつほど日本語表記の種類が多い神性もないだろうな(苦笑)
 その姿は蛸とも烏賊ともつかない姿(強いて言えば「蛸に近い」らしい)……とは言っても実は作品ごとに少しずつ描写が違っていたりする。
 外界より太古の地球へと到来し、他の神性と覇を競いながら円柱都市ルルイエをはじめとする石造都市を築く。しかし後に星々(星辰)の変化により自身はルルイエの館にて死の眠りにつき、ルルイエも海底に没した。だがいつかは星々の位置が正しいものとなり、その時クトゥルーは再び復活するであろう……これがラヴクラフト設定。ちなみに死の眠りの中にあっても、「夢」によって人を操ったり狂気に追い込んだりする。
 後にダーレスにより「旧神」と「旧支配者」(アザトースを筆頭に、クトゥルーを含む邪な神々である)の戦いで敗北し、ルルイエと共に封印されたという設定になる。そしてハスターと敵対しているという設定まで加わった。
 余談ながら、ダーレス設定のクトゥルー神話作品だと、何故かナイアルラトホテップはクトゥルーの復活に手を貸す事が多い。(本当はクトゥルーは邪な神々の中でも弱い方とされているのだが……)

その『角』に、犬に似た犬ではない何かの首が〜

 角度を通って出現しているのと、犬に似た姿をとること、そして後に続く文章からも間違いなくティンダロスの猟犬と思われる。

ロバ・エル・カリイエ

 アラビア南部にあるルブ・アル・ハリ大砂漠の古名。「虚空」を意味すると言われる。
 アブドゥル・アルハザードが辿り着いたと言う「無名都市」Nameless Cityがここのどこかにあると言われている。
 余談だが「無名都市」の位置には諸説あり、同じくアラビア南部にあるダーナと呼ばれる大砂漠にあるという説もある。

ダーナ

 アラビア南部にある大砂漠。「深紅の砂漠」を意味すると言われる。
 ロバ・エル・カリイエの所でも書いたように、「無名都市」が存在するという説もあるが本当はどこにあるのかは不明。
 アルの昔話で出ている文章はラヴクラフトが書いた「ネクロノミコンの歴史」の記述と同じだが、「定本ラヴクラフト全集 4」収録の「『死霊秘法』釈義」によればダーナはルブ・アル・ハリ砂漠の北方にある別の砂漠であり、ダーナとロバ・エル・カリイエが共に同じ砂漠だとしている記述は「ラヴクラフトの思い違いではないか」とのこと。

SHINING

 元:S・キングの「シャイニング」?と思うが、こっちの原題は「The Shining」なんだよね。

「アウトサイダー及びその他の物語」

 元:"The Outsider and Others"(洋書)
 元はダーレスがラヴクラフトの死後に出版した、最初のラヴクラフトの短編集。
 クトゥルー神話の世界では旧支配者についての資料としてダーレス作品で言及される。

「アザトースその他の恐怖」

 ピックマンが出版した詩集。
 ピックマンはピックマンでも、クトゥルー神話では割と重要な登場人物(?)なピックマンではなくエドワード・ピックマン・ダービィの方。「戸口にあらわれたもの」(H・P・ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 3」など)に登場するが、デモンベインにはどっちのピックマンも出てないなぁ。

THE CROW

 元:「ザ・クロウ/飛翔伝説」(映画)
 ブルース・リーの息子ブランドン・リー主演にして遺作。
 ブランドン・リーが映画の完成の前に死んだ為、未撮影部分はCGによってリーの演技を作成し、それを合成して映画を完成させた事が話題になった。2作目まで作られた記憶があるが、2作目って出演は誰なんだろう?

「無名祭祀書のゴールデン・ゴブリン・プレス版」

 名前こそ同じ「無名(銘)祭祀書」ではあるが、中身はごっぞり削除されている版。
 こっちの書名が「名」なのは「力がない」という事を暗示しているのだろうか?

