はっきり言って、個人的にはRPGのベスト1だと思っているので、一部かなり個人的な書き方をしている点がありますがご了承お願いします(汗)。一応リミッターかけるけどね・・・・どこまで自分を抑えられるやら。
ファルコムの素晴らしい演出力が一番活きていると思うオープニング。まず、雪が少しずつ降っていく中、「この物語は、ガガーブの先に世界はなく、・・・」といった文章が出ては消え、そしてしばらくすると画面は一瞬真っ黒に。そして浮かび上がるタイトル。その後、幻想的なCGで描かれた「白き魔女」と彼女にまつわる話が流れていく。 RPGでは、始めのうちにプレイヤーを「引き込む」のが勝負である。それに対し、ファルコムでは「白き魔女」まではオープニングで「物語を語る」事はほとんどしなかった。「イース2」のようにアニメを使う事はあるが、基本的には「ザナドゥ」からほとんどはあっさりしたオープニング、または「英雄伝説」のように主人公の置かれている立場を説明するものが多く、ましてや「白き魔女」のようにいきなり舞台の物語から語ることはあまりなかった。だから「白き魔女」を初めて見たときは面食らってしまった。しかし、それもすぐ慣れて、オープニングに仕掛けられた伏線に興味を持たせられる(すぐ忘れるんだけど)。このあたりは、熟練の技と言う他ないだろう。もちろん、オープニングだけでも充分に「見れる」ので、多くのパソコンショップで店頭デモが流されていたのは当然と言えるだろう。これは「イース2」以来の事だと思う。そう、「白き魔女」はある意味、ファルコム自身が「イース2」を超えようとした作品なのではないか。 |
さて、「白き魔女」にはいわゆる「魔王」だとか「ドラゴン」の類の悪役はでてこない。目的も「世界を救う」といったようなシロモノでもない。プレイヤーが終始その行動を見守る事になる主人公、ジュリオとクリスが最初に命令されるのは「成人の儀式として、各地のシャリネを巡礼してくること」だけである。文字通り「巡礼の旅」をする事自体が目的である。そして、巡礼の旅自体が伏線になっていたりする。
そう、このゲームは「旅をするRPG」である。
ある時は船に乗り、ある時は道中を歩き・・・
その最中に起こる事件に対し、ジュリオとクリスはどう向かっていくのか。
そして、旅をする先でよく耳にする単語、「白き魔女」。
言い伝えによれば、彼女は20年前に各地を巡礼し、数々の予言を残し、やがて姿を消した。今ではそう伝えられるだけである。
そして、ある人は「今この街(村)がこうなるのは魔女の呪いだ」と言い、ある人は「魔女の予言で助かった」と言う。
果たして、「白き魔女」とは。そして「巡礼の旅」の意味とは。
「英雄伝説」の名を持ちながらも、ゲームに出てくる人は「普通の人間」たちである。剣の腕前で名を馳せた男、悪しき竜と戦った魔導士、そういう人物はすでに過去となり、今では意外な所で生活していたりする。そしてエンディングである人物が言う言葉。
「なんで、偉い魔導士だったことを隠していたのさ?」
「剣の腕だとか、魔法の強さだとか、そういうことが英雄の証しだった時代は終わったのだよ。これからは、白き魔女のような人物が英雄にふさわしいのだ。」
とにかくシナリオが気持ちいい。例えば、向こうの国に渡る為に船に乗ると、船長から仕事を任される。「イエッサー!」と答えるジュリオ&クリス。そうこうしていると「泥棒だ!」・・・といった具合に細かい話がテンポよく流れて行くし、その間「ビュジアルシーン」といった物はまったくない。キャラクターが一生懸命動きまわり、その動きがまた絶妙なのだ。特にさりげない仕草とか、他のシーンでは絶対出てこないその場限りの動きとか、見ていて楽しくなってくる程だ。
また、それぞれの章ではまったく違った趣のシナリオと景色が展開される。一番わかりやすいのが「樹」で、それぞれの地方ではまったく違う種類になっている。寒い地方では針葉樹が多く、暖かい地方に近づくにつれて針葉樹は減って行き、逆に広葉樹が多くなっていて、実際に旅をしているような感じになってくる。そのような細かい気配りがとてもうれしい。
