終末の過ごし方

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The world is drawing to an W/End.

☆終末の過ごし方

 −次の週末に、人類は滅亡だ。

 舞台は「終末」まであと1週間になった日から始まる。
 まるで演劇の台本のような文体で淡々と進む物語。
 演劇のような展開で進む物語。
 そして最後の日−終末の日。

☆「読む」物語

 最初にこれだけは書いた方がいいでしょうね。
 「終末の過ごし方」は「ゲーム」ではありません。というか、「ゲーム」を期待して買うのであれば止めた方がいいって事です。どっちかと言えば「小説」とも違って、先に述べたように「台本」に近いです。だからいわゆる「サウンドノベル(ビジュアルノベル)」とも違いますね。システム的には一緒なんですけど、こちらは選択肢がほとんどありません。
 また、プレイ時間も短めで、早く飛ばしまくれば2時間もかからないです。
 だから「To Heart」とか「ONE」「街」などのような「ゲーム」を期待すると高い買い物になる可能性もあります。「アンビヴァレンツ」とかが好きならまだ馴染めるかもしれませんが・・・。
 それから、先述しましたが「演劇の台本のような文体」というのは、いわゆる「ト書き」ってヤツで。知らない人の為に説明すると・・・

 舞台、学校。
 男が廊下を歩いている。
 「やぁ・・・どうしたんだい?」と男は声を掛けてきた。

 という感じなんです。(ちなみに上に書いたのは例で、ゲーム中に出てくる物じゃないんで念のため)
 このように、サウンドノベルに多い「状況を詳しく書く」という描写があまりないんです。
 だから想像力がないとちょっと辛いかも。もっとも、イラストがあるからイメージしやすいとは思いますけど・・・

 何と言いますか。要するに「小説(台本)に7800円(実売で5000円ぐらい)を出せますか?」って事ですね。
 私は読む事に抵抗がないからまだ買う気になれるけど、「金を出したんだから値段分は楽しませろ」と言う人には絶対お薦め出来ません。むしろ買わない方がいいでしょう(どうぜ怒るだけですから)。

 ただ、最近は説明過多な感じのゲームが多かったので、そういうゲームの後に「終末」をやると「情報が少ない」と思うかもしれません。個人的には情報の量はこれぐらいでちょうどいいと思いますけど(逆に説明過多になっていたらかえってシラけると思う)。確かに「もう少し量があってもいいかな」とは思いますが、今のボリュームでうまくバランスのとれている部分も多いんで、判断の分かれる所ですね。

☆とても読みやすい物語

 ところで、このテキスト(台本)はとても読みやすいです。
 例えばラジオのDJのセリフは略語が多く、いかにも陽気なラジオ番組という感じですが、略語を知らなくても雰囲気は楽しめるんじゃないでしょうか。ちなみに略語ってもこんな感じ。「ラジオから4 U!」は「ラジオからfor you!」とかね。(ちなみにこれらの略語、私は「ウルティマオンライン」の話で知りました(苦笑))

 その他にも、普段は平易な文章ながら時々「重い」話も何気なく混ざっていたりします。
 個人的にはこのシーンが好きですね。広告にも使われてる物だけど、

 「確実に死ぬとわかっていながらそれに対して何もしないのは・・・自殺になると思う?」
 「今の・・・オレたちか?」

 このシナリオはどっちかというと「大人」でないと楽しめないと思いますけどね。
 つまりある程度の人生経験がないと響きにくい部分があるんです。
 それと、同じ日のほぼ同じ時刻(と思われる)出来事を並べて出しているような感じで話が進みます。演劇にもこのスタイルのがあるのを知っているとわかると思いますが、慣れないと状況を整理しにくいかもしれません。これも他のゲームと違うスタイルですね。
 どっちにしても、人によって「買い」かどうかが大幅に変わってしまう内容なのは間違いないと思います。私には充分「買い」でしたけど。

 また、「終末」の原因が何かなどの話、つまり「終末」に関する詳しい情報は一切出てきません。この辺でも好き嫌いが分かれるかも。
#個人的には説明するだけ野暮だと思うけど。
#ムードってモンもあるし。

 何にしても、こういった点を考えに入れた上で、「この内容に金を払っても後悔しない」と決めたら買ってもいいと思いますが、ぐれぐれも「ゲーム」を期待している人や、「To Heart」「ONE」などのように読み応えたっぷりの文章を期待する人は止めた方がいいと思います。
 逆に向いているのは、「想像するのが好きな人」や「演劇が好きな人」といった感じでしょうか。

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