THE HUNT

 元:「狩りたてるもの」ヘンリイ・カットナー/「クトゥルー 11」

「キャンベルにでも頼んで下さい」

 元:「死霊のはらわた」(映画)
 スプラッター・ホラーの古典「死霊のはらわた」シリーズの主人公アッシュを演じているのがブルース・キャンベルだから、のようです。
 クトゥルー神話的にはラムジー・キャンベルという、クトゥルー神話作品も含め数多くの作品を書いているモダンホラー作家がいるんですが、この文章が出てくる場面自体が「スプラッター・ホラー」的な場面という事で、どちらかと言えば「死霊〜」のブルース・キャンベルが元ネタと考えた方が良さそうです。
 現在、DVDで購入が可能なのは「死霊のはらわた 20周年アニバーサリー版」と「キャプテン・スーパーマーケット 死霊のはらわた3」の2本で、「死霊のはらわた2」は廃盤のようです。
 余談。この時に頼む「キャンベル」が第1作のキャンベル(アッシュを演じている)だったら余計悲惨な事になるような気がする(どういう事かは見ればわかります)。少なくとも2作目以降のキャンベルじゃないと無理だよね(苦笑)

 追記:「死霊のはらわた2」も2004/5に再販されました。これでシリーズ全部を見る事は可能です(もっとも、1の「20周年アニバーサリー版」はなんでか微妙に出回ってないらしいですが……(汗))
 また、1は純然たるホラー、2は1のリメイク&パロディ&ブラックジョーク、3は完全にコメディになっています。

「(略)我輩に何か恨みでも!?それともこれは愛!?サディスティック・デザイア!?」

 元:「X-JAPAN」(ロックバンド)
 X-JAPANの曲に「サディスティック・デザイア」があるそうで。

ネームレス・ワン

 名前自体は有名な物のはずだけど、なんでか「クトゥルー神話事典」「クトゥルフ神話図説」のどちらにも項目なし。TRPG版「クトゥルフの呼び声」のモンスターかな?とは思うけど……情報求む。

 追記:d20版の「クトゥルフの呼び声」原書に当たってみましたが、こちらにもこの名称はありません。
 また2chのTRPG「クトゥルフの呼び声」スレで聞いてみたところ、この名称は「クトゥルフの呼び声」には出てないようです(旧版にも出てないらしい)。
 でもTORG(これもTRPGの1つ)には出ているとの事。ただし原書での商標登録一覧にはこの名称はないので、TORGオリジナルでもないようです。恐らく英語圏での慣用句では?との事だそうです。
 蛇足ながら、ハスターは「名状しがたきものハスター」とも呼ばれるが、これは"the Unspeakable"と表記される。ついでに「名状しがたいもの」"the Unnameable"というのもあるので初心者は混乱するかもしれない(それぞれ別々のクリーチャー)
 追記:ベーシックルール版「クトゥルフの呼び声」(洋書)にもこの名はなし。
 追記:PC-98/SSの「黒の断章」に魔導書として「ネームレス・ワン」が登場している。ただ、示している物を考えるとこれが元ネタの可能性は低いと思われる。
 追記:小説は原文をチェックしにくいけど、「アロンソ・タイパーの日記」に出てくる「無名のもの」の原文は"the Nameless Thing"で、これも違います。

JOAN OF ARC

 元:「ジャンヌ・ダルク」(実在の人物)
 補足すると、正確には映画「ジャンヌ・ダルク」の原題が「Joan of Arc」。このフランス語表記が「Jeanne d'Arc」、当時の中世フランス語では「Johanne Darc」で、いわゆる「ジャンヌ・ダルク」はこれをそのまま読んだ場合のもの。
(参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%AF
 http://www.4gamer.net/previews/joan/joan.html
 ちなみに、この映画は現在DVDで手に入ります。

ハンティング・ホラー

 元:TRPG版「クトゥルフの呼び声」で「忌まわしき狩人」と表記されているもの。
 小説では何に出てたのかちょっとわからない(一応書かれてはいるみたいだが)

THE HAUNTER OF THE DARK

 元:「闇をさまようもの」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 3」「クトゥルー 7」など
 ちなみに読むなら「クトゥルー 7」の方がおもしろい。というのもこれ、実はロバート・ブロックとラヴクラフトの二人の内輪ネタによる連作の真ん中なので、これを含む連作が収められている「クトゥルー 7」をお薦めするのです。
 ついでにこの章の内容は「ダンウィッチの怪」から来ているものが多いのでこれも読んでおくとより楽しめるかと。という事で「ダンウィッチ」関連から来ているネタについては略。
 …手抜きじゃありませんよ?(つか、信じれ。)