また、このゲームでは「アンジュレーション」−直訳すると「高低差」−が設定されていて、戦闘シーンでは重要になってくる(フィールド画面と戦闘画面の区別がないので、今歩いている景色がそのまま戦闘画面になる)のはもちろんだが、普段からして「塀の上」「切り株」はもちろん「テーブル」(!)まで登れてしまう。普段は気にしなくてもいいのだが、あるシーンだけテーブルに乗ると「こりゃ、テーブルの上に乗るでねぇ!」と怒られる(笑・・・じゃないって)。そこで「ピーン」ときてもう一回乗る(こらこら)と今度は「おらの言ったこと、忘れただか?」。この際にもキャラクターがちゃんと動くのだが、こういう細かくて普通はチェックしない部分まで丁寧に作り込んであるいい例と言えるだろう。ちょっとした行動でも、意外な所でちゃんと反応が返ってくるとうれしくなる−そういう「ツボ」を活用しているRPGは意外と少ないのではないか。
ほかにも「セーブデータを保存できる数が多い」(「多すぎ」と言えなくもないが)とか、「戦闘はオートバトル」「自動的に障害物を避ける」「戦闘で全滅してもゲームオーバーにならない」(このゲーム自体、「ゲームオーバー」はない)などの気配りがされている。そういう気配りも、「白き魔女」を名作にしている理由である。(結構、大事な点だと思うのだが・・・)
今まで、ファルコム自身が出すゲームはどれも楽しいゲームだった。しかし、結局は「イース1・2」という名作が産み出した「物語」を超えることができなかった。
「英雄伝説」「ブランデッシュ」「ダイナソア」・・・
もちろん、ゲームデザイン自体違うゲームなのだから「イース」と比べてはいけないのはわかっていた。しかし「物語」を楽しむという意味では、「イース」を超えるゲームがなかったのもまた、事実だった。そして「白き魔女」に出会うまでの間、「イース」は永きに渡り、私のゲームベスト1に君臨し続けた。
しかし、「白き魔女」でついに、ファルコムは「イース」を超えるシナリオを作り出した。しかも「イース」は1・2で一本であるのに対し、こちらは完全に始めから一本の完結した作品だった。
決定的だったのは、「白き魔女」の最終章、「やさしき魔女」である。
泣いた。
「イース」でも泣かなかったのに、である。「泣けるぜ」と言われたマンガを見ても泣かなかったのに、である。
そこには、純粋な一つの想いがあった・・・・
カンドもチャッペルもない昔に、白き魔女と呼ばれる娘がティラスイールを旅した。
娘は明日への警鐘を説き、予言を残した。
災いの波が、さざ波のうちに。
危惧が脅威へと変わる前に・・・。
あとは、自分の目で確かめて欲しい。
ところで、「英雄伝説」シリーズは「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」に始まり、「ドラスレ〜2」で一端完結。舞台を変えて「白き魔女」、そして「朱紅い雫」とつながっている。問題はこの「朱紅い雫」。時代は「白き魔女」の数十年前、ガガーブの向こうに広がるエル・フィルディンを舞台にしたRPG。とくれば、「白き魔女」をクリアした人の大半はプレイしたくなるだろう。そういう人に忠告。
「時間がすごくかかる!」
「バランスがキツイ!!金が貯まらない!!」
そして、とどめに
「セーブが自由にできない!!!!!!!」(有料&場所限定って・・・)
はい、すごく大変です、クリアするのは。もぉ、本当に。私なんか、夏休みを利用しても一ヶ月かかった(死んだ)・・・・・・(知人なんか、未だにクリアできていないそうだ。後から買ったRPGはクリアしたというのに・・・合掌。)
英雄伝説5が開発中とのことですが、今度はちゃんと遊べるよね? >ファルコム様
なんだかんだって言って、期待しているんだよね。やっぱり。
これほどタイトルが変わりまくったゲームもないのでは?(汗)パッケのタイトルが変わっただけで、内容はバランスの調整ぐらいなんですが。
英雄伝説3 もうひとつの英雄たちの物語 〜白き魔女〜 最初のバージョン。FD版のみ。 |
英雄伝説3RENEWAL〜白き魔女〜 CD版もある。CanBe(PC-98の一つ)対応。オマケも付いた。 これ以降のパッケイラストは、描き方に統一感がある。 |
白き魔女 THE LEGEND OF HEROES 3 初のWin95対応(とはいっても、PC-98限定)。オマケあり。 FDはあったと思う。 |
白き魔女 THE LEGEND OF HEROES 3 こちらは「朱紅い雫」と一緒に出た物で、パッケージが小さくなっている。 パッケイラストは「RENEWAL」と同じ。 CD版のみ。 |
白き魔女 THE LEGEND OF HEROES 3(限定版) マウスパッド付き。それだけ。CD版のみ。 |
新英雄伝説III 白き魔女 Win95/98用にリメイクされた物です。 |
結構古いレポートなので、SS版やPS版の話は入ってません。
それにしても「3」のローマ数字が機種依存なのは痛い。