「黄衣の王」

 元:「黄の印」R.W.チェンバース/「クトゥルー 3」に登場する禁断の書、The King in Yellow。
 ハスター、ハリ湖、カルコサに言及しているとされる。しかしその内容は美麗にして冒涜的でおぞましく、特に第二部は禁断とされ、読んだ者は例外なくおぞましい最期を遂げると言われている。
 ハスター、ハリ湖、カルコサは元はアンブローズ・ビアスが著した「カルコサの住人」「羊飼いのハイータ」にその名が登場し、R.W.チェンバースが名前を引用して短編集「黄衣の王」を書き上げた。「黄の印」は「黄衣の王」収録の短編である。
 これらを元にラヴクラフトとダーレスがクトゥルー神話に取り入れ、今でもクトゥルー神話では重要な地位を占めている。ただしハスターが実際に活躍するのはダーレス以降。
 ちなみにTRPGでは戯曲「黄衣の王」っつー設定もあるらしく(この台本が「黄衣の王」)、よく調べないとややこしいようだ。ちなみにこっちも呪われた設定である(まぁ「クトゥルフの呼び声」のシナリオだし……)
 一応、小説の方も戯曲「黄衣の王」が出てるらしいけど、洋書のは読み込んでないので不明。ごめん。

 追記:チェンバースの「黄衣の王」関連作品がやっと翻訳されました。Web日記での掲載なのでいつまで残るかは不明ですが、書いておきます。
「竜の路地にて」In the Court of the Dragon
http://uncle-dagon.cocolog-nifty.com/diary/2004/03/87.html
(2004/3/30の日記にて公開)
「名誉修理者」The Repairer of Reputations
http://uncle-dagon.cocolog-nifty.com/diary/2004/04/100.html
http://uncle-dagon.cocolog-nifty.com/diary/2004/04/101.html
http://uncle-dagon.cocolog-nifty.com/diary/2004/04/102.html
(2004/4/12〜14の日記、全3回に分けての公開)
「仮面」The Mask
http://uncle-dagon.cocolog-nifty.com/diary/2004/04/116.html
(2004/4/28の日記にて公開)
 以上の短編と他の短編は、後に「理力探究の会」の中で「カルコサ神話」として公開されています。これも同じ訳者によるものです。正確には「黄衣の王」と直接関係ない話も入ってますが。
「黄の印」The Yellow Signは「クトゥルー 3」に収録。

「(略)我輩が友情パワーに目覚めた結果、愛する我輩の眼差しが倒れるたびに傷つくたびに貴様を強くした(略)」

 元:「キン肉マン」(アニメ)
 TVアニメ版「キン肉マン」のオープニング、「炎のキン肉マン」の歌詞に「愛する友の眼差しが 傷つくたび倒れるたび 俺を強くする」というのがあるそうで。
 「友情パワー」は原作(マンガ)でお馴染みの言葉。結局最終的には友情パワーが勝つしなぁ(苦笑)

BLADE RUNNER

 元:「ブレードランナー」(映画)
 今じゃもうSF映画の古典。「薄汚れた未来」が印象に残る。

「旧い印(エルダー・サイン)」

 元:名前の元ネタは「旧神の印」か?
 「五芒星形の印」という表記は一緒だがデザインは別物。

輝くトラペゾヘドロン

 元:光あるところではただの黒い物体と思えるが、一度闇の中に存在するとそれはナイアルラトホテップを喚ぶ窓口となる、というアイテム。ゲームでは機能が全然違う物になってるけど(笑)
 ちなみに形状の表記は同じ。あ、「匣、柱、黒い結晶体」って部分の方ね。「武器」の方はクトゥルー神話には出てない。ゲーム中での「トラペゾヘドロン」は「武器」のを指すのか、「黒い結晶体」を指すのか、あるいは「黒い結晶体」が変形したのが「武器」なのかははっきりしないなぁ。
 「尖塔の影」ロバート・ブロック/「クトゥルー 7」が参考になると思う。

 追記:ニトロプラス発行の「斬魔大聖デモンベイン コンセプトワークス」によれば、中心の核が「輝くトラペゾヘドロン」であって、剣みたいな部分は匣が変形したもの、とのこと。人間の目には異形の剣に見えるけど、物としてはあくまで匣という事かいな……(汗)

スターヴァンパイア

 元:TRPG版「クトゥルフの呼び声」で「星の精」と表記されているもの。英語版での表記はStar Vampires。余談だが、TRPGのクリーチャー名は原語と日本語訳は意味が全然違う物が多いので調べるのが結構大変です(苦笑)。
 普段は無色透明で人の目に見えないが、人の血を吸うと姿が浮かび上がる。「妖蛆の秘密」の著者である魔道士プリンが、使い魔として使役していたとされる。
 小説では「星から訪れたもの」ロバート・ブロック/「クトゥルー 7」に登場するようです。この話の中では、呪文を口に出して言っただけで現れて(呼び出されて)きます。

THE RETURN OF THE SORCERER

 元:「妖術師の帰還」クラーク・アシュトン・スミス/「クトゥルー 3」

シャンタク

 元:シャンタク鳥。ドリームランドに生息し、ナイアルラトホテップに仕えている。

「回って回って回り尽くして美味しいバターになりました。原材料:トラ」

 元:「ちびくろサンボ」だよなどう考えても。

「南緯47度9分、西経126度43分」

 元:クトゥルー神話作品でもこの座標に位置する。

「1925年3月23日、アラート号事件」

 元:「クトゥルーの呼び声」で記されている海難事件。

ゾンバイオ

 元:「ゾンバイオ」(映画)
 ちなみに原作は「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」。というか原題もそうなんだけど。
 何故邦題が「ゾンバイオ」なのかは謎(ゾンビブームだったからか?)

「世界の命運はこんな魚介類如きに好きにされて良いものでは…」

 元:「ジャイアントロボ(OVA版)」の衝撃のアルベルトのセリフ?

弾幕が薄い

 元:「機動戦士ガンダム」のセリフ。

ミラー・コーディング

 ミラー・コーティングをしてレーザーを跳ね返す(弾く)ようにしているロボットって、「重戦機エルガイム」のヘビーメタルぐらいしか知らないなあ。
 「ファイブスター物語」のモーターヘッドも一応似た事をやってたと思うけど。
 補足:今木さんの「デモンベイン私註」の2(9話以降)及び百鬼さんからの情報によると、「勇者王ガオガイガー」ネタではないかとのこと。詳しくは前述の私註2を参照のこと。

THE CALL OF CTHULHU

 元:「クトゥルーの呼び声」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 2」「クトゥルー 1」など

STRANGE EONS

 元:「アーカム計画」ロバート・ブロック/同名の単行本

ヨグ=ソトース

 元:ゲーム中でも言われているように「門の鍵にして守護者」たる神性。ゲーム中ではさらに「門にして鍵」とも表されているが。人間がこの世で認識する形状は、虹色の球体の集積物である事が多い。
 「一にして全、全にして一」の記述は「永劫の探究」(「クトゥルー 2」)で確認。これはヨグ=ソトースはこの世を含むあらゆる時間、あらゆる場所(時空)に同時に存在するが、それらは全てが全く同一のヨグ=ソトースという事を表す。
 ナイアルラトホテップと同じような物?と思うかもしれないが、「全ての場所・時間で観測されるのは完全に一個体」という事に注意(ナイアルラトホテップは全て異なる個体の時もある)。
 全ての空間・時間・時空がつながった「場所」という言い方も出来るかもしれない。

「これは『第九の詩』〜」

 この前後でマスターテリオンが唱えているのは「魔道書ネクロノミコン」巻末にある「ヨグ=ソトースの召喚」に書かれているものとほぼ同じ。
 この中で出ている「オーム印(Ω)」は正確には「オーム印に似た印」(始めと終わりの部分が円を描く)。

「その球体は黄金の王冠を頂く駱駝〜」

 以下に続く文章も含めて、「魔道書ネクロノミコン」の「球体の召喚」に書かれている内容を元にしている。
 ヨグ=ソトースの球体は13、それぞれ異なる名と数多くの姿を持つ。

「ダンウィッチの呪われた兄弟」

 元:「ダンウィッチの怪」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 5」など
 「ダンウィッチの怪」に出てくるウェイトリィ兄弟のこと。

旗艦ノーデンス

 元:名前の元ネタは海の神ノーデンス。人間に害をなす存在ではない。たまに旧神と混同される。

キングスポート

 アーカムの東にある港町。

ウムル・アト=タウィル

 「門を護るもの」にして「導くもの」。「古ぶしきもの」とも。
 「銀の鍵の門」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 6」「クトゥルー 6」に登場し、ランドルフ・カーターを助ける。

「ハスターの領地か」

 ハスターはヒアデス星団(プレアデス星団)のアルデバラン近くの暗黒星にいる。

 追記:ヒアデス星団とプレアデス星団は共に牡牛座に存在する。そして、アルデバラン(牡牛座の目に相当)に近いのがヒアデス星団で、離れているのがプレアデス星団。ヒアデス星団=プレアデス星団だと思ってた……

大図書館

 元:「永劫の探究」オーガスト・ダーレス/「クトゥルー 2」
 プレアデス星団のセラエノにある図書館。
 旧支配者が旧神から盗んだ石版や書籍が収められている。
 「セラエノ断章」はここにある書からの写本。

「まず知ったのは、天空より降下する無数の殺意。〜」

 似た技が「ジャイアントロボ」(OVA版)に登場する。

スガウバ、ランドルフ、ヤディス星

 元:「銀の鍵の門を越えて」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 6」「クトゥルー 3」など
 ランドルフはもちろんランドルフ・カーター。
 スガウバはカーターが異次元世界を回っている間に身体を借りていた魔道士の名。カーターの半身でもある。なお、「銀の鍵の〜」では「ズカウバ」(濁点の位置が違う)で、ゲームで「スガウバ」になっているのは単なる誤字だと思う。
 ヤディス星は5つの太陽を持つ星。カーターはスガウバの身体を借りている間、この星での生活を経験している。

ドール

 未来のヤディス星を食い尽くし、死滅させてしまうことになる生物。これも「銀の鍵の門を越えて」にて語られる。
 ちなみにそっちでは「ドール族」と書かれている。

「スーパーウェスト無敵ロボGR1〜すべてはビッグ・アフロのために〜」

 元:「ジャイアントロボ(OVA版)」
 ジャイアントロボはGRの略称で呼ばれる事もある。「すべては〜」は「すべてはビッグ・ファイアのために」のパロディ。

「我輩は学会に復讐してやるのであーる!」

 元:「究極超人あ〜る」の成原成行のセリフ。

「ロード=アイランド病院から持ち出した脳味噌」

 元:ラヴクラフトはロード=アイランド病院で亡くなっている。
 これをもとにした話が「アーカムそして星の世界へ」フリッツ・ライバー/「クトゥルー 4」で、これのパロディがゲーム中のシーンというわけ。

ウィップアーウィル

 元:死人の魂を攫うために集まると言われる夜鷹。人の寿命が近づくとその家の周辺に集まってくる。
 この夜鷹については「丘の夜鷹」オーガスト・ダーレス/「クトゥルー 3」に詳しい。

三つにわかれた燃え上がる眸

 元:「闇をさまようもの」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 3」「クトゥルー 7」
 元は「輝くトラペゾヘドロン」から出てくる時のナイアルラトホテップの姿。これもナイアルラトホテップの姿の1つ。

「万物の王様が、盲目にして霊知の神様が見る、泡沫の夢」

 万物の王アザトースは、旧神との戦いに敗れ、視覚と叡智を奪われて封印され、微睡みの中にいる。なおこの設定はダーレス設定。
元々ラヴクラフトの遺した原稿のうちの断章の中に、「アザトース」の詩がある。ちなみに未完成なのであまり期待しないように(そもそもダーレスが手を加えてないとも言い切れないし)
 余談だが、クトゥルー神話における「この世は神の見る夢」のモチーフは、ダンセイニの「ペガーナの神々」も挙げられるだろう(元々ラヴクラフト自身がダンセイニから影響を受けている部分もあるし)。

ぐれーと・おーるど・わん

 元:「旧支配者」の原語表記はGreat Old Ones。
 他の表記にAncient OnesやEvil Onesもある。
 余談。「エターナルダークネス」では「エンシェント」と呼ばれる存在があるが、これも「旧支配者」の原語表記Ancient Onesから来ているんだろうな、多分。

えるだー・ごっど

 元:「旧神」の原語表記はElder Gods。別表記にOld Onesとも。
 「旧神」の設定はダーレス設定なので、クトゥルー神話作家の中にはこの存在を認めない人もいる。
 (ダーレス作品でも割と扱いがテキトーだったりするが……ノーデンスと混同するとか)

ナイアルラトホテップ

 元:「ナイアルラトホテップ」H.P.ラヴクラフト/「ラヴクラフト全集 5」など
 この表記も数種あって「ナイアラーソテップ」「ニャルラトホテップ」などきりがないほど。とりあえずここではゲームで採用されてる表記で。
 這い寄る混沌、黒い神父、無貌の神、暗黒のファラオ、etc.etc.……いずれも姿、大きさなど全て異なるがいずれもナイアルラトホテップの姿の1つにすぎない。そして全て個体でありながらナイアルラトホテップ単体でもある。
 策略、謀略などによって人間を含むあらゆるものを破滅に導く場面が多い。そしてナイアルラトホテップはアザトースに仕える使者であり、眠りについているアザトースをなだめ、そしてまたアザトースを嘲笑う―まさに混沌こそナイアルラトホテップに他ならない。
 ちなみに「旧神」と「旧支配者」との戦いの後、他の旧支配者どもが封印されたり追放されたにも関わらず、何故か封印も追放もされていない。そしてナイアルラトホテップの目的の1つには旧神の封印を解き、旧支配者を再び地上へ喚び寄せることだ、という話もある。そして地の属性であり、クトゥグアと敵対している――この辺りはダーレス設定。
 しかし本当何かとゲームでもよく使われるなあ。女神転生にも出てるそうだし。トリックスターだから使い勝手がいいのかもね。
 余談。一番思いもつかない使い方をした小説は「黒い仏」だろう(苦笑)

ナイ神父

 元:ナイアルラトホテップの姿の1つである「黒い神父」。「ナイ神父」そのものは「アーカム計画」(ロバート・ブロック/創元推理文庫)に登場している(役割はゲームとは異なるが)。
 クトゥルー神話作品での「黒い神父」は主に「星の知慧派」の神父として書かれる事が多い。
 黒い神父としてのナイアルラトホテップは他社のゲーム「黒の断章」にも登場したりしている。
 ついでに書いておくと、ナイアルラトホテップは千もの姿を持つと言われるが、それら全ては別々の個体であり、かつナイアルラトホテップである。ややこしいけど個体としては敵対する行動をとるケースもあるけど、それも結局はナイアルラトホテップの謀略に過ぎないわけ。もっとも、このゲーム中でもそうなのかはシナリオライターに聞いてみる以外にないけど。

 蛇足ながら、ナイアルラトホテップのお約束として、「バレバレな名前(偽名)」がある。このゲーム中でもマスターテリオンに「捻りのない」と言われてるし(苦笑)
 ただし他の人の名を騙る(その人に成りすます)事もあり、一概に「ナイアルラトホテップ」からとった名前を使うとは限らない。

旧神

 元:主にダーレス設定で使われる存在。その為この存在(設定)については無視している人もいる。
 その存在はあまりよくわかっていないが「宇宙的な善」の存在とされている。その為旧支配者と対立しており、配下を送って人間を助ける事もある。ぶっちゃけて言えば、クトゥルー神話の世界に置ける「究極的な善」であり、旧支配者(=悪の存在)と対立している。これはダーレスがラヴクラフトの想像した世界を「クトゥルー神話」としてまとめる際に、わかりやすく(書きやすく)する為に付け加えた設定。
 ただしクトゥルー神話作品で言及されるのは、ほとんどが「人類誕生以前の遙か太古に起こった、旧支配者たちとの戦い」に関する事だったりする(つまり旧神そのものが登場する事はほとんどない)。時にはノーデンスと混同されたりと、いい加減な扱いをされている存在でもある(苦笑)
 ここまで書けばわかると思うが、「デモンベイン」の場合、「旧神」についての設定はかなり変更が入っていて、ほとんど原型を留めていない。共通するのは名前と、「旧支配者(とそれに関連するもの)との対立」という事ぐらいだろうか。

その他

 マスターテリオン関係はほとんどがアレイスター・クロウリー関連だそうです。例えば「エセルドレーダ」はクロウリーの飼い犬「レディー・エセルドレーダ」からとか、そんな感じで。「法の言葉は意志(テレマ)なり」もクロウリー関連のようで(著した「法の書」にこの言葉があるらしいです)。
 ちなみにマスターテリオンが歌う歌は「リリー・マルレーン(Lili Marleen)」、作詞:ハンス・ライプ/作曲ノルベルト・シュルツェのものだそうです。かつての大スター、マレーネ・ディートリッヒの持ち歌。反戦の思いを込めて歌われたものですが、元はドイツの流行歌だというのが何とも皮肉である(もちろん当時はWWWIIの頃)。
 なお歌詞の訳は一般的なのは片桐和子の訳みたいですが、これはゲーム中とは違います。ゲーム中の訳がどこから来てるかは不明。

 アンチクロスのメンバーの名前は、ローマ皇帝の名を順番に持ってきているそうで。3つ(人?)の人面疽は、ネロの後に即位してはすぐ殺された3人の名前だそうです。

 「デモンベイン」から「クトゥルー神話」に手を出そうと思う人もいると思うので、アドバイスを。
 入手性が良いのは創元推理文庫「ラヴクラフト全集」と青心社文庫「クトゥルー」が基本ですが、個人的には「クトゥルー」の方をお薦めします。というのは、神性などの表記が割と一般的(デモンベインでの表記もこちらに近いのが多い)物を採用しているから馴染みやすいだろうという事で。
 「ラヴクラフト全集」の方は訳者の意向により、ワザと「わかりにくい(発音しにくい)」ものになっているので、初心者にはわかりにくいかもしれません。(例:「ナコト写本」は「プナトニック写本」、「ツァトゥグア」は「ツァトホッグァ」など)
 ただ、青心社文庫の本は濃い本屋でないと置いてない事が多いので注文するか、オンライン書店での通販になると思います。
 また参考になる本として学研M文庫「新訂 クトゥルー神話事典」を挙げておきます。これはブックガイドにもなりますし、値段も820円なので。


 参考文献など(クトゥルー関係のみ)
 「ニトロプラス ネタ(バレ)スレ"デモンベイン"他」及びその過去スレ(2ch、エロゲー板のネタバレスレ)←掲示板の性質上いつ過去ログになるかわからないので最新版は2chの「エロゲー板」から探した方がいいです。
http://doom.on.arena.ne.jp/cgi-bin/giko/hinan/test/read.cgi?bbs=hgame&key=052567835
 「クトゥルー神話目録」(自作)
http://www016.upp.so-net.ne.jp/usitora/book/cthulhubooks.htm
 「クトゥルー神話事典」/「新訂クトゥルー神話辞典」東 雅夫/著:学研(後者は学研M文庫)
 「クトゥルフ神話図説」/ホビージャパン
 「ラヴクラフト全集」創元推理文庫
 「クトゥルー」青心社文庫
 「定本ラヴクラフト全集」国書刊行会
 「真ク・リトル・リトル神話大系」国書刊行会
 「タイタス・クロウの事件簿」ブライアン・ラムレイ/創元推理文庫
 「斬魔大聖デモンベイン コンセプトワークス」ニトロプラス
 その他クトゥルー関係の小説など

 Web上での参考情報など(感謝!)(※リンク先は非保証。そもそも「主に2003年頃の情報」なので…)
 JAGARLさん [QUO VADIS:1/2
 Earlさん [イブン・グハジの粉:1
 今木さん [果て知らぬ永劫〜など:私註
 かおるさん [人が本を選ぶのではなくて〜]1
 竹岡さん [黒の書、ダレット伯爵]:1
 久留さん [TAKE ME HIGHER]
 その他、上でも挙げた2chのエロゲ板のデモンベインネタバレスレ、ニトロプラススレ、TRPG「クトゥルフの呼び声」スレの方々にも感謝。

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Last update:05/16/2020 06:34

うしとら